とりあえずのとりあえず

syu-innonne

文字の大きさ
15 / 52

かきちらし2

しおりを挟む
「きゃぁ!」

どん!という背中に当たる感覚。
ーーーー誰だ?

「ごめん。滑った」

後ろを振り向くと焦げ茶色の長い髪の女の子。
女の子と言っても平均より身長は高い(と思う)。
ーーーー流石、ノースユーロ人。成長が早い。
    胸元はまだまだだが。


鼻筋が通った西洋のお人形さんを彷彿をさせる、
愛らしい顔つきの少女、聖羅くなせだ。

「ああ。聖羅か。おはよう」

オレは無表情で挨拶を交わし、彼女に近づいた。

「怪我、してないか?」

「おはよう、シント・・・・わたしはだだだだ、大丈夫だから!!!!!」

彼女はバランス崩して倒れた身体を慌てて起こし、教室に走っていった。

ーーーーおいおい。そこまで慌てなくてもいいだろう。

オレは驚きとあきれの感情を同時に抱いた。

今日は授業はなく遠足だ。
まず、一回教室に集合した後、出席の確認をしてから
敷地内に入ってきたバスに乗った。

そして、バスに揺られて目的地に向かう。
着いたのは水族館。
グループではなく、それぞれ並んで進んでいく。
オレ達は9組なので、一番最後。
8組の最後の一人が入館してから出発だ。

8組の最後の一人が入館した後、ほぼバスの座っている席順でオレ達は水族館に入った。


「・・・きれい」

「・・・すごい」

 しばらく進むと感嘆の声を聞こえてくる。
 水族館で見える光景。
おそらく、今はどこでも見えないだろう。

大災害と呼ばれる天変地異が起きてから、数百年。
それ以前なら普通にみられた生き物も今はみることすら叶わないことが多い。

「・・・美味しそう」

ふと聞こえる声。
オレは真っ先に疑った。
ーーーー声の主は女の子だ。間違いない。

ちらっと周りを見ると、焦げ茶色の長い髪を揺らした少女が、静かにオレから離れて行った。

ーーーー知ってるから恥ずかしがらなくてもいいのに

男どもの憧れの的である聖羅、実はああ見えてもかなりの大喰らいという噂を聞く。
ちなみに証拠も証言もすべて揃っている。

オレはこの後のことを考え、注意深く周りを見ながら進んだ。

しばらく歩くと展示は終わり、お土産を買う売店になっていた。
海の生き物をモチーフにしたアクセサリー、クッキーやチョコレートのような食べ物などいろいろ売っていた。

オレは周りを見回すと魚を主原料とした煎餅の類をいくつか手に取った。
ーーーーとりあえずこれだけあればいいだろう。

ふと見るとある光景が目に入った。

ーーーー気になったのだろうな。

あの愛らしい彼女が何かを手に取り、ため息をついた。

そして、沈んだ顔のままでその場を離れた。
彼女の姿が消えたのを確認するとオレは彼女がため息をした場所に近づいた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

離婚した彼女は死ぬことにした

はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども

神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」 と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。 大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。 文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

処理中です...