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濡れ衣の鎖
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舞踏会から三日後、エリアナは王宮の庭園で一人散歩をしていた。最近は宮廷での居心地が悪く、人目のつかない場所で過ごすことが多くなっていた。
白薔薇が美しく咲く小径を歩いていると、向こうから馬車の音が聞こえてきた。振り返ると、帝国の紋章を掲げた質素だが格調高い馬車が近づいてくる。
馬車が止まると、中から見覚えのある人物が降りてきた。舞踏会で自分とダンスを踊ってくれた帝国の外務官、ガブリエルだった。
「これはエリアナ様。奇遇でございます」
彼は丁寧に帽子を取って一礼した。
「ガブリエル様。お疲れ様です」
エリアナも美しくカーテシーを決めた。
「実は、今日は陛下からの親書をアレクサンダー殿下にお渡しする予定でして」ガブリエルは書類鞄を示した。「外交上の重要な文書ですので、直接お渡ししなければならないのです」
「それは重要なお務めですね」
「ええ。ところで」ガブリエルは周囲を見回した。「この辺りに、人目につかない場所はございますでしょうか? 実は、護衛の者たちと少し打ち合わせをしたいのですが」
エリアナは親切心から、庭園の奥にある東屋を教えた。
「あちらの東屋でしたら、静かで人も来ません」
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
ガブリエルは再び馬車に乗り込み、東屋の方向へ向かった。エリアナは何気なくその様子を見送った後、散歩を続けた。
しかし、それから一時間後、エリアナの運命を変える出来事が起こった。
「エリアナ・フォン・アルテミス!」
突然、王宮の衛兵たちが彼女を取り囲んだ。剣を抜いた衛兵たちの表情は厳しく、まるで重罪人を捕らえるかのようだった。
「何事ですか?」
エリアナは困惑した。何の心当たりもなかった。
「貴女を国家反逆罪の疑いで拘束する」
衛兵隊長の冷たい声が響いた。
「国家反逆罪? 何かの間違いでは」
「証拠は十分にある。大人しく来い」
エリアナは手錠をかけられ、王宮の地下にある牢獄へと連行された。石造りの冷たい独房に入れられ、扉が重い音を立てて閉まった。
「一体何が起こったというのですか」
エリアナは混乱していた。朝まで何事もなかったのに、急に国家反逆罪などという大それた罪で捕らえられるなど、理解できなかった。
数時間後、独房の扉が開いた。現れたのはアレクサンダーだった。しかし、その表情は氷のように冷たく、かつての優しさは微塵も感じられなかった。
「アレクサンダー様」エリアナは立ち上がった。「一体何が」
「君は帝国のスパイだったのか」
アレクサンダーの言葉に、エリアナは言葉を失った。
「スパイ? 何をおっしゃっているのですか」
「とぼけるな」アレクサンダーの声には怒りが込められていた。「君が帝国の使節と秘密の連絡を取っていたことは分かっている」
「秘密の連絡など」
「今日の午後、君が帝国の外務官ガブリエルと庭園で密会していたのを、複数の目撃者が見ている」
エリアナはようやく事態を理解した。今日の庭園での偶然の出会いが、密会だと誤解されているのだ。
「それは誤解です。偶然お会いしただけで」
「偶然?」アレクサンダーは嘲笑的に言った。「君は彼に東屋の場所を教えていたそうではないか。そこで帝国の機密文書の受け渡しが行われた」
「機密文書の受け渡し?」
エリアナは混乱した。ガブリエルは確かに親書を持っていると言っていたが、それはアレクサンダーに渡すためのものだったはずだ。
「そんなことはありません。ガブリエル様はあなたに親書をお渡しするために来られたと」
「親書?」アレクサンダーの表情がさらに険しくなった。「そのような物は受け取っていない。彼らは君との密会の後、そのまま帰国してしまった」
エリアナは愕然とした。ガブリエルが親書を渡さずに帰国したということは、最初から彼女を陥れるための罠だったということなのか。
「これを見ろ」
アレクサンダーは一通の手紙を取り出した。
「君の筆跡で書かれた、帝国への内通を示す手紙だ」
エリアナは手紙を見て息を呑んだ。確かに自分の筆跡にそっくりだった。しかし、そのような手紙を書いた覚えは全くなかった。
「これは偽物です」エリアナは必死に訴えた。「私は帝国と内通などしていません」
「では、この筆跡の説明をしてもらおうか」
「偽造されたのです。誰かが私を陥れようと」
「誰が? そんな手の込んだことをする理由があるというのか」
その時、独房の扉が再び開いた。現れたのはセレスティアだった。彼女は悲しそうな表情を浮かべて、エリアナを見つめていた。
「エリアナ様」セレスティアの声は涙に震えていた。「どうしてこのようなことを」
「セレスティア様まで」エリアナは絶望的な気持ちになった。「私は何もしていません」
「でも、証拠が」セレスティアは手紙を見つめた。「この筆跡は確かにエリアナ様のもので」
「あなたも私を疑うのですか」
「疑いたくありません」セレスティアは涙を拭った。「でも、神様は真実をご存知です。もしエリアナ様が本当に無実でしたら、きっと神様が証明してくださいます」
その言葉は一見すると慈悲深く聞こえたが、エリアナには確信的な響きがあった。まるで、セレスティアが全ての事情を知っているかのような。
「セレスティア」アレクサンダーがセレスティアの肩に手を置いた。「君まで辛い思いをさせてしまって申し訳ない」
「いえ、殿下」セレスティアは首を振った。「私たちは真実を受け入れなければなりません。どんなに辛くても」
エリアナは二人の様子を見て、全てを理解した。これは単なる誤解ではない。入念に計画された陰謀だった。そして、その首謀者は間違いなくセレスティアだった。
「あなたが」エリアナは静かに言った。「あなたが仕組んだのですね、セレスティア様」
セレスティアは驚いたような表情を見せた。
「エリアナ様、何をおっしゃっているのですか」
「帝国の使節との接触、偽造された手紙、全てがあまりにも都合よく揃いすぎています」
「エリアナ」アレクサンダーが厳しい声で制した。「まだそのようなことを言うのか。セレスティア様に失礼だ」
「殿下、お気になさらないでください」セレスティアは聖女らしい慈愛を込めて言った。「エリアナ様も混乱していらっしゃるのです。このような状況では、冷静な判断ができなくても仕方ありません」
その完璧すぎる対応に、エリアナは確信した。セレスティアは最初から全てを計画していた。帝国の使節を利用し、偽の証拠を作り上げ、エリアナを陥れたのだ。
「私の無実はいずれ証明されます」エリアナは毅然として言った。「真実は必ず明らかになります」
「そうだね」アレクサンダーは冷淡に答えた。「裁判で全てが明らかになるだろう」
「裁判?」
「もちろんだ。国家反逆罪は重罪だ。正式な裁判を行わなければならない」
エリアナの心に絶望が広がった。偽造された証拠と複数の目撃者がいる状況で、果たして自分の無実を証明できるだろうか。
「それまでは、ここで待機してもらう」アレクサンダーは立ち上がった。「君の父親にも連絡を入れた。彼にとっても辛いことだろう」
父の顔が脳裏に浮かんだ。辺境で国境を守る父が、娘の国家反逆罪という知らせを聞いたら、どれほど心を痛めるだろうか。
「父上に心配をかけるようなことはしていません」エリアナは最後の抗議をした。
「それは裁判で証明してくれ」
アレクサンダーとセレスティアが去った後、エリアナは一人独房に残された。石の床に座り込み、天井を見上げた。
小さな窓から差し込む僅かな光が、彼女の絶望的な状況を照らしていた。
「まさかこのような形で終わりを迎えるとは」
エリアナは小さくつぶやいた。しかし、その瞳には涙はなかった。代わりに、強い意志の光が宿っていた。
アルテミス家の血を引く者として、最後まで諦めるつもりはなかった。たとえ全世界が敵に回ろうとも、自分の信念を貫き通すつもりだった。
そして、いつかセレスティアの仮面を剥がし、真実を明らかにしてみせる。
独房の外では、夜の静寂が王宮を包んでいた。しかし、エリアナの心の中では、復讐の炎がメラメラと燃え始めていた。
この屈辱は必ず晴らす。そして、自分を陥れた者たちに、相応の報いを受けさせてみせる。
「覚えていなさい、セレスティア」
エリアナの呟きが、冷たい独房に響いた。
白薔薇が美しく咲く小径を歩いていると、向こうから馬車の音が聞こえてきた。振り返ると、帝国の紋章を掲げた質素だが格調高い馬車が近づいてくる。
馬車が止まると、中から見覚えのある人物が降りてきた。舞踏会で自分とダンスを踊ってくれた帝国の外務官、ガブリエルだった。
「これはエリアナ様。奇遇でございます」
彼は丁寧に帽子を取って一礼した。
「ガブリエル様。お疲れ様です」
エリアナも美しくカーテシーを決めた。
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エリアナは親切心から、庭園の奥にある東屋を教えた。
「あちらの東屋でしたら、静かで人も来ません」
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
ガブリエルは再び馬車に乗り込み、東屋の方向へ向かった。エリアナは何気なくその様子を見送った後、散歩を続けた。
しかし、それから一時間後、エリアナの運命を変える出来事が起こった。
「エリアナ・フォン・アルテミス!」
突然、王宮の衛兵たちが彼女を取り囲んだ。剣を抜いた衛兵たちの表情は厳しく、まるで重罪人を捕らえるかのようだった。
「何事ですか?」
エリアナは困惑した。何の心当たりもなかった。
「貴女を国家反逆罪の疑いで拘束する」
衛兵隊長の冷たい声が響いた。
「国家反逆罪? 何かの間違いでは」
「証拠は十分にある。大人しく来い」
エリアナは手錠をかけられ、王宮の地下にある牢獄へと連行された。石造りの冷たい独房に入れられ、扉が重い音を立てて閉まった。
「一体何が起こったというのですか」
エリアナは混乱していた。朝まで何事もなかったのに、急に国家反逆罪などという大それた罪で捕らえられるなど、理解できなかった。
数時間後、独房の扉が開いた。現れたのはアレクサンダーだった。しかし、その表情は氷のように冷たく、かつての優しさは微塵も感じられなかった。
「アレクサンダー様」エリアナは立ち上がった。「一体何が」
「君は帝国のスパイだったのか」
アレクサンダーの言葉に、エリアナは言葉を失った。
「スパイ? 何をおっしゃっているのですか」
「とぼけるな」アレクサンダーの声には怒りが込められていた。「君が帝国の使節と秘密の連絡を取っていたことは分かっている」
「秘密の連絡など」
「今日の午後、君が帝国の外務官ガブリエルと庭園で密会していたのを、複数の目撃者が見ている」
エリアナはようやく事態を理解した。今日の庭園での偶然の出会いが、密会だと誤解されているのだ。
「それは誤解です。偶然お会いしただけで」
「偶然?」アレクサンダーは嘲笑的に言った。「君は彼に東屋の場所を教えていたそうではないか。そこで帝国の機密文書の受け渡しが行われた」
「機密文書の受け渡し?」
エリアナは混乱した。ガブリエルは確かに親書を持っていると言っていたが、それはアレクサンダーに渡すためのものだったはずだ。
「そんなことはありません。ガブリエル様はあなたに親書をお渡しするために来られたと」
「親書?」アレクサンダーの表情がさらに険しくなった。「そのような物は受け取っていない。彼らは君との密会の後、そのまま帰国してしまった」
エリアナは愕然とした。ガブリエルが親書を渡さずに帰国したということは、最初から彼女を陥れるための罠だったということなのか。
「これを見ろ」
アレクサンダーは一通の手紙を取り出した。
「君の筆跡で書かれた、帝国への内通を示す手紙だ」
エリアナは手紙を見て息を呑んだ。確かに自分の筆跡にそっくりだった。しかし、そのような手紙を書いた覚えは全くなかった。
「これは偽物です」エリアナは必死に訴えた。「私は帝国と内通などしていません」
「では、この筆跡の説明をしてもらおうか」
「偽造されたのです。誰かが私を陥れようと」
「誰が? そんな手の込んだことをする理由があるというのか」
その時、独房の扉が再び開いた。現れたのはセレスティアだった。彼女は悲しそうな表情を浮かべて、エリアナを見つめていた。
「エリアナ様」セレスティアの声は涙に震えていた。「どうしてこのようなことを」
「セレスティア様まで」エリアナは絶望的な気持ちになった。「私は何もしていません」
「でも、証拠が」セレスティアは手紙を見つめた。「この筆跡は確かにエリアナ様のもので」
「あなたも私を疑うのですか」
「疑いたくありません」セレスティアは涙を拭った。「でも、神様は真実をご存知です。もしエリアナ様が本当に無実でしたら、きっと神様が証明してくださいます」
その言葉は一見すると慈悲深く聞こえたが、エリアナには確信的な響きがあった。まるで、セレスティアが全ての事情を知っているかのような。
「セレスティア」アレクサンダーがセレスティアの肩に手を置いた。「君まで辛い思いをさせてしまって申し訳ない」
「いえ、殿下」セレスティアは首を振った。「私たちは真実を受け入れなければなりません。どんなに辛くても」
エリアナは二人の様子を見て、全てを理解した。これは単なる誤解ではない。入念に計画された陰謀だった。そして、その首謀者は間違いなくセレスティアだった。
「あなたが」エリアナは静かに言った。「あなたが仕組んだのですね、セレスティア様」
セレスティアは驚いたような表情を見せた。
「エリアナ様、何をおっしゃっているのですか」
「帝国の使節との接触、偽造された手紙、全てがあまりにも都合よく揃いすぎています」
「エリアナ」アレクサンダーが厳しい声で制した。「まだそのようなことを言うのか。セレスティア様に失礼だ」
「殿下、お気になさらないでください」セレスティアは聖女らしい慈愛を込めて言った。「エリアナ様も混乱していらっしゃるのです。このような状況では、冷静な判断ができなくても仕方ありません」
その完璧すぎる対応に、エリアナは確信した。セレスティアは最初から全てを計画していた。帝国の使節を利用し、偽の証拠を作り上げ、エリアナを陥れたのだ。
「私の無実はいずれ証明されます」エリアナは毅然として言った。「真実は必ず明らかになります」
「そうだね」アレクサンダーは冷淡に答えた。「裁判で全てが明らかになるだろう」
「裁判?」
「もちろんだ。国家反逆罪は重罪だ。正式な裁判を行わなければならない」
エリアナの心に絶望が広がった。偽造された証拠と複数の目撃者がいる状況で、果たして自分の無実を証明できるだろうか。
「それまでは、ここで待機してもらう」アレクサンダーは立ち上がった。「君の父親にも連絡を入れた。彼にとっても辛いことだろう」
父の顔が脳裏に浮かんだ。辺境で国境を守る父が、娘の国家反逆罪という知らせを聞いたら、どれほど心を痛めるだろうか。
「父上に心配をかけるようなことはしていません」エリアナは最後の抗議をした。
「それは裁判で証明してくれ」
アレクサンダーとセレスティアが去った後、エリアナは一人独房に残された。石の床に座り込み、天井を見上げた。
小さな窓から差し込む僅かな光が、彼女の絶望的な状況を照らしていた。
「まさかこのような形で終わりを迎えるとは」
エリアナは小さくつぶやいた。しかし、その瞳には涙はなかった。代わりに、強い意志の光が宿っていた。
アルテミス家の血を引く者として、最後まで諦めるつもりはなかった。たとえ全世界が敵に回ろうとも、自分の信念を貫き通すつもりだった。
そして、いつかセレスティアの仮面を剥がし、真実を明らかにしてみせる。
独房の外では、夜の静寂が王宮を包んでいた。しかし、エリアナの心の中では、復讐の炎がメラメラと燃え始めていた。
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