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本さえあれば、あとは別に
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幼馴染のアンナという子が乱入してきてからおよそ数刻後。
最初は静かに恋愛小説を読んでいた彼女だったが、活字が得意では無いのかすぐに根をあげ、今ではしきりにベネディクトに話しかけていた。
「ねえ、何読んでんの?」
「……哲学書だ」
「えっ、ベネディクトが剣術関連以外の本読むなんてどういう風の吹き回し!?」
「……別に、お前には関係無いだろう」
「もー、そういう態度ばっか取るから周りから女の子がいなくなっちゃうんだよ?ねえ、フラヴィアちゃんも何か言ってやんなよ!」
「………………………」
「……ふ、フラヴィアちゃん?」
「無駄だ。俺が12回くらい話しかけてやっと反応したぞ、さっき」
「そ、そうなんだ…」
騒がしい2人を尻目に、フラヴィアは古代に伝わる決闘の方法が現代の原型である、という項目を熱心に読み進めていた。剣技には疎い彼女だが、剣技は世界共通の競技。寧ろ今まで触れてこなかったのが不思議な程外交において重要な話題の一つだろう。一枚一枚、穴が開くのでは無いかと思うほどの集中力で彼女はページを捲った。
「俺も今読者に集中している。邪魔をするなら帰れ」
「はあ……ほんっと、フラヴィアちゃんとの未来が思いやられるわー」
「……………」
「ねえ」
「……………」
フラヴィアがその本を読み終えたのは、日が落ちかけた夕方頃のことであった。
ふっと視線を上げると、アンナという女の子は眠っていた。対してベネディクトは静かに読書をしており、なんとなくどちらにも話しかけずらい。
しかしこれ以上長居をする気もないので、フラヴィアはベネディクトに控えめに話しかけた。
「……あの」
「!驚いた、きみか。もう読み終わったのか?」
「ああ、はい。素晴らしい本でしたわ。初心者にも分かりやすいようにルールが書いてあって、特に歴史が面白くて……」
「そうか。確かに剣技の歴史は人間の武具の歴史とも言えるからな。っと、もうこんな時間か。そろそろか?」
「はい。本日は本当に、夢のような時間でしたわ………。次にお尋ねするときは、是非他の剣術の本も読んでみようと思います」
「……そうか」
「こんな素晴らしい書庫をお持ちの方と知り合えるなんて、ありがたいことですわ」
ニコ、と微笑んだフラヴィアに、ベネディクトもまた微笑んだ。
夕暮れの淡い日差しが差し込む中、微笑み合う2人は絵画のようである。
「………剣技に興味が出たのなら、私の練習も観にくるか?」
何故か、少し言いづらそうに尋ねられた。先ほどまで実践もなしに活字を脳に叩き込んでいた彼女にとって、願っても無い提案である。
「まあ、良いのですか?練習では試合もありますか?この目で確認したいことがいくつもありますの。是非、ご迷惑では無い範囲でご同行させて頂きたいです」
「………ふ。迷惑だなんて。君は無駄に騒いだりもしないだろうしな…。それに、練習に一度も来ない方が婚約者として怪しまれる」
「それもそうですわね。では、そろそろお暇させていただきますわ」
「ああ。送ろう」
いびきをかいて眠るアンナを置いて、2人は書庫をしずしずと出ていった。
初対面よりも随分と柔らかな態度になったベネディクトと本の話に花を咲かせながら、その日は帰路についたのだった。
最初は静かに恋愛小説を読んでいた彼女だったが、活字が得意では無いのかすぐに根をあげ、今ではしきりにベネディクトに話しかけていた。
「ねえ、何読んでんの?」
「……哲学書だ」
「えっ、ベネディクトが剣術関連以外の本読むなんてどういう風の吹き回し!?」
「……別に、お前には関係無いだろう」
「もー、そういう態度ばっか取るから周りから女の子がいなくなっちゃうんだよ?ねえ、フラヴィアちゃんも何か言ってやんなよ!」
「………………………」
「……ふ、フラヴィアちゃん?」
「無駄だ。俺が12回くらい話しかけてやっと反応したぞ、さっき」
「そ、そうなんだ…」
騒がしい2人を尻目に、フラヴィアは古代に伝わる決闘の方法が現代の原型である、という項目を熱心に読み進めていた。剣技には疎い彼女だが、剣技は世界共通の競技。寧ろ今まで触れてこなかったのが不思議な程外交において重要な話題の一つだろう。一枚一枚、穴が開くのでは無いかと思うほどの集中力で彼女はページを捲った。
「俺も今読者に集中している。邪魔をするなら帰れ」
「はあ……ほんっと、フラヴィアちゃんとの未来が思いやられるわー」
「……………」
「ねえ」
「……………」
フラヴィアがその本を読み終えたのは、日が落ちかけた夕方頃のことであった。
ふっと視線を上げると、アンナという女の子は眠っていた。対してベネディクトは静かに読書をしており、なんとなくどちらにも話しかけずらい。
しかしこれ以上長居をする気もないので、フラヴィアはベネディクトに控えめに話しかけた。
「……あの」
「!驚いた、きみか。もう読み終わったのか?」
「ああ、はい。素晴らしい本でしたわ。初心者にも分かりやすいようにルールが書いてあって、特に歴史が面白くて……」
「そうか。確かに剣技の歴史は人間の武具の歴史とも言えるからな。っと、もうこんな時間か。そろそろか?」
「はい。本日は本当に、夢のような時間でしたわ………。次にお尋ねするときは、是非他の剣術の本も読んでみようと思います」
「……そうか」
「こんな素晴らしい書庫をお持ちの方と知り合えるなんて、ありがたいことですわ」
ニコ、と微笑んだフラヴィアに、ベネディクトもまた微笑んだ。
夕暮れの淡い日差しが差し込む中、微笑み合う2人は絵画のようである。
「………剣技に興味が出たのなら、私の練習も観にくるか?」
何故か、少し言いづらそうに尋ねられた。先ほどまで実践もなしに活字を脳に叩き込んでいた彼女にとって、願っても無い提案である。
「まあ、良いのですか?練習では試合もありますか?この目で確認したいことがいくつもありますの。是非、ご迷惑では無い範囲でご同行させて頂きたいです」
「………ふ。迷惑だなんて。君は無駄に騒いだりもしないだろうしな…。それに、練習に一度も来ない方が婚約者として怪しまれる」
「それもそうですわね。では、そろそろお暇させていただきますわ」
「ああ。送ろう」
いびきをかいて眠るアンナを置いて、2人は書庫をしずしずと出ていった。
初対面よりも随分と柔らかな態度になったベネディクトと本の話に花を咲かせながら、その日は帰路についたのだった。
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