1 / 55
番外編 ふしぎな夜のおひなさま
1 おひなさまを出す日にち(前)
しおりを挟む
わたしは並べ終わったおひなさまを見て、うきうきしています。
今日は2月22日。もうすぐおひな祭りです。
第4土曜日で学校がお休みの今日、しまってあったおひなさまをお母さんと出しました。
わたしの家のおひなさまは、五人囃子までの3段です。
クリスマスツリーとか、こうして1年のうち少ししか見られないおひなさま達に会えた時は、すごくうれしくなります。
こんなわたしは白石みかんです。10歳の小学4年生だよ。
そして生まれた時から魔法使いです。
魔法使いは、みんなを幸せにできるように、神様から特別な力をもらっているんだよ。
魔法には種類があって、そのかけ方を覚えた種類のは使えるようになります。
小学校の1年生にほうきで飛ぶ練習から始めて、2年生になったらペンダントなどの魔法のアイテムの使い方を教えてもらえます。
だから生まれつきといっても、わたしはちゃんと魔法を使うようになってからまだ3年です。
魔法の方はまだまだだけど、一生懸命がんばってます。
「おひなさま達にあげるもの、買いに行きましょう」
そう後ろからお母さんに声をかけられて、わたしは張り切って返事をしました。
「はーい!」
そうしてお買い物に出掛けて、おひな祭り用に並んでいるお菓子を買ってきました。
ここは雪がたくさん降る地方だから、外にはまだ少し雪が残っています。
でもお菓子をおひなさまの前に並べながら、わたしはもう春になったような気分です。
月曜日学校に行くと、クラスのお友達もほとんど、このお休みの間におひなさまを出したそうです。
それで、その話題になりました。
「もう、ちょうど1週間後だもんね」
麻緒ちゃんの言葉に、わたしはうなずいていいました。
「うん。早いね。もう春になるんだね」
そうおひなさまを出した時の気分を思い出します。
すると秋子ちゃんがもうちょっと先の、そしてもっとしみじみすることをいいました。
「あと1ヶ月で、わたし達も5年生か。
クラスは同じだから、そんなには変わらないと思うけどね」
その言葉にクラスのみんながはっとします。
わたし達の雪湖小学校は、4年生になる時に1回クラス替えをします。
今年からこのクラスになったので、来年も今のみんなと一緒です。
でもわたしも高学年になるのかあ。
そう考えても、あんまり実感がわかなくて不思議な気分です。
でも健治くんは元気に笑っていいました。
「今から先のことを考えてなくていいって。
4年生のうちは、4年生の気分でいなくちゃ」
その言葉に優香里ちゃんがうなずきます。
「そうだね。今は今で楽しくいようよ」
そうこの話が終わったところで、みゆきちゃんがおひなさまの方に戻しました。
「それにしても、おひなさまって1番出ている時期が短いよね。
今年も大体のみんなは、10日間ってことだもん。
クリスマスツリーだったら、20日くらいあるのにね」
その言葉にみんなうなずきます。
わたしが出した日から3月3日まで指折り数えたら、本当にぴったり10日でした。
うーん、本当に短いよね。
「2月はバレンタインデーがあるから、その後じゃないと、ひな祭りの気分にならないからね」
そう美穂ちゃんが納得な意見をいったので、わたしは考えてみました。
「じゃあ遅くまで出していればいいんじゃないかな?
3学期の終わる頃までとか」
そうしたら、お祝いは終わっているけど、おひなさまを長く出しておいてあげられるよね。
だって1年間のうち10日以外は押し入れの中なんて、あんまり寂しいから。
でも彩ちゃんは首を振りました。
「それはだめだよ、みかんちゃん。
おひなさまはひな祭りが終わったらすぐにしまわないと」
よくそう聞くけど、わけは知らなかったのでたずねます。
「どうして?」
すると彩ちゃんは首をひねりました。
「あれ?どうしてだったかな?聞いたことあるんだけど…」
女の子みんなでわからずに困っていると、修くんがひょっこり現れて教えてくれました。
「ぼく知ってるよ。家のウエイトレスのお姉さんに教えてもらったんだ。
結婚が遅くなるんだって」
修くん家は喫茶店をしていて、修くんもよくお店に行っているそうです。
そこで働いているお姉さんに聞いたんだね。
その言葉を聞くと、みんな困りながらも、遅くまで出しておくことをあきらめたようです。
「うーん。それは困るな。ちゃんと結婚したいもん。
おひなさまには悪いけど、ちゃんとしまおう」
でもわたしは、それくらいなら大丈夫かなって思いました。
「ちょっと遅くなるくらいなら、出しておいてもいいかなあ」
結婚できなくなるっていわれたら、やっぱりわたしも困ります。
大人になってもずうっと1人だったら寂しいもんね。
ううん、魔法使いは必ず子どもがもらえるから、1人ってことはないんでした。
けどおじいちゃんとおばあちゃんみたいに、ずっと仲良くしていける人にもいてほしいです。
でもそういうんじゃなくて遅れるくらいなら、おひなさまを外に出しておいてあげた方がいいな。
わたしがそう考えると、みんなに必死に止められました。
「だめだめ。ちょっとどころか、何十年かもしれないよ!」
あ、確かにどれくらいかはわからないもんね。
美穂ちゃんに続いて、秋子ちゃんにも落ち着いていわれました。
「それに数年だったとしても、毎年続けていけば、遅れが増えていくかもしれないよ」
「ああ、そっかあ」そうだね。今年だけの話じゃなくて、これから毎年ずっとあるもんね。
2人の話両方ともに納得です。
「そうそう。みかんちゃんは人気あるから、ずっと1人でいるってことはないと思うけど、用心に越したことはないからね」
そう彩ちゃんにも付け加えられました。
なんだかみんな真剣です。
わたしはそんなみんなにちょっとびっくりしながらも、うなずきました。
「うん、ちゃんとしまうね」
こうしておひなさまを長く出しておく計画は、なしになりました。
今日は2月22日。もうすぐおひな祭りです。
第4土曜日で学校がお休みの今日、しまってあったおひなさまをお母さんと出しました。
わたしの家のおひなさまは、五人囃子までの3段です。
クリスマスツリーとか、こうして1年のうち少ししか見られないおひなさま達に会えた時は、すごくうれしくなります。
こんなわたしは白石みかんです。10歳の小学4年生だよ。
そして生まれた時から魔法使いです。
魔法使いは、みんなを幸せにできるように、神様から特別な力をもらっているんだよ。
魔法には種類があって、そのかけ方を覚えた種類のは使えるようになります。
小学校の1年生にほうきで飛ぶ練習から始めて、2年生になったらペンダントなどの魔法のアイテムの使い方を教えてもらえます。
だから生まれつきといっても、わたしはちゃんと魔法を使うようになってからまだ3年です。
魔法の方はまだまだだけど、一生懸命がんばってます。
「おひなさま達にあげるもの、買いに行きましょう」
そう後ろからお母さんに声をかけられて、わたしは張り切って返事をしました。
「はーい!」
そうしてお買い物に出掛けて、おひな祭り用に並んでいるお菓子を買ってきました。
ここは雪がたくさん降る地方だから、外にはまだ少し雪が残っています。
でもお菓子をおひなさまの前に並べながら、わたしはもう春になったような気分です。
月曜日学校に行くと、クラスのお友達もほとんど、このお休みの間におひなさまを出したそうです。
それで、その話題になりました。
「もう、ちょうど1週間後だもんね」
麻緒ちゃんの言葉に、わたしはうなずいていいました。
「うん。早いね。もう春になるんだね」
そうおひなさまを出した時の気分を思い出します。
すると秋子ちゃんがもうちょっと先の、そしてもっとしみじみすることをいいました。
「あと1ヶ月で、わたし達も5年生か。
クラスは同じだから、そんなには変わらないと思うけどね」
その言葉にクラスのみんながはっとします。
わたし達の雪湖小学校は、4年生になる時に1回クラス替えをします。
今年からこのクラスになったので、来年も今のみんなと一緒です。
でもわたしも高学年になるのかあ。
そう考えても、あんまり実感がわかなくて不思議な気分です。
でも健治くんは元気に笑っていいました。
「今から先のことを考えてなくていいって。
4年生のうちは、4年生の気分でいなくちゃ」
その言葉に優香里ちゃんがうなずきます。
「そうだね。今は今で楽しくいようよ」
そうこの話が終わったところで、みゆきちゃんがおひなさまの方に戻しました。
「それにしても、おひなさまって1番出ている時期が短いよね。
今年も大体のみんなは、10日間ってことだもん。
クリスマスツリーだったら、20日くらいあるのにね」
その言葉にみんなうなずきます。
わたしが出した日から3月3日まで指折り数えたら、本当にぴったり10日でした。
うーん、本当に短いよね。
「2月はバレンタインデーがあるから、その後じゃないと、ひな祭りの気分にならないからね」
そう美穂ちゃんが納得な意見をいったので、わたしは考えてみました。
「じゃあ遅くまで出していればいいんじゃないかな?
3学期の終わる頃までとか」
そうしたら、お祝いは終わっているけど、おひなさまを長く出しておいてあげられるよね。
だって1年間のうち10日以外は押し入れの中なんて、あんまり寂しいから。
でも彩ちゃんは首を振りました。
「それはだめだよ、みかんちゃん。
おひなさまはひな祭りが終わったらすぐにしまわないと」
よくそう聞くけど、わけは知らなかったのでたずねます。
「どうして?」
すると彩ちゃんは首をひねりました。
「あれ?どうしてだったかな?聞いたことあるんだけど…」
女の子みんなでわからずに困っていると、修くんがひょっこり現れて教えてくれました。
「ぼく知ってるよ。家のウエイトレスのお姉さんに教えてもらったんだ。
結婚が遅くなるんだって」
修くん家は喫茶店をしていて、修くんもよくお店に行っているそうです。
そこで働いているお姉さんに聞いたんだね。
その言葉を聞くと、みんな困りながらも、遅くまで出しておくことをあきらめたようです。
「うーん。それは困るな。ちゃんと結婚したいもん。
おひなさまには悪いけど、ちゃんとしまおう」
でもわたしは、それくらいなら大丈夫かなって思いました。
「ちょっと遅くなるくらいなら、出しておいてもいいかなあ」
結婚できなくなるっていわれたら、やっぱりわたしも困ります。
大人になってもずうっと1人だったら寂しいもんね。
ううん、魔法使いは必ず子どもがもらえるから、1人ってことはないんでした。
けどおじいちゃんとおばあちゃんみたいに、ずっと仲良くしていける人にもいてほしいです。
でもそういうんじゃなくて遅れるくらいなら、おひなさまを外に出しておいてあげた方がいいな。
わたしがそう考えると、みんなに必死に止められました。
「だめだめ。ちょっとどころか、何十年かもしれないよ!」
あ、確かにどれくらいかはわからないもんね。
美穂ちゃんに続いて、秋子ちゃんにも落ち着いていわれました。
「それに数年だったとしても、毎年続けていけば、遅れが増えていくかもしれないよ」
「ああ、そっかあ」そうだね。今年だけの話じゃなくて、これから毎年ずっとあるもんね。
2人の話両方ともに納得です。
「そうそう。みかんちゃんは人気あるから、ずっと1人でいるってことはないと思うけど、用心に越したことはないからね」
そう彩ちゃんにも付け加えられました。
なんだかみんな真剣です。
わたしはそんなみんなにちょっとびっくりしながらも、うなずきました。
「うん、ちゃんとしまうね」
こうしておひなさまを長く出しておく計画は、なしになりました。
0
あなたにおすすめの小説
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
突然、お隣さんと暮らすことになりました~実は推しの配信者だったなんて!?~
ミズメ
児童書・童話
動画配信を視聴するのが大好きな市山ひなは、みんなより背が高すぎることがコンプレックスの小学生。
周りの目を気にしていたひなは、ある日突然お隣さんに預けられることになってしまった。
そこは幼なじみでもある志水蒼太(しみずそうた)くんのおうちだった。
どうやら蒼太くんには秘密があって……!?
身長コンプレックスもちの優しい女の子✖️好きな子の前では背伸びをしたい男の子…を見守る愉快なメンバーで繰り広げるドタバタラブコメ!
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる