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おいかけっこ
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≪おいかけっこ。≫
『ねぇ!じゅんちゃん待ってよぉ!』
『もう!みゆちゃん!早く!早く!』
『…もう!いつも、じゅんちゃんは、さっさと走って行っちゃうんだから!たまには、みゆのこと待っててよ!』
『だって、みゆちゃん遅いんだもん。僕、待ってらんないよ。』
『じゅんちゃん、男の子でしょ!?男の子は、女の子を待つものなの!』
『えー…。』
『えーじゃないの!みゆも、いつまでも、じゅんちゃんを追っかけてばかりじゃ大変だもん。みゆのことを考えて待っててくれる、そんな優しいじゅんちゃんが、みゆは好きだなぁ…。』
ーーー。
『…ねぇ、じゅんちゃん。どうして?どうして、待っててくれなかったの?』
『はぁ?だから、今日は予定があるって言ったろ?これでも待ってたんだよ、俺も。でも、相変わらず、みゆも言ってた時間に来ないし。ま、予想通りだったけど。』
『だから、いつも言ってるじゃん!私は、準備に時間がかかるんだってば!』
『だったら、それを逆算して行動出来ねぇのかよ!ったく、もう二十歳だぞ!?大人になれよ!』
『ひどい!ひどいよ!じゅんちゃん!そこまで言わなくても良いでしょう!?私だって、私だって…。』
『はい、出たよ!泣けば良いと思って!泣けば許されると思うなよな!』
『ウゥッ…。』
ーーー。
『じゅんちゃん、今週も、お休みないの?』
『え?あ、ああ…。週末は、大事な接待が入ってるんだよ。だから、仕方ないんだ。』
『そう…。ちさが、最近パパが遊んでくれないって寂しそうなのよ。』
『そんなこと言われてもな。俺も仕事だから。』
『パパー!』
『おー!どうした!ちさ!起きちゃったか!』
『パパの声が聞こえて嬉しくなったのね、きっと。好きな人を見ると追いかけて来ちゃう所とか私そっくりね。』
『パパー!パパー!次は、いつ遊び連れてってくれるの?』
『ごめんなぁ!ちさ。パパ、お仕事休めなくて中々、時間作れないんだ。』
『えー…。』
『あーあ、じゅんちゃん、ちさまで泣かしちゃうの?相変わらず、乙女心を分かってないんだから。ねぇ、ちさ。』
『えー、ママも、パパに泣かされた事あるの?』
『うん!そうなの!パパは、昔から全然、女の子の気持ちを分かってくれないの。だから、ママも、しょっちゅう寂しい思いをして泣いてたの。』
『そうなんだ。パパ、ダメだね。男として失格ね。』
『な!ちさぁ!何て事を言うんだよ!』
『あははは!ちさ、ナイス!』
ーーー。
『…お父さん!準備出来た?』
『ああ、行こう。』
『ねぇ、お父さん、本当に何も気付かなかったの?何かしら前兆があったでしょう?』
『いや、それがな…。本当に何も気付かなかったんだ。』
『お父さん、お母さんの事、毎日ちゃんと見てた?どうせ、気にもとめてなかったんでしょう?お母さん、かわいそうだよ。お父さんて昔から、そうだったんでしょ?いつも、お母さんが、お父さんを追いかけてたから、お父さんは、それが当たり前だと思って良い気になって自分の事しか考えてなかったのよ。』
『確かにな…。返す言葉がないよ。』
『お父さん、これからは、お母さんの事、もっと気にしてよ。お母さんに寂しい思いをさせないでよ。』
『ああ…。』
ーーー。
『お母さん!お母さん!』
『みゆ!みゆ!』
『…ごめんなさいね。こんなにも悪いなんて自分でも分からなかった。』
『お母さん!』
『…ちさ。ちさが、どんな人と結婚するのか見たかったな…。』
『お母さん…。』
『あなた…。』
『バカ!もう喋らなくていい!もういいから!』
『じゅんちゃん…。そういう優しい所が好きでした…。ありがとう…。』
『みゆ…!いつもいつも、俺の後を追いかけて来たくせに何で!何で、俺より先に逝こうとするんだよ!みゆは、俺の後をいつだって…!』
『じゅんちゃん…。今度は、私が向こうで、待ってるね…。じゅんちゃんが、私を、追いかけて来るところ…、楽しみにしてる…ね…。』
『みゆ…!』
ーーー。
『…ねぇ!じゅんちゃん待ってよぉ!』
『もう!みゆちゃん!早く!早く!』
『…もう!いつも、じゅんちゃんは、さっさと走って行っちゃうんだから!たまには、みゆのこと待っててよ!』
『だって、みゆちゃん遅いんだもん。僕、待ってらんないよ。』
『じゅんちゃん、男の子でしょ!?男の子は、女の子を待つものなの!』
『えー…。』
『えーじゃないの!みゆも、いつまでも、じゅんちゃんを追っかけてばかりじゃ大変だもん。みゆのことを考えて、待っててくれる、そんな優しいじゅんちゃんが、みゆは好きだなぁ…。』
ー完ー
『ねぇ!じゅんちゃん待ってよぉ!』
『もう!みゆちゃん!早く!早く!』
『…もう!いつも、じゅんちゃんは、さっさと走って行っちゃうんだから!たまには、みゆのこと待っててよ!』
『だって、みゆちゃん遅いんだもん。僕、待ってらんないよ。』
『じゅんちゃん、男の子でしょ!?男の子は、女の子を待つものなの!』
『えー…。』
『えーじゃないの!みゆも、いつまでも、じゅんちゃんを追っかけてばかりじゃ大変だもん。みゆのことを考えて待っててくれる、そんな優しいじゅんちゃんが、みゆは好きだなぁ…。』
ーーー。
『…ねぇ、じゅんちゃん。どうして?どうして、待っててくれなかったの?』
『はぁ?だから、今日は予定があるって言ったろ?これでも待ってたんだよ、俺も。でも、相変わらず、みゆも言ってた時間に来ないし。ま、予想通りだったけど。』
『だから、いつも言ってるじゃん!私は、準備に時間がかかるんだってば!』
『だったら、それを逆算して行動出来ねぇのかよ!ったく、もう二十歳だぞ!?大人になれよ!』
『ひどい!ひどいよ!じゅんちゃん!そこまで言わなくても良いでしょう!?私だって、私だって…。』
『はい、出たよ!泣けば良いと思って!泣けば許されると思うなよな!』
『ウゥッ…。』
ーーー。
『じゅんちゃん、今週も、お休みないの?』
『え?あ、ああ…。週末は、大事な接待が入ってるんだよ。だから、仕方ないんだ。』
『そう…。ちさが、最近パパが遊んでくれないって寂しそうなのよ。』
『そんなこと言われてもな。俺も仕事だから。』
『パパー!』
『おー!どうした!ちさ!起きちゃったか!』
『パパの声が聞こえて嬉しくなったのね、きっと。好きな人を見ると追いかけて来ちゃう所とか私そっくりね。』
『パパー!パパー!次は、いつ遊び連れてってくれるの?』
『ごめんなぁ!ちさ。パパ、お仕事休めなくて中々、時間作れないんだ。』
『えー…。』
『あーあ、じゅんちゃん、ちさまで泣かしちゃうの?相変わらず、乙女心を分かってないんだから。ねぇ、ちさ。』
『えー、ママも、パパに泣かされた事あるの?』
『うん!そうなの!パパは、昔から全然、女の子の気持ちを分かってくれないの。だから、ママも、しょっちゅう寂しい思いをして泣いてたの。』
『そうなんだ。パパ、ダメだね。男として失格ね。』
『な!ちさぁ!何て事を言うんだよ!』
『あははは!ちさ、ナイス!』
ーーー。
『…お父さん!準備出来た?』
『ああ、行こう。』
『ねぇ、お父さん、本当に何も気付かなかったの?何かしら前兆があったでしょう?』
『いや、それがな…。本当に何も気付かなかったんだ。』
『お父さん、お母さんの事、毎日ちゃんと見てた?どうせ、気にもとめてなかったんでしょう?お母さん、かわいそうだよ。お父さんて昔から、そうだったんでしょ?いつも、お母さんが、お父さんを追いかけてたから、お父さんは、それが当たり前だと思って良い気になって自分の事しか考えてなかったのよ。』
『確かにな…。返す言葉がないよ。』
『お父さん、これからは、お母さんの事、もっと気にしてよ。お母さんに寂しい思いをさせないでよ。』
『ああ…。』
ーーー。
『お母さん!お母さん!』
『みゆ!みゆ!』
『…ごめんなさいね。こんなにも悪いなんて自分でも分からなかった。』
『お母さん!』
『…ちさ。ちさが、どんな人と結婚するのか見たかったな…。』
『お母さん…。』
『あなた…。』
『バカ!もう喋らなくていい!もういいから!』
『じゅんちゃん…。そういう優しい所が好きでした…。ありがとう…。』
『みゆ…!いつもいつも、俺の後を追いかけて来たくせに何で!何で、俺より先に逝こうとするんだよ!みゆは、俺の後をいつだって…!』
『じゅんちゃん…。今度は、私が向こうで、待ってるね…。じゅんちゃんが、私を、追いかけて来るところ…、楽しみにしてる…ね…。』
『みゆ…!』
ーーー。
『…ねぇ!じゅんちゃん待ってよぉ!』
『もう!みゆちゃん!早く!早く!』
『…もう!いつも、じゅんちゃんは、さっさと走って行っちゃうんだから!たまには、みゆのこと待っててよ!』
『だって、みゆちゃん遅いんだもん。僕、待ってらんないよ。』
『じゅんちゃん、男の子でしょ!?男の子は、女の子を待つものなの!』
『えー…。』
『えーじゃないの!みゆも、いつまでも、じゅんちゃんを追っかけてばかりじゃ大変だもん。みゆのことを考えて、待っててくれる、そんな優しいじゅんちゃんが、みゆは好きだなぁ…。』
ー完ー
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