【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?

きゅちゃん

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第7話 四つの告白と新たなる試練

月明かりが中庭を神秘的に照らす中、美月は四人に囲まれて立ち尽くしていた。レオンの告白の余韻がまだ空気に漂っている。

「美月」

アルトが一歩前に出た。普段の冷静さはどこへやら、その瞳には炎のような情熱が宿っている。

「私も、レオンと同じ気持ちです」

アルトの声が震えていた。

「あなたに初めて触れた時から、私の心は変わってしまいました。学問一筋だった私が、こんなにも一人の女性を想うなんて」

アルトが美月の手を取ろうとして、途中で止める。

「美月、私はあなたを愛しています。この命に代えても、守り抜きたいのです」

続いて、カイルが前に出た。いつもの豪快さとは違う、真摯な表情を浮かべている。

「俺も同じだ」

カイルの荒々しい声に、いつもとは違う優しさが込められていた。

「盗賊だった俺が、こんな風に誰かを想うなんて思わなかった。でも、お嬢さん……美月に出会って、俺は変わった」

カイルが拳を握りしめる。

「俺は口下手だし、お嬢さんにふさわしい男じゃねえかもしれない。でも、この気持ちだけは本物だ」

最後に、エリアが歩み寄った。彼女の顔は月光の下でも分かるほど赤く染まっている。

「私……私も」

エリアの声がかすれた。

「最初は敵視していました。でも、美月に触れて、あなたの優しさを知って……私は」

エリアが美月を見つめる。その瞳には、複雑な感情が渦巻いていた。

「私、女性でありながら、あなたを愛してしまいました。こんな気持ち、おかしいかもしれませんが……」

四人の告白を受けて、美月は激しく動揺していた。胸が締め付けられるような感覚と、同時に温かい幸福感が湧き上がってくる。

「みんな……」

美月の声も震えていた。

「私、どう答えたらいいのか……」

美月が困惑していると、レオンが優しく微笑んだ。

「無理に答えを出す必要はありません。私たちは、美月の気持ちを最優先に考えます」

「そうだ。俺たちは美月を困らせるつもりはない」

カイルも頷く。

「私たちの想いを知っていただければ、それで十分です」

アルトの言葉に、エリアも同意した。

「はい。美月が幸せでいてくれることが、私たちの願いです」

四人の優しさに、美月の目に涙が浮かんだ。

「ありがとう……みんな、本当に優しいですね」

美月が微笑むと、四人の表情がぱっと明るくなった。

「でも、一つだけ言わせてください」

美月が四人を見回す。

「私、みなさんのことが大好きです。それが恋愛感情なのか、まだ分からないけれど……でも、確実に言えるのは、みなさんといると心が温かくなるということです」

美月の言葉に、四人の胸が高鳴った。

「時間をください。私の気持ちを、しっかりと見つめ直したいんです」

「もちろんです」

レオンが代表して答えた。

「私たちは、いつまでも待ちます」

そのとき――

ドン!

突然、城の方角から爆発音が響いた。夜空が一瞬、赤く染まる。

「何事だ!?」

レオンが立ち上がった瞬間、魔法の緊急信号が空に打ち上げられた。

「まさか……また魔物の襲撃?」

アルトの顔が青ざめる。しかし、今度は様子が違った。爆発は城の内部から起こっているのだ。

「美月、危険です。すぐに避難を」

エリアが美月を庇うように立った時、空中に巨大な魔法陣が現れた。それは暗黒魔術のものとは明らかに違う、複雑で美しい紋様だった。

魔法陣から降りてきたのは、一人の男性だった。

年齢は三十代前半といったところで、プラチナブロンドの髪を持つ美しい顔立ちをしている。しかし、その美しさは氷のように冷たく、触れれば凍りつきそうな印象を与えた。

男性は純白のローブを纏い、胸元には見たことのない紋章がついている。

「ようやく見つけたぞ、聖女よ」

男性の声は低く、威厳に満ちていた。

「お前は何者だ」

レオンが剣に手をかけるが、男性は鼻で笑った。

「この世界の者が私に剣を向けるとは、笑止千万」

男性が指を軽く振ると、レオンの剣が勝手に鞘に戻ってしまった。

「私はセラフィール。異界の大魔導師だ」

「異界の……」

アルトの表情が険しくなった。

「まさか、上位世界の存在……」

「ほう、多少は知識があるようだな」

セラフィールと名乗った男性が美月を見つめた。その瞳は金色に輝いている。

「聖女よ、お前にこの下等世界で時を無駄にさせるわけにはいかない」

「下等世界って……」

美月が困惑していると、セラフィールが続けた。

「お前の力は、この世界には過ぎたるものだ。上位世界にこそ、お前の居場所がある」

「美月はこの世界の聖女です」

レオンが前に出た。しかし、セラフィールは興味なさそうに彼を見る。

「この世界の王子が何を言おうと関係ない。聖女は私が迎えに来た」

セラフィールが手を伸ばすと、美月の身体が宙に浮いた。

「美月!」

四人が同時に叫んだが、見えない力に阻まれて近づくことができない。

「やめて!私は、ここにいたいんです」

美月の叫びに、セラフィールが眉をひそめた。

「何故だ?この下等な世界に、何の魅力がある」

「みんながいるからです」

美月が四人を見つめる。

「私にとって大切な人たちがいるから、ここにいたいんです」

セラフィールの表情が変わった。金色の瞳に、初めて感情らしきものが宿る。

「大切な……人?」

セラフィールが四人を見回した。その瞬間、彼の顔に驚愕の色が浮かんだ。

「まさか……お前、彼らに心を奪われているのか?」

「心を奪われているというか……」

美月が頬を染める。

「みんなが大好きなんです」

その言葉を聞いた瞬間、四人の顔が一斉に赤くなった。

しかし、セラフィールの反応は全く違っていた。

「馬鹿な!聖女が下等な存在に感情を抱くなど!」

セラフィールの怒りが爆発した。強大な魔力が周囲を圧倒する。

「そのような穢れた感情は、私が浄化してやる」

セラフィールが魔法を発動しようとした時――

「美月に触れるな!」

レオンが魔力の壁を突破して前に出た。アルト、カイル、エリアも続く。

四人の美月への想いが、セラフィールの魔力に対抗していた。

「興味深い……下等な存在が、私の魔力に抗うとは」

セラフィールが四人を見つめる。

「もしや、お前たちも聖女の力の影響を受けているのか?」

「影響などではない」

レオンが毅然として答えた。

「これは、私たちの真実の愛だ」

「愛?」

セラフィールが嘲笑った。

「下等な存在が愛を語るとは」

しかし、その時、美月が光り始めた。四人への想いが、彼女の聖女としての力を増幅させているのだ。

「私は、みんなを愛しています」

美月がはっきりと言った。

「レオン、アルト、カイル、エリア……みんなを愛しているんです」

その言葉に、四人の目に涙が浮かんだ。そして、美月の光がさらに強くなる。

「まさか……聖女の力が、愛によって増幅されているだと?」

セラフィールが動揺した。

「あり得ない。聖女は孤高の存在のはず……」

「私は孤高なんかじゃありません」

美月がセラフィールを見つめる。

「私は、愛する人たちと一緒にいたいんです」

美月の光が、セラフィールを包み込んだ。それは攻撃的な光ではなく、優しく温かい光だった。

「これは……」

セラフィールの冷たい表情が、僅かに緩んだ。

「何と温かい光……」

美月の力に触れて、セラフィールの心に何かが芽生えた。長い間忘れていた、温かい感情だった。

「私は……私も……」

セラフィールが美月を見つめる。その瞳に、恋慕の色が宿った。

「なんと美しい……」

美月の優しさに触れて、ついにセラフィールまでもが彼女に心を奪われてしまったのだ。

「美月……私も、あなたを愛している」

セラフィールの告白に、今度は四人が驚愕した。

「何だって!?」

カイルが叫ぶ。

「また一人増えるのですか……」

アルトがため息をついた。

こうして、美月を巡る恋愛戦争は、さらに激化することになった。上位世界からやってきた大魔導師までもが、美月の虜になってしまったのだ。

美月自身は、またしても新しい状況に困惑していた。しかし、彼女の心の奥では、こんなにも多くの人に愛されることへの喜びも感じていた。

(私って、本当にこんなに愛されていいのかな……)

月夜の中庭で、新たな恋の嵐が巻き起こっていた。
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