5 / 6
5.戦争
しおりを挟む
起きて直ぐですが、問題ありです。
体力1、気絶した理由が明白ですね。
自分の体力がなぜわかるかといえば、まあ異世界のおきまりのせいだろう。
【ステータス】
リーン (女) レベル1
二つ名 《呪いの巫女》
HP 1/150 MP1000/1000
【状態異常】
*毒
*鈍化
*混乱
*暗闇
*体力低下
持ち物
*神託
*神聖なるムチ
*呪いの人形
まあ、こんな感じで自分のことなら基本的にすべてわかります。
王様からも話しかけられていますし、冷静にならなければ。
「王が私の魔法付与について興味を持ったのは、軍事的な目的のものですか?」
とりあえず先行をとって、話題を切り出してみたものの、間違っていたらすごく恥ずかしい。
「そうだ」
「よっし…成る程、私もそれなら力を貸すべきですね」
やはり、俺の力に興味を持つ人間は軍事目当てか。
まあ、今まで迷惑をかけた母への恩返しにお金を稼いでくることも大事かもしれない。
ただ一つ、確認しなければいけないことがある。
「やはりですか。しかし最も大事なのは使う相手です。魔物なら私はあなたの手となり、足となりましょう、だがもし、それが人間だった場合は今ここで、あなたの手を削ぎ、足を削ぎましょう」
全力の魔力を相手が見えるくらい高密度で出した。
自分の魔法が同族を殺すために使われるのは、癪にさわる。
私の右に座っていた騎士は剣を俺に向け、貴族は銃らしきものを向けた。
「安心しろ! 今回の獲物は魔物だ」
王様は満面の笑みで私の頭を撫でた。
周りの二人も安心して、武器を下ろした。
もう成人直前で、恥ずかしい部分もあったが、どことなく神と同じ安心感があった。
本当にこの王様は嫌われているのだろうかと疑問を持った。
「では私は王に力を貸すことを神に誓いましょう…しかし、あなたは本当に暴君と呼ばれているお方なのですか?」
次に出ていたセリフに、大変無礼な言葉が混ざっているのに気づいたのはまさに今だった。
「無礼者!」と両端の方々が俺に武器を向けた。
デジャヴだな。
すかさず王様も手を出し、ジェスチャーで座れと命令した。
「君は大事なもののために、何かを捨てることはあるかい?」
意外な質問を王様からされて、一瞬固まってしまった。
そりゃ、新しい世界に来るために、命まで捨てましたがね。
「私はある! 国民の命のためなら国民の信頼などいらない! それが私の理念であり、私の生き方だ」
とても素晴らしい考えだが、この考えはどこかで見た滑稽な引きこもりに似ている。
そして、その引きこもりの最後の感情がなんだったかも知っている。
「大変くだらないですね、私はその先にあるものを知っています。それは、後悔、闇の底なし沼だ」
自分がやったことだからわかる。
決してなにも捨ててはいけない。
何かの犠牲に自分を選んではいけない。
それが、最も人として正しくて、最も難しい生き方なのは分かっている。
ただ、わかる、この王様はそのうち殺されるということが。
そして王様は後悔するということも。
「あなたは何もわかっていない。この二人の騎士の気持ちも、あなたを嫌う民衆の気持ちさえも」
もうやめないといけないとわかっているのに、言葉と涙がどんどん出てくる。
これ以上は反逆罪にもなりかねない、王様の意思を踏みにじっているのだから。
ただ、ここでやめたら後悔するのは俺だ。
「あなたは何もわかってない! 周りの見えない裸の王様だ!」
自分の顔がどんなに汚かったか、どんなに醜かったわからない。
だが、この言葉だけは伝えたかった。
せっかく取り戻して意識も、毒のせいで失いそうだ。
目の前が暗くなっていく。
最後に一つ言いたい。
「あなたは…ひとりでも、この二人のような方が、あなたを一人にしな…い…でしょ、う」
私はゆっくりと目を閉じた。
体力1、気絶した理由が明白ですね。
自分の体力がなぜわかるかといえば、まあ異世界のおきまりのせいだろう。
【ステータス】
リーン (女) レベル1
二つ名 《呪いの巫女》
HP 1/150 MP1000/1000
【状態異常】
*毒
*鈍化
*混乱
*暗闇
*体力低下
持ち物
*神託
*神聖なるムチ
*呪いの人形
まあ、こんな感じで自分のことなら基本的にすべてわかります。
王様からも話しかけられていますし、冷静にならなければ。
「王が私の魔法付与について興味を持ったのは、軍事的な目的のものですか?」
とりあえず先行をとって、話題を切り出してみたものの、間違っていたらすごく恥ずかしい。
「そうだ」
「よっし…成る程、私もそれなら力を貸すべきですね」
やはり、俺の力に興味を持つ人間は軍事目当てか。
まあ、今まで迷惑をかけた母への恩返しにお金を稼いでくることも大事かもしれない。
ただ一つ、確認しなければいけないことがある。
「やはりですか。しかし最も大事なのは使う相手です。魔物なら私はあなたの手となり、足となりましょう、だがもし、それが人間だった場合は今ここで、あなたの手を削ぎ、足を削ぎましょう」
全力の魔力を相手が見えるくらい高密度で出した。
自分の魔法が同族を殺すために使われるのは、癪にさわる。
私の右に座っていた騎士は剣を俺に向け、貴族は銃らしきものを向けた。
「安心しろ! 今回の獲物は魔物だ」
王様は満面の笑みで私の頭を撫でた。
周りの二人も安心して、武器を下ろした。
もう成人直前で、恥ずかしい部分もあったが、どことなく神と同じ安心感があった。
本当にこの王様は嫌われているのだろうかと疑問を持った。
「では私は王に力を貸すことを神に誓いましょう…しかし、あなたは本当に暴君と呼ばれているお方なのですか?」
次に出ていたセリフに、大変無礼な言葉が混ざっているのに気づいたのはまさに今だった。
「無礼者!」と両端の方々が俺に武器を向けた。
デジャヴだな。
すかさず王様も手を出し、ジェスチャーで座れと命令した。
「君は大事なもののために、何かを捨てることはあるかい?」
意外な質問を王様からされて、一瞬固まってしまった。
そりゃ、新しい世界に来るために、命まで捨てましたがね。
「私はある! 国民の命のためなら国民の信頼などいらない! それが私の理念であり、私の生き方だ」
とても素晴らしい考えだが、この考えはどこかで見た滑稽な引きこもりに似ている。
そして、その引きこもりの最後の感情がなんだったかも知っている。
「大変くだらないですね、私はその先にあるものを知っています。それは、後悔、闇の底なし沼だ」
自分がやったことだからわかる。
決してなにも捨ててはいけない。
何かの犠牲に自分を選んではいけない。
それが、最も人として正しくて、最も難しい生き方なのは分かっている。
ただ、わかる、この王様はそのうち殺されるということが。
そして王様は後悔するということも。
「あなたは何もわかっていない。この二人の騎士の気持ちも、あなたを嫌う民衆の気持ちさえも」
もうやめないといけないとわかっているのに、言葉と涙がどんどん出てくる。
これ以上は反逆罪にもなりかねない、王様の意思を踏みにじっているのだから。
ただ、ここでやめたら後悔するのは俺だ。
「あなたは何もわかってない! 周りの見えない裸の王様だ!」
自分の顔がどんなに汚かったか、どんなに醜かったわからない。
だが、この言葉だけは伝えたかった。
せっかく取り戻して意識も、毒のせいで失いそうだ。
目の前が暗くなっていく。
最後に一つ言いたい。
「あなたは…ひとりでも、この二人のような方が、あなたを一人にしな…い…でしょ、う」
私はゆっくりと目を閉じた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる