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さあ、どちらにいかれますか?
しおりを挟む「で、どこにいきますか?」
「どこに行けばいいのか分かる?」
「分からないです」
少女はきっぱりと言った。
「分からないのにお手伝いしようとしてたんだね」
「行く先を知っているのは本人だけですもの」
ふふっと口元を袖で隠し、上品に笑う。
「この世界に迷い込んだのはあなたです。あなたが進む道はあなたがご存じでしょう?」
少女は当たり前のことだと言わんばかりの堂々とした態度で僕に告げた。
「どんな花を育て咲かせるかも、いつ枯らすかも、いつ種を植えるかもあなた次第。人生もそれと同じでしょう?」
「君は……いや、何でもない」
目の前で笑う少女が何を知っているのか、そんなことよりも自分が生き残る方法を探す方が先決だろう。
「では、少し助言を」
少女は僕の目の前に立って、こほんと軽く咳ばらいをした。
「あなたには好きな人がいます。しかし、その方はあなたのことを思っているのかさえも分かりません。さて、あなたはどうしますか?」
「は?」
意味が分からない。
急に好きな人の話をされて、話の脈絡がない。
「どういうこと?」
「質問が全てを物語ってますよ。好きだという気持ちを押し殺しますか?好きだから気に入られるために話しかけますか?欲望を隠して仲良くし、付き合った瞬間にその欲望を彼女にぶつけますか?」
「ちょっと待って、何で、急に、そんな話に」
「どの答えを選ぶのかはあなた次第、ですよ」
少女は静かに笑っていた。
「……つまり、どこに向かうかは、どんな選択肢を選ぶかは僕次第ってこと?」
「正解です。私は助言役。あなたの道を決める権利も義務もないのです」
自分の道は自分で決めろ。
そして、その責任を負うことも僕の仕事と言うことか。
「世界には悲劇も喜劇も何もない。ただただ暗く、花が落ちているだけ。そんな世界の中、どんな道を歩み、どんな燈火を灯し、その火をいつ消すのか。それはあなたが決めること。私が決めて良いことではないのです」
少女は悲しそうに呟いた。
「それさえ、できない人もいますけどね。私はそんな人には初めての選択肢を与え、人生は己で決めるものだと教えたいのです」
まるで、そんな人を見たことがあるような口ぶりだった。
そして、急に雰囲気を一変させ、明るい調子で腕を挙げた。
「さあ、どちらにいきますか?」
少女は僕の答えを聞くと無邪気に笑った。
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