ふりん

杉本けんいちろう

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ふりん

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ひろゆきさんには、美人な奥さんと二人の子どもがいます。そこまで高いお給料をもらっているわけではありませんが、家族四人、楽しく暮らしていました。

ようこさんには、エリート商社マンの旦那さんと三人の子どもがいました。都心の高層マンションでの生活に家族五人、なに不自由なく暮らしていました。

ひろゆきさんとようこさんは不倫をしています。もう、三年もたちます。ですが、お互い離婚をする気はありません。もちろん子ども達のことを思ってのことです。

ひろゆきさんが子どもの頃、両親はケンカばかりしていました。一人っ子のひろゆきさんは、ケンカが始まると家を飛び出し、近所の公園にあるブランコに座って、いつも星空を眺めていました。

ようこさんは、社長令嬢でした。一代で大会社を築いた威厳ある父親と、それを支える優しい母親と漫画のように賢く出来すぎた兄と姉をもつ末っ子です。ようこさん自身も賢く、まさに裕福な家庭のお嬢さまそのものでした。

ひろゆきさんは、高校生の時に両親が離婚しました。ひろゆきさんは、母親に引き取られ、結婚するまで母親のもとを離れることはなく、女手一つの恩賞をずっと受け続けて大人へと成長していきました。

ようこさんは、高校生の時に父親の経営する会社が倒産しました。まさに為す術べなく、一家離散。嘘のように極貧生活に陥ります。それでも、腐らず勉強し続け、国立大を卒業し、エリートとの結婚を手にしました。

ひろゆきさんは、子ども達が大好きです。休日には、よく飼い犬を一緒に連れて、二人の息子達と遊んでいます。自分が子どもの頃に叶えられなかった夢を託して、毎日の成長を楽しみに父親としての今を過ごしています。

ようこさんは、自分の母親をお手本に、三人の子供達の良き母親として忙しなく過ごしていました。しかし、ある時、一番上の息子を交通事故で亡くしてしまいました。下二人は娘なので、一人息子の突然の他界は、心にも生活にもぽっかりと穴が空いてしまった状態となり、虚しさだけが過ぎていきました。

ひろゆきさんの奥さんは、ひろゆきさんの勤める会社の受付嬢でした。会社でも評判の美人で大学時代にはミスコンにも輝くほどでした。ひろゆきさんは、相手にされるわけがないと初めから気にも留めていなかったのですが、ひろゆきさんの誠実さと、ふとした時の優しさに次第に惹かれ、奥さんからのアプローチで二人は結婚に至りました。

ようこさんの旦那さんは、大学時代の同級生でした。一年生の時からの付き合いで、大学卒業と同時に妊娠をし、それを機に結婚をしました。そのまま、すぐに専業主婦となり、内助の功に徹していました。

ひろゆきさんの奥さんは、ひろゆきさんの三つ下です。実は、同じ大学の卒業生でした。でも、奥さんがそれを知ったのは入社後でした。

ようこさん夫婦と、ひろゆきさんの奥さんは、同じ大学の同級生でした。

そして、ひろゆきさんの奥さんとようこさんの旦那さんは、大学時代に浮気関係にありました。

ようこさんは、それをずっと知っていました。でも、黙っていました。大手商社に内定していたこの人と結婚するつもりだったからです。
タイミング良く妊娠を知ったようこさんは、一度は中絶を願い出されるも、浮気の事を内定先に告発すると切り出し、観念させて結婚に至りました。

ひろゆきさんの仕事は、生命保険会社の営業マンです。ようこさん一家を担当していました。結婚のきっかけにもなった長男の事故死によって、落ち込んでいたようこさんを励まし続けていたのは、ひろゆきさんでした。

ようこさんは、実は、ひろゆきさんのことを大学時代から知っていました。本来ならば、その事は黙っていましたが、親身になって励まし続けてくれるひろゆきさんに心を許し、いつの間にかに打ち明けていました。
そして、ひろゆきさんの奥さんとようこさんの旦那さんの関係が判明するまでに時間はかかりませんでした。
初めて二人で行ったホテルの帰り道に眺めた星空は、あの頃と変わらず心を洗ってくれました。

ひろゆきさんとようこさんは不倫をしています。もう、三年もたちます。ですが、お互い離婚をする気はありません。もちろん子ども達のことを思ってのことです。

月に一度、誰も知らないところで二人寄り添って一緒の夜を過ごす。それだけで幸せでした。

                                    ー完ー
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