悪役王子は死にたくないので、悪役令嬢と未来を見る

しーき

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ディオルゲルの回想 ~中編~(ディオルゲル視点)

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「さっきお前に聞いていたのは、このロデルナで問題があったからだ」
殿下は地図で王都に近い場所を指差しながら言った。

「ここは以前、人口増加のために市場を増やしたんだ。働き口が増えたため人口は増加したが、暫くしたら疫病が流行り出した」

「だから、先程は疫病が流行る原因は?と聞いてきたんですか」

「あぁ。衛生面だと思ったが、孤児の改善には莫大な費用がかかるから身綺麗にする習慣がつくように大衆浴場をとりあえず設置した。だが、客の入りが良くない」

「そもそも、貴族は大衆浴場なんて入らないですし、孤児は入浴料が払えないですからね」

「そうだな……他に施策を打とうにも金がない……」
どうやらお金は、税収の何割かを予算として年度始めに与えられるらしい。

俺は少し考えた後、口を開いた。
「………市場では何を売り始めたのですか?」

「そこまで設定していない。実際に何を売るかはオートになる。何が売られているか確認することも出来るが……実際に魔法を使ってこのロデルナへ視察に行く必要がある……」
なんと、魔法で実際のゲームの中に入ることが出来るらしい。

「時間も体力も本当の視察のように使うから、あまりやらないんだ」

「でも、おそらく市場で何か疫病が流行るものが売られたんだと思いますよ」

「やはりそっちか………」
検討はついていたのだろう。だが、本当の視察のように時間を使うということは、第一王子のスケジュール的に深夜に行うしかない。王子教育は過密なスケジュールだし躊躇ったのだろう。

「やはり現状把握しないで金ばかり使ってもダメか」
9歳でその思考に至れるのか……。
このゲームによるところか、はたまた王子教育の賜物か。

このゲームは本当の領主になったように采配を振れる。アルストロメリア帝国の王族が作り上げた叡智の結晶なのかもしれない。それを使いこなしているレイモンド殿下にも目を見張った。
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