とりあえずのとりあえず

syu-innonne

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かきちらし1

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終わった。
そう、終わったのだ。
長く辛い闘いだった。
幾度も挫けそうになった。
その度、立ち直るように導いた。
これで解放される。
どんな形かわからないが、少なくともオレは満たされる。

ーーーー結果は違った。

「相棒。ここでさようならだ」

 あいつは語った。

ーーーーえ!?何故だ!!?

「じゃあな、相棒。次会う時は、友達だ」

 あいつはニコッと笑って手を振った。
 そして、オレは時空間の裂け目に投げ込まれた。

ーーーー嘘だ!嘘だと言ってくれ!!

 オレは暗闇の中で叫んだ。
 そして、手を伸ばした。
 何も掴むことはなかった。
 


ーーーーバッ!!!

 カーテンの隙間から差し込む光を浴びて、オレは身体を起こした。

 ーーーーまただ!!また、あの夢だ。
 最近のオレ、どうにかしている。

 オレは寝ていたベッドから立ち上がり、壁にかけてある時計を見た。

 ーーーー少し早いが、もう起きよう。今日は楽しみにしていた遠足だ。


「兄さん、おはよう。今日は早いですね」

リビングに用意されていた朝飯を口の中に押し込んでいると、弟の麻人が入ってきた。
 ーーーーこいつ、今起きたところだな。
 オレは多めに注がれていた味噌汁で口の中のものを胃の中に流し込んだ。

「今日は遠足だぞ?楽しみにしてないわけないだろ」

「学校の行事はたるいって言うクセに」

「優等生サマがまた明日とか言って来たんだ。ここはいかないとダメだろ?」

「また、優等生サマですか?」

「悪いか?」

「別にいいんじゃないですか」

「何を言いたいか知らんがオレはもう行くぞ。ご馳走さま」

 オレは立ち上がるとそのまま、玄関にむかう。
そして、玄関に置いてあるバッグを手に取ると駆け出した。

 家の近くにあるバス停にはすでに先客がいた。

「おはよー。今日は早いね」

近所に住んでいるクラスメイトの一人である川上はあくびをした。

「おはよう。早いねって今日は遠足だろ?」

「おはよ~。あれ~?珍しいなぁ~」

 後ろからオレと身長がさほど変わらない相河の声がした。
 ちなみにこいつもクラスメイトである。

「だって、優等生サマがよ?」

「ハイハイ。シントくん、いくら聖羅さんが可愛いからってそれは違うんじゃないの~?」

「そーだよ?みんなの聖羅さんだよ。一人占めはずるい~」

 ーーーー朝から口々に文句ばかり言うなよ。

 オレたち三人は、時間通りにやってきたバスに乗り、ライナー乗り場で降りる。
 そして、やってきたライナーに乗って学校に向かうのだ。

オレはライナーを降りると校舎に入った。
そして廊下を黙ってあるいて教室へ向かった。

「おはよー」

女の子の声が聞こえる。

「おはよーん」

別の女の子の声が聞こえた。

ーーーーいつ通りだな。
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