夜の森、夜の海

双葉紫明

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ペンネーム総理

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 わたしのパパがソーリダイジンになっちゃった!
 世界中でお金が無効になっちゃったんだ。
 貧乏人の反乱。
 そしてパパは、貧乏神なんだって。

 それは皮肉な事に、アメリカの富裕層と軍部が結託して寡占したのち不自然に一般に普及させる新旧の技術を介して着々と進行した。
 インターネット。
 監視・洗脳ツールとして利用されたその中で、クーデターは静かに進んだ。
 次の技術はフリーエネルギーだったが、これはまだ寡占段階であり、様々のエネルギー資源の価格操作やそこに準拠した株価・為替操作を担保し、より資産の一極集中と庶民の奴隷化に役立っていた。
 それらの事情を知り、その歪な構造の根因を金に求め、金の無価値化を旗印に活動する一団が現れた。
 彼らは陰謀論者として、トンデモな論旨を隠れ蓑に、軽視されたままネット上に増殖した。
 フリーエネルギーの開放を切り札にした金の無力化。
 水、食糧。
 それらの核心について集まる時、彼らはパソコンもスマートフォンも自宅に置いて来た。
 外堀からじわじわ埋め、もう少しというところ。
 しかし、富裕層と軍部はウィルスを流行させ、紛争を演じ、そこに情報の混乱を加味して庶民を疲弊させ・分断した。
 経済弱者や育児世帯への給付金も、その一環として功を奏したかに見えた。
 しかし、彼らの知らぬところで、いつのまにかフリーエネルギーの存在は明るみに出て、金の無価値化がまことしやかに囁かれる様になると、一瞬にして形勢は逆転した。
 みんな、ネットと離れたところで結び付き、貧乏人も、ある程度の金持ちも、打倒1%で一致していた。

 クーデター?それが世界中で起きて、日本もそうなった時、パパが担ぎ出されたんだ。
 ずっとその敗北者イメージに目を付けられてたんだって。
 あ、演説始まる。
「あー、どうも、この度は総理になってアイムソーリー、なんて。双葉紫明と申します。色々難しい問題が山積みですけど、みんなで協力していけたら良いんじゃないでしょうか?みんな優しくして、喧嘩はやめにしましょう」
 恥ずかしくはないわ。
 わたしのパパって、あのちいさな村の300人くらいしか知らないもん。
 だって、双葉紫明はペンネームだから。
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