恋せよ乙女!

高尾 閑

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・リズ:転生悪役令嬢(下)

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お母さんとの距離が縮まって今日で7日。そろそろお父さん攻略のために動こうと思います。実は今まで、お母さんの攻略と同時進行で、じわじわと水面下で動いていたんだけどね。

最初は絵手紙。お花とか、家とか、空とか、池とか。身近なものの絵を描いて、メイドさん経由でお父さんに送ってた。そのうちシュナ達に字を教えてもらって、簡単な手紙をこれまたメイドさん経由でお父さんにお届け。

そんなことを毎日コツコツ続けていたら、ついにお父さんから返事が来たのだ。や、返事というか、プレゼントなんだけど。今まで一度も貰ったことがなかったから、これはお手紙効果だと思って間違いないよね。

そんなわけで、次の段階に進もうと思います。

「おかーたまぁ!」
「あら、リズ。そんなにはしゃいで、どうしたの?」
「おかーたま、こえみて」
「まぁ、可愛らしいくまさん」
「くましゃん!」

両手で抱き抱えるほどの大きさのクマのぬいぐるみを、満面の笑みでお母さんに見せる。お母さんは微笑ましそうにしながらも、見覚えのないクマに、少し不思議そうだ。

「くましゃんね、おとーたまがね、くれたのよ」

ぎゅっとクマを抱き締めて言えば、お母さんは目を丸くした。

「旦那さま、が……?」
「リーね、ありあとー、ゆーのよ」
「え? ……リズ、お父様はお仕事で、帰りが遅いのよ。だから、お礼はお母様が伝えておくわね?」

お父さんがクマのぬいぐるみをプレゼントすることが想像できなかったのか、困惑気味のお母さん。だけどあたしの言葉に我に返ると、困った顔で言った。でも、ここでおとなしく引くわけにはいかないから。

「やー、なの! リーがおとーたまに、ありあとー、ゆーのよ」
「でも……」

折れないあたしに、お母さんはおろおろ。すると静かに見守っていたヴィチカが口を開いた。

「お嬢様、旦那様がお帰りになるまで、起きてられますか?」
「おかーたまといっちょだから、だーじょぶなのよ。リーはおとーたまに、ありあとー、ゆーのよ」
「……リズったら。しかたのない子ね。ではお母様と一緒に、お父様のお帰りを待ちましょうね」
「あい!」

小さくため息をこぼして、優しく微笑むお母さんに、あたしは元気よく返事をした。

そうして夜。

この幼い体が限界をむかえようとしたとき。ようやくお父さんが帰ってきた。

知らせを聞いて、一気に眠気が吹き飛ぶ。そしてその勢いのまま、部屋を飛び出した。待機場所は、1階の玄関ホールに一番近い部屋。だからゴールはすぐそこだ。

「おとーたまぁ~」

クマを抱えてトテトテと。

「おとぉ~たまぁ~!」

走るのに向いていない短い足を頑張って動かして、瞳はお父さんをロックオン。トテトテトテトテ。騒がしい割にはゆっくり近づいてくるあたしに、お父さんが無表情で固まっている。ちょっとおもしろい。

ようやくたどり着いたあたしは、勢いをそのままに、お父さんの足にタックルをかます。だけど、あたしとお父さんの足との間に挟まったクマがクッションになって、ポヨンと跳ね返されるあたし。

ひっくり返る前に支えてくれたお父さんの手を引っ張って、その場にしゃがんでもらってから、あたしはにっこり満面の笑みを浮かべた。

「おとーたま、くましゃんありあとー」
「あ、あぁ」
「くましゃん、かぁーいいのよ。リーね、くましゃん、ちゅきなのよ」
「そうか」
「おとーたま、ありあとー」
「いや、気に入ったなら、それでいい」

にっこにこお礼を言うあたしに、無表情で答えるお父さん。だけどその瞳が動揺で僅かに揺れているのはバレバレだ。

そこにまったりお母さんがようやく到着した。

「リズ、危ないから走っちゃ……あ、旦那さま」
「メイ……」

2人の間に、重い空気が流れる。執事さんやメイドさん達の間に緊張が走る。だけどそれをぶち壊すのがあたしだ。

「あ、おかーたま! リーね、おとーたまに、ありあとーいったのよ」
「あ……。そう、偉いわね、リズ。さすがだわ」
「えへへ~。おとーたま、リーね、おかーたまといっちょなのよ。だから、だーじょぶなのよ」
「いっちょ?」
「あ、その……旦那さまのお帰りを、一緒にお待ちしていたんです」
「しょーよ。おかーたまといっちょなのよ~」
「そうか。だがリズリアはとうに寝ている時間だ。こんな時間まで起きているなんて。礼などべつに……」
「旦那さま、それは……」
「リーがゆーのよ。ありあとーって、リーがゆーのよ。リーが、……っふぇ、うぅ……」

心配から顔をしかめるお父さんに、あたしはここぞとばかりに涙を流す。スンスンとすすり泣けば、2人は目に見えて狼狽えた。

「り、リズリア。泣くな」
「リズ。泣かないで。お願いよリズ」
「っリーが、ありあとーって……」
「ええ、そうよね。ちゃんと言えて偉かったわ。だから泣かないでリズ、ね?」
「っひく……。おとーたま、は、リー、ちゅき?」

無表情から更に表情をなくしたような顔で狼狽えているお父さんを、うるうるお目目で見上げる。

「リーは、おとーたま、だいちゅきよ。おとーたまは?」
「……もちろん、お、お父様もリズリアが大好きだ」
「おとーたま、だいちゅき!」

そう言って、ぎゅっとお父さんに抱きつく。もちろんクマも一緒だ。それからパッと顔を上げて、戸惑っているお父さんを見上げる。

「リーね、おとーたまとおかーたま、だいちゅきよ。おとーたまは?」

あたしの質問に、背後でお母さんが息を飲んだ。執事さんやメイドさん達の間にも、再び緊張が走る。だけどあたしは確信していた。今のお父さんなら、大丈夫って。

「もちろん、お父様も、リズリアとメイが大好きだ」
「旦那さま……」

ほんのりと耳を赤くしたお父さんが、ぎこちなく笑みを浮かべて言った。そして、お母さんの涙に濡れた声に顔を上げると、

「今まですまなかった。メイ、愛しているよ」
「だん、旦那さまっ……。わたくしも、わたくしも愛しております。ラルクさま」
「メイ……!」
「ラルクさま……!」

こうして、幼いあたしを間に挟んだまま、2人は愛を確かめあい、無事にわだかまりはなくなりました。

今までの分を取り戻すかのように愛し合う2人は、見てるこっちが恥ずかしいほどで……。執事さんやメイドさん達は、そんな2人を微笑ましそうに見守りながらも、時々砂を吐きそうな顔をしている。

そしてあたしも、ひねくれる暇なんてないくらいに、2人にデロッデロに甘やかされて育っております。

こんな感じで、順調に進んでたあたしだけど、まさかの事態が起きてしまった。いや、あの2人の様子を見ていたら、予想はできたんだけど……。

あたしが4才になった半年後。弟が産まれました。

とっても喜ばしいことなのに、設定と違う出来事に衝撃を受けたあたしは、1週間寝込み、3日ほど呆然とした。

だけどまぁ、生まれてしまったものはしょうがないし、結局弟は弟だ。それに、家族仲良好であたしがぐれてない時点で、物語は変わってるわけだし。この変化はきっと、いい変化なんだと思う。

だから小さな弟を、あたしもめいいっぱい可愛がっていたんだけど……。

あたしの5才の誕生日。お父さんが1人の少年を連れてきた。

「リズ、この子は」
「おとーと?」
「は? リズ。リズの弟は、ライだろう?」

大事な話があるからと部屋に呼び出されたかと思えば、あたしと年の変わらない男の子がいたからつい……。だけどどうやら違うらしい。

よかった。今のところ順調なのに、ここにきて弟ぶちこんでくるのかとおもって、ドキドキしちゃったよ。

ほっと一安心するあたしを、お父さんがなんとも言えない顔で見てくる。それからコホンと咳払いをすると、ゆっくりと口を開いた。

「あー、リズ。この子はレナード。今日から一緒に住むことになったから、仲良くするんだよ。それから、外に出ちゃダメなのは今までと変わらないが、レナードと一緒なら、中庭に出てもいいことにしよう。それとこれからは、基本的にレナードと一緒にいなさい。年も近いからいい遊び相手になるだろう。それにリズは危なっかしいからね。よく倒れるし、そばに」

ぐだぐだとお父さんがいろいろ言っているけど、後半はもう耳に入ってなかった。だって、今日から一緒に住むって。つまりはそーゆうことだよね?

え、ちょっと待ってほしい。物語は変わったんじゃなかったの? だって弟産まれたじゃん。それなのにやっぱり彼は来るの? 弟じゃなくて、よくわからないけど居候的なのとして?

だって絶対この男の子、物語で弟だった子でしょ? なにこれ。あたしにこの子を虐めろって? それで約10年後に死ねと?

ああ、神様はひどすぎる。運命は変えられないって? おとなしく従えってことなの?

あたしは絶対嫌だからね。幸せに生きて、よぼよぼのおばあちゃんになって死ぬんだもん。運命なんて変えてやる。そのために今まで頑張ってきたんだから。

まだ喋り続けているお父さんは放置することにして、その横でぼんやりとあたしを見つめる男の子に、あたしはにっこり笑いかけた。

「レナちゃん、リーといっぱいあしょぼーね」
「え、……レナ、ちゃん?」
「う? レナちゃん、でちょ?」

にっこり笑う。まずは仲良くならないと。ゆっくり少しずつなんて言ってられない。この調子だと王子さまに会うのは避けられそうにないからね。

今この段階で一気にこの男の子との距離を詰めて、強制的にでも仲良くなって、警戒心や嫌悪感を抱かせないようにしなくちゃ。覚悟してね、レナちゃん? 悪いようにはしないからさ。

にっこりと、企みを可愛い幼女の笑みで隠すあたしに、レナちゃんはこくんと頷いた。

「……はい、レナちゃんでいいです。リズリアさま」
「ちがうのよ」
「へ?」
「リーはおねーしゃまなのよ。リズリアしゃまじゃ、ないのよ」

表情の乏しい男の子の頭に、?マークが浮かぶ。

「リーはおねーしゃまなのよ」
「え、っと……でも……」
「レナちゃん、いくちゅ?」
「……4さいです」
「ほらね、リーがおねーしゃまなのよ」

戸惑う男の子に、笑顔で脅す。さぁ、弟として可愛がってあげるから、おとなしくお姉様とお呼びなさい。

さぁさぁ、と詰め寄るあたしを止めたのはお父さんだった。

「リズ、何度も言うが、レナードは弟じゃないんだ。だから、お姉様とは呼ばないんだ。そんなに弟がもう1人欲しいなら、」
「じゃあ、リズでいーよ」

デレッと表情を崩すお父さんを遮って、レナちゃんに言う。レナちゃんは戸惑ったような表情で、恐る恐る口を開いた。

「えっと……リズ、さま」
「リズ」
「でも…………わかりました、リズ」

あたしが折れないことに気づき、観念したように頷くレナちゃんに、あたしはさらに笑みを深くした。

そうして、あたしとレナちゃんがトイレと寝る時以外の時間を共にするようになって、約半年。お城から招待状が届いた。

もちろんあたしは反対したよ。でもダメだった。

過保護なお父さんのお陰で、見事な引きこもり生活だし、他人との関わりも1度もない。さらにはお父さんの過保護に影響されて、レナちゃんも過保護予備軍みたいになってるし。あたしも地道に、何もないところで転けたり、階段踏み外してみたり、頑張った甲斐があった。

まぁそんな過保護な2人に泣いて訴えて見たんだけどねぇ……。

「おとーさま。リー、いきたくないよぉ。リー、おうちいる。おしょと、こあいんでちょ? やだよぉ……。リー、ずっとおうちがいいよぉ」

って。お父さんもレナちゃんも、辛そうな顔して、王様からの招待だからって言ってた。やっぱり行かないわけにはいかないらしい。

こうなったら作戦Bだ。レナちゃんにベッタリくっついて、一言もしゃべらない作戦でいこうと思う。そんな令嬢を、王子さまの婚約者にはしたいと思わないはずだから。

いよいよ運命の日。

お母さんは心配そうにしながらも笑顔で、お父さんは無表情の仮面で感情を隠して、あたしとレナちゃんを送り出してくれた。これから大人は大人同士、子供は子供同士の時間だ。

もちろんあたしはレナちゃんの腕にしがみついて、その腕に顔を押し付けるようにして隠れている。レナちゃんとはすっかり仲良しだから、嫌がられることなく、むしろ喜んで腕を差し出してくれた。

「リズ、ジュースのみますか?」
「……うん」
「じゃあ、あっちにいきましょう」

本当は、王子さまに挨拶したりとかしなきゃいけないんだろうけど。レナちゃんがせっかく提案してくれたし、王子さまには近寄りたくないから、あたしは喜んで頷いた。

相変わらずレナちゃんの腕にしがみつきながら、2人でまったりジュースを飲んだり、お菓子を食べたり……。もしかしてこのまま帰る時間までうまくやれるんじゃ、なんて思ったとき。

「おい、おまえら!」

子供特有の高い声が、それをぶち壊しにやって来た。

気づけばすぐ傍に王子さまがいて、その両端に怒った顔の男の子。さらには他の子供たちも、あたしたちを囲うように集まっていて……。これは、ヤバイんじゃ……と思ったときには手遅れだった。

レナちゃんがさりげなくあたしの前に立ってくれたから、あたしはレナちゃんの腕にしがみつきながら、その背中に身を隠した。

「おまえら、さっきから2人でなにやってるんだよ!」
「ここはおしろだぞ! なにしにきたんだ!」
「まぁまぁ、2人とも。そんなにおこらないで」
「ですが……」

なんだかごちゃごちゃやりだした3人。このまま帰れないかなぁなんて考えてたら、レナちゃんが振り返って頭を撫でてくれた。うん、ちゃんと時間まで頑張ります。

「おい! おうじがはなしてるのに、なにしてるんだよ!」

レナちゃんにホンワカしてると、1人が噛みついてきたから、大袈裟に肩を揺らして、ぎゅっとレナちゃんにしがみつく。

「だいたい、おうじにあいさつにこないで、おかしばっかくって、おまえらは」
「すいません、リズがこわがるので、どならないでくれますか? それからおうじ、あいさつがおそくなりました。こちら、リズリア・シャンティーこうしゃくれいじょうさまと、じゅうしゃのレナードでございます。それでは」

言うだけ言って、さりげなくこの場を去ろうとするレナちゃんにエスコートされながら、あたしはポカーン。

じゅうしゃって……従者、だよね。え? レナちゃんあたしの従者だったの? だから四六時中一緒だったの? びっくりだけど、何となく納得。そっかそっか。レナちゃんあたしの従者か。

なんて思ってたら、突然ぐいっと腕を掴まれて、レナちゃんの腕を掴んでいた手が離れる。

「ふぇっ……?!」
「リズ?」

驚いた顔で振り返るレナちゃんと、後ろからあたしの腕を掴む誰か。そろりと後ろを振り返れば、そこには王子さまがいた。

王子さまを認識したとたん、ぶわりと肌が粟立つ。なんで? どうして……? レナちゃんと逃げようとしたから? 王子さまに挨拶しなかったから? だからムカッときてあたしのこと掴んだの?

後から後からわいてくる疑問。だけど、そんなことよりも今すぐ離れないと。どこに婚約者に選ばれる要素が落ちてるか、わからないんだから。

あたしはプルプルと体を震わせ、涙の溜まった瞳でレナちゃんを振り返った。

「れな、ちゃ……」
「っリズ! おうじ、いますぐそのてをはなしてください」
「いや、おれは」
「レナちゃんっ……」
「はなしてください、おうじ!」
「っひぅ……っ! れな、ちゃ……ひゅっ……」
「リズ! はなせ!」

ぎゅっとあたしを抱き締めたレナちゃんが、王子さまを突き飛ばす。

やっば。手っ取り早く泣いて逃げようと思ったら、やり過ぎて過呼吸になっちゃったよ。焦った顔であたしを抱き締めるレナちゃんに、申し訳ないと思いながらも、あたしの意識はフェードアウトした。


あれから10年。あたしはあと数ヵ月で16歳になる。

「おはようございます、リズ」
「あ、レナちゃん。おはよー」
「……リズ。レナちゃんはもうやめてくださいと、何度言えばわかってくれるんですか」
「えー? だってレナちゃんでいいって、言ってたじゃない」
「それはいくつの時の話ですか」

呆れた顔のレナちゃんに、あたしはクスクス笑う。

この10年、いろんなことがあった。

まずあの日。倒れたあたしに、お父さんもお母さんもキレて、王様に抗議したらしい。で、結果、王様と王妃様から謝罪され、あの場にいた子供たちの親からも謝罪された。

王子さまは知らない。王子さまの話題を出して、あたしがまた倒れたら大変だとかで、我が家の使用禁止ワードになってるから。

で、そのまま、実は候補にあがってた婚約者の件も無くなった。やったね。

家族仲は相変わらず良好で、むしろ仲良すぎで。10年で兄弟が6人増えた。だから今は8人兄弟だ。あ、でも今お腹に赤ちゃんいるかもってこの前お母さんが言ってたような……。

家族が増えたにも関わらず、お父さんとお母さんとレナちゃんの過保護具合は相変わらずだ。弟たちよりも心配されてる気がするくらい。

四六時中レナちゃんと一緒だし、外に出るときは絶対馬車だし。それに、学園にも通ってない。

理由は、必要がないから。もともと前世社会人のあたしは学力高いし、お父さんが社交界に出なくていいって言ってるから、社交性や貴族としての人脈なんて要らないし。マナーも完璧だし。

なにより、王子さまが通ってるからね。

こうして見事、若くして死ぬ運命を壊したあたしだけど。ひとつだけ、誤算があった。

「まったくリズは……。ですが、結婚したら、ちゃんと呼んでくださいね」
「ふふ。レナちゃんが大人になったらね」
「あと1年。覚悟してくださいね、リズ」
「っ……! もう!」

わざと耳元で甘く囁くレナちゃんに、顔が熱くなる。

そう。あたしとレナちゃんは婚約しているのだ。

若くして死ぬ運命を壊すため、レナちゃんに好かれようといろいろ頑張ったけど。いつの間にかあたしがレナちゃんにモーションを掛けられていた。

毎日毎日、じっくりと時間をかけて。レナちゃんがあたしに好意を持ったのが、いくつの頃なのかわからないけど。罠にかけようとして、罠にかけられたのは自分だった、みたいな。

レナちゃんに告白されたのは15歳の誕生日。真っ赤になって固まるあたしを、お母さんは弟たちときゃあきゃあしながら見てて、お父さんはちょっと拗ねた顔をしていた。あの過保護なお父さんが怒らないなんて珍しい。

あとからレナちゃんに聞けば、レナちゃんの気持ちはみんな知ってて、事前にお父さんとお母さんに許可をもらっていたらしい。お父さんも、レナちゃんならしかたがないって許してくれたんだって。

で、もうとっくにレナちゃんを好きになってたあたしは、もちろんオーケーした。だけど、結婚は1年後。レナちゃんの誕生日が過ぎてからだ。

なぜなら、この世界では男子は16歳、女子は15歳で大人とみなされる。結婚も、その年齢を過ぎなければできない。レナちゃんはあたしの1個下だから、1年待たなくちゃいけないのだ。

1年後、物語では死んでいるあたしが、レナちゃんの奥さんとして新たな人生を歩み始める。

「早く大人になってね、旦那様?」



【完結】

 
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