時間と恋

冬上幸

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初日~

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今、俺は授業を受けている。数学の授業だ。先生は前回の続きからと言っていたが俺は覚えていない。いや、正確には覚えているはずがない。
先「えー、ではここの問題を佐藤、」
え、なんで一発目から俺なんだよ!
夏「えーっと…分かりません…」
先「ここ前回の復習だぞー、まぁいい、じゃあ隣の小山」
秋「x=7です」
先「正解だ」
先「では次の問題をー…」
まず今なにをやってんだよ!わかんねーと答えれるもんも答えれねーよー…
それにしても小山さんは流石だなー…
彼女は小山秋花、品行方正、成績優秀
さらに運動神経も抜群だ。なので男子生徒は皆、彼女に夢中だが告白したものはこっぴどく振られたらしい。なんて可哀想に…

そんなことを考えてるうちに授業が終わっていて昼休みになった。そして俺の記憶の限りでは…
千「秋花ちゃーん!お昼一緒に食べよ!」

そう、俺の幼馴染、井上千冬は小山秋花と親友なのである。正直羨ましい。

千「そーいえばもうすぐ文化祭だよね!」
秋「そういえばそうだね」
今は文化祭前の季節なのか
千「うちのクラスまだ何やるか決まってないよねー」
秋「確か出ていた案はお化け屋敷とメイド喫茶と縁日だよ」
確か俺の記憶ではお化け屋敷になったはず…
千「秋花は何にするつもりなの?」
秋「私は正直どれでもいいわ」
千「えーせっかくの文化祭なのにー、
他に何かやりたいのなかったの?」
秋「そうね、特にこれといった物は」
千「ふーん、秋花らしいや。あ、ちなみに私はお化け屋敷やりたい!縁日もいいけどメイド喫茶は嫌!絶対男子にジロジロ見られるし…でもどーせなら文化祭らしいものしたいし…」
秋「あらそう?私は別にメイド喫茶でもいいけど」
千「え!もしかして秋花って意外とコスプレとか興味あったり?」
秋「いえ、ただ単にどれでもいいのよ」
確かにこんな会話していたな…
でも小山さんが言っちゃうと…
ザワザワ…
男子生徒A「おい、今の聞いたか…小山さん別にメイド喫茶でもいいらしいぞ」
男子生徒B「あぁ別にそれがなんなんだよ?」
A「よくよく考えて見ろよ、小山さんのメイドだぞ?」
B含む周りの生徒「!!!」
B「たしかに、これはメイド喫茶一択だな」
A「だろ?そのためなら俺はなんでもする!」
あーあーやっちゃったよ…
たしかこれでお化け屋敷と僅差だったんだっけ、たしかにクラス、いや学校で一、二を争う美女のメイドは見てみたい。でもなぜお化け屋敷になったかと言うと…
女子生徒A「えー…男子がなんか燃えてるんですけど」
女子生徒B「え、私絶対メイド喫茶嫌なんですけど」
女子生徒C「私もー絶対男子が考えたでしょこれ」
そう、クラスの女子のほぼ全員がメイド喫茶以外に入れたのである。しかも縁日ではなく千冬の考えの人が多く、メイド喫茶はしたくないが文化祭らしいことはしたいということでお化け屋敷に入っている。
夏「やっぱりこうなるかー」
春「やっぱりってなんでだ?」
夏「いや、なんでもない、こっちの話だ」
また未来を知っているからと言っても信じて貰えないので適当に誤魔化す。
春「それでも小山さんの人気は流石だな」
夏「ほんとに、この学校のほとんどの男が小山さんのこと狙ってるんじゃねーの?」
春「まぁありえないこともない」
夏「そのモテモテパワー俺に分けてくんねーかな…」
春「それは無理だな」
夏「なんで決めつけんだよ!いいよな!お前はモテるからさこっちはこれまで彼女どころか告白されることもねーんだよ!」
春「まぁお前も頑張ることだな…」
夏「頑張っても彼女ができねーからこうやってへこんでるんだろ!」
こうやっていつも通りの会話を久々にしたことで俺は内心舞い上がっていたのかもしれない。
そんな気持ちの中俺の中である疑問が生まれる。
これもし本来と違うことをしたらどうなるんだろう。
記憶の中だと俺は投票でお化け屋敷に入れていたはず。だがここで俺がメイド喫茶に入れるとどうなるんだろう。
まぁ物は試しだな!やってみるか!

次の時間

先「じゃあ文化祭の出し物決めるぞー。
確か候補が…お化け屋敷、メイド喫茶、縁日だな」
俺はここでお化け屋敷ではなくメイド喫茶を選ぶ
先「じゃあ紙に何したいか書いてここの箱に各自入れてけー」
そして俺は「お化け屋敷」ではなく
「メイド喫茶」と書いたすると…
先「えーっとお化け屋敷が20、メイド喫茶も20だ」
なんと同票になってしまった。
生徒「えー」
先「この場合どーするんだ?どっちか一つをするのか?それとも他を考えるのか?」
みんな文化祭まで残り1ヶ月ということで他の案を考える時間はないということでその2つのどっちかをすることになった。そこでやはり派閥が生まれる。
男子A「やっぱり文化祭はメイド喫茶だろ!普段とは違う格好の人達がいる特別感の中で現実では味わえない幸せを与えることができるのがメイド喫茶のいいところだ!」
女子A「それってあんた達の妄想と願望でしょ?別に女子はみんながみんなメイドをしたいってわけじゃないの、それならみんなでできるお化け屋敷とかの方がいいじゃない」
男子B「でもお化け屋敷だって怖いっていう人いるじゃないか!ならみんなが楽しめるメイド喫茶の方がいい!」
女子B「だから!メイドをする人は全員が全員楽しいと思えないわけでしょ?ならお化け屋敷ならする人は驚かすことが出来て楽しいしやられた方も多少は楽しいと感じるはずよ!」
大変だ…俺の好奇心がために未来が変わってしまった。これでは埒が明かない…
先「あー、熱くなってるとこ悪いがその辺で終わりにしておこう、続きはまた明日な」
こうしてなんとかその場は収まったが結局何日経っても話は平行線のままだ。
千「結局どっちになるんだろーね」
春「そうだなーまぁ俺はぶっちゃけどっちでもいい」
夏「俺もどっちでもいいが…このままだと出し物が決まらなくて準備できねーよ」
千「なんで男の子はそんなにメイド喫茶がいいのかな?メイドに魅力ってあるの?」
夏「お前…絶対にそれ俺ら以外の男子に言うなよ…」

こんな会話をした翌日

このままだとどーしよーもねーな、どっちかに決めるってことは今のところ無理だしかと言って他の案が浮かぶわけでもない。困ったなー、まさかここまで未来が変わるとは…
そんなことを考えてるとその放課後

秋「あのー、一ついい?」
小山さんが男子と女子が言い合ってる中に声をかけた。
秋「このままでは埒が明かないわ。」
女子「ならどうするの?私たちメイドは嫌だよ?」
男子「俺達も折れる気はないぜ」
秋「やっぱり女子側も男子側もそうよね、だから一つ意見を出すわ。」
そう言い一呼吸置いて口を開けた。
秋「両方やるって言うのはどうかしら?」
秋花以外全員「・・・え?」
秋「だから2つともやるって言ってるのそうすれば平和に解決できるでしょ?」
女子「そうだけど…」
男子「具体的にどうするんだ?」
秋「そうね、まず女子はメイドをやりたくないんでしょ?」
女子「そりゃそうよ!あんなに恥ずかしい格好で接客なんてできないよ!」
秋「でも男子はメイドがいないとメイド喫茶じゃないわよね?」
男子「そりゃそうだ!メイドがいないメイド喫茶なんてただの喫茶店になっちまう」
秋「ならメイド喫茶はやるわ」
秋花以外全員「!!!」
男子「ほん、秋「ただし、メイドは女子はやりたくないみたいだから男子がやるのよ」
男子全員「・・・は?」
秋「そうすればメイドはいるからメイド喫茶ができるわ」
男子「いや…まぁ…」
秋「文句なんてあるわけないはずよ、そうよね?ゴゴゴ」
男子「は、はい!」
秋「ならよし、女子はお化け屋敷できるわね?」
女子「まぁできないこともないと思う…」
秋「ならこれで解決ね、他に質問ある人いる?」
千「はい!場所はどこでするの?さすがに教室で二つは無理だよね?」
秋「大丈夫よ、既に隣の空き教室を借りてるわ」
全員(さすが…小山さん…)
秋「ならこれで文化祭の出し物ら決定ね。明日から準備するわよ」

帰り道

夏「いやー小山さんすごいこと言い出したな」
千「まさか両方やるって言い出すなんて、私も思ってなかったよ…」
春「俺もだ…しかしできるのか?」
秋「できるわ」
3人「!!!」
夏「え、」
春「…」
千「秋花ちゃん!?」
秋「ちょうど通ったら私の話をしているものだから話しかけたのよ」
そりゃそうだ…まさか本人がここにいるなんて思ってないからな。
夏「小山さんいつからいたの?」
秋「最初からよ」
千「全然気付かなかったよ!」
春「……」
秋「あら?そこの細川君は気付いてたみたいだったけど?」
夏「なんで言わねーんだよ!」
千「そうだよー!」
春「いや、なんか気付いてる上で話してるのかと…」
夏千「そんなわけない(だろ)(じゃん)!」
夏「はぁ…まぁそれで?小山さん本当に二つできるのか?」
秋「ええ、まぁいくつか問題は見えているけどそれ以外は大丈夫よ」
こんな展開初めてだ…小山さんと下校中に会うなんてこれも過去を変えた影響なのか?この先どうなるんだ?
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