とりあえずのとりあえず

syu-innonne

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かきちらし7

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バァァンッ!!
チッ!多少身体に当たったが、大した事はねぇ!!


「え?どうして?」

彼女はオレの顔を覗き込んでいた。

「逃げろ!!ここから早く逃げるんだ!!」

彼女は起き上がると、奥の方に走り去った。
オレは立ち上がり彼女を見送ると振り向いた。
なんか言いたげに変な音が聞こえるが
オレには関係ない!!

「さぁ、そろそろアンタの仕事の時間だぜ」

オレは制服に隠していた短刀を取り出し、能力《ちから》を注ぐ。
短刀は本来の姿である日本刀に戻る。
オレの足くらいの長さのそれを鞘から引き抜いた。
そしてーーーー

バシュッ!!!!

黒い目玉の化物、バックベアードだっけ?
オレは化物を目玉毎真っ二つにした。

なんか不快な耳鳴りみたいな音がしたが
多分気のせいであろう。
ーーーーあいつをもとに戻してっと。
オレは持っていた刀を短刀の姿に戻し、再び隠す。
そして、奥の方に駆け出した。

奥にある少し広い空間で彼女は蹲っていた。

「うっうっ・・・・ごめんなさい!!真人ぉ!
 わたしがあなたを疑っていたばかりに」

ーーーー泣いてる!オレのせい!?

『それは違うだろ』

ーーーーそこ、余計なことを言うな。
 理由はどうあれ早く声をかけるとするか。

「おーい、大丈夫か?」
「え?」


オレが声をかけると彼女は振り向いた。

「え?生きてる?真人なの?」

泣きそうな顔でこっちを見ている。

「オレは無事だぞ」
「え?だって・・・・・」
「たまたま岩が落ちてきて化物に当たったんだ」
「そうなんだ・・・・よかった~!!」

ガバッ

ギューと抱き締められる。
このまま夢という認識でいてくれ。
現実だとバレたら聖羅の方が恥ずかしさで
どっかに走りかねん。

ーーーーオレ、今日人生で最強に幸せな日だろ!

と言う事でオレは彼女を連れて奥に進むことにした。
流石に着いていくって言って聞かないので
危ない時は離れて大人しくするように言った。
彼女はそれを承諾した。

彼女のおかげでスイスイ進んでいく。
なんやら同じような夢を以前見たらしく
その記憶を新しいメモ帳に書き起こしていた。
最後に出てくる化物のことまで思い出したって
いうから驚きである。
オレはそのメモにある通りの化物とその倒し方を聞いて倒していく。

ーーーー今のところ、刀《あいつ》は使えないので
主に素手になっている。

身体能力検査の結果がルール違反《ドーピング》のオレである。
夢の世界であろうが現実であろうが、
余程の大物でない限り拳でなんとかできる。
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