【完結】ダウナー系令嬢は少年皇子に愛され過ぎて困ったものだよ

きゅちゃん

文字の大きさ
9 / 19

第9話「社交界デビューは予想以上の騒動だったね」

しおりを挟む
社交界デビューの準備は、想像以上に大変なものだった。

「エリーゼ様、もう少し背筋を伸ばして」

舞踏教師のマダム・ローズが厳しい声で指導する。五十代の女性で、王宮の舞踏会でも教師を務める第一人者だ。

「このステップは、貴族の女性にとって基本中の基本です」

「分かったよ」

私は言われた通りにステップを踏む。前世では全く経験のない世界だが、体の動きを論理的に分析すれば、そう難しいものではない。

「素晴らしい!エリーゼ様は飲み込みが早いですね」

「ありがとう」

隣で見学していたシャルロットが拍手をした。

「姉様、とても優雅です」

「君の方がずっと上手だろう」

「そんなことありません。姉様には独特の気品があります」

シャルロットは本当に優しい娘だ。最近は、姉妹の関係もずいぶん良くなった。

「それでは、次は扇子の使い方を練習しましょう」

マダム・ローズが美しい扇子を取り出した。

「扇子は単なる道具ではありません。貴族の女性にとって、意思疎通の重要な手段でもあるのです」

「意思疎通?」

「はい。扇子の開き方、閉じ方、持ち方によって、様々なメッセージを伝えることができるのです」

なるほど、この世界にも独特の作法があるのか。

「例えば、扇子をこのように左手に持てば『私はあなたと話したい』という意味になります」

「面白いね」

「こちらは『お断りします』の意味です」

マダム・ローズが扇子を閉じて、右手に持った。

「覚えることはたくさんありますが、エリーゼ様なら大丈夫でしょう」

三時間のレッスンが終わると、私はかなり疲れていた。

「お疲れ様でした、姉様」

シャルロットがタオルを渡してくれる。

「ありがとう。それにしても、社交界というのは複雑なものだね」

「でも、きっと楽しいですよ。姉様ほど知識豊富な方なら、多くの方が興味を持ってくださると思います」

その時、侍女が慌てた様子で入ってきた。

「エリーゼ様、大変です!」

「どうしたんだい?」

「第一皇子殿下がお見えになったのですが、今回は正式な訪問で…」

「正式な訪問?」

「はい。王宮の儀典官も同行されており、何やら重要なお話があるようです」

これは只事ではないな。

急いで身支度を整えて、応接室に向かった。

リオンは正装姿で、いつになく緊張した面持ちで座っていた。隣には、宮廷の儀典官が控えている。

「お疲れ様、少年。今日は随分と物々しいじゃないか」

「お姉さん、お忙しい中ありがとうございます」

リオンは立ち上がって、深々と頭を下げた。

「実は、重要なお話があります」

「聞かせてもらおう」

「来週開催される『春の大舞踏会』に、お姉さんを私のパートナーとしてお招きしたいのです」

春の大舞踏会。この国で最も格式の高い社交行事の一つだ。

「それは光栄な申し出だが…」

私は少し考えた。

「私はまだ正式に社交界デビューしていないよ」

「それについては問題ありません」

儀典官が口を開いた。

「エリーゼ様の今回の功績により、陛下が特別に社交界への参加を許可されました」

「陛下が?」

「はい。『国家に貢献した者は、相応の敬意を受けるべきだ』との御言葉でした」

これは予想外の展開だった。

「つまり、私が舞踏会に参加することは、既に決定事項ということかい?」

「いえ、あくまでエリーゼ様のご意志次第です」

リオンが慌てて説明した。

「僕は、お姉さんが嫌がることは絶対にしたくありません」

私は窓の外を見た。庭では、春の花が美しく咲いている。

「分かった。参加させてもらおう」

「本当ですか?」

リオンの顔が輝いた。

「ありがとうございます!」

「ただし、条件がある」

「何でしょうか?」

「君は私のエスコート役に徹してもらいたい。変な政治的な思惑は持ち込まないでほしい」

「もちろんです」

「それと、もし私が退屈したら、途中で帰らせてもらう」

「承知しました」

リオンは嬉しそうに頷いた。

「では、来週の土曜日、午後七時にお迎えに上がります」

儀典官とリオンが帰った後、私は自分の部屋で準備について考えていた。

舞踏会用のドレス、装身具、髪型…準備することは山ほどある。

「エリーゼ姉様」

シャルロットが部屋に入ってきた。

「大舞踏会への参加、おめでとうございます」

「ありがとう。でも、正直なところ、少し不安だよ」

「なぜですか?」

「私は今まで、あまり社交的ではなかったからね。うまくやれるかどうか…」

シャルロットは微笑んだ。

「大丈夫です。姉様なら、きっと素晴らしい夜になります」

「根拠のない自信だね」

「根拠はありますよ。姉様は、本当は誰よりも魅力的な方ですから」

「君の姉びいきが過ぎるんじゃないかい?」

「そんなことありません」

シャルロットは真剣な表情になった。

「姉様は、知識も豊富で、優しくて、そして何より強い方です。きっと多くの人が、姉様の魅力に気づくはずです」

その確信に満ちた言葉に、私は少し勇気をもらった。

一週間後の夜、ついに舞踏会の日がやってきた。

シャルロットと侍女たちが総出で私の身支度を整えてくれた。

「姉様、本当に美しいです」

鏡に映る自分を見て、私も少し驚いた。

深い青色のドレスは、私の銀髪と青い瞳を引き立てている。シンプルだが上品なデザインで、決して派手すぎない。

「この色、姉様にとても似合います」

「ありがとう、シャルロット」

午後七時きっかりに、リオンが迎えに来た。

「お姉さん…」

彼は私を見て、言葉を失った。

「どうしたんだい?そんなに見つめて」

「美しい…本当に美しいです」

リオンは正装姿で、確かに王子様然とした風貌だった。

「君も立派だよ、少年」

「ありがとうございます」

王宮の大広間は、まばゆいばかりの輝きに満ちていた。

シャンデリアの光が、貴族たちの豪華なドレスや装身具を照らしている。音楽隊が奏でる優雅なワルツが、会場全体を包んでいる。

「すごい人数だね」

「はい。この国の主要な貴族は、ほぼ全員参加しています」

リオンが説明してくれる。

「あの方は東方侯爵、こちらは南部公爵家の…」

「覚えきれないよ」

私たちが会場に入ると、多くの視線が集まった。

「皆、興味深そうに見ているね」

「当然です。お姉さんは今夜の主役の一人ですから」

「主役?」

「疫病を解決した『救世主』として、既に有名になっています」

確かに、周りからささやき声が聞こえてくる。

「あの方がエリーゼ・フォン・ヴァルハイム嬢よ」

「美しい方ね」

「とても知的な雰囲気だわ」

「第一皇子殿下のお相手として相応しい方ね」

最後のコメントには、少し複雑な気持ちになった。

「リオン皇子殿下」

私たちの前に、一人の男性が現れた。四十代くらいの貴族で、いかにも野心家といった風貌だ。

「バートン伯爵です」

「お久しぶりです、伯爵」

リオンが軽く会釈した。

「こちらは、エリーゼ・フォン・ヴァルハイム嬢です」

「噂の令嬢ですね。お美しい」

バートン伯爵は私の手を取って、軽くキスをした。

「光栄です、伯爵」

「今夜はぜひ、一曲お願いしたいのですが」

「申し訳ありませんが…」

リオンが割り込もうとしたが、私が制した。

「喜んで、伯爵」

「エリーゼ…」

リオンが心配そうな顔をしたが、私は微笑んで答えた。

「大丈夫だよ。一曲くらい問題ない」

音楽が変わり、バートン伯爵と踊ることになった。

「令嬢は、本当に疫病を解決されたのですか?」

踊りながら、伯爵が質問してきた。

「リオン殿下と協力して、ね」

「素晴らしいことです。しかし、あの件にはまだ続きがあるようですが」

「続き?」

「ヴェルナー侯爵の脱獄未遂事件のことです」

私は眉をひそめた。

「詳しいことは存じませんが」

「実は、侯爵を支援していた勢力が、まだ暗躍しているという噂があります」

「それは…物騒な話ですね」

「ええ。特に、皇位継承に関して、まだ諦めていない者たちがいるようです」

バートン伯爵の言葉に、私は警戒心を抱いた。

「それで、私に何を伝えたいのですか?」

「令嬢には、十分お気をつけいただきたいということです」

「気をつける?」

「リオン殿下に近い方々は、彼らにとって邪魔な存在ですから」

音楽が終わり、踊りも終了した。

「ご忠告ありがとうございます、伯爵」

私はリオンの元に戻った。

「お姉さん、何か変なことを言われませんでしたか?」

「少し気になる話を聞いたよ」

私はバートン伯爵の警告について説明した。

「やはりそうですか…」

リオンの表情が暗くなった。

「実は、最近宮廷で不審な動きがあるんです」

「不審な動き?」

「ヴェルナー侯爵の残党が、新たな計画を立てているという情報があります」

その時、会場の音楽が止まった。

「皆様、お静かに」

司会者が声を上げた。

「陛下がお言葉を述べられます」

皇帝陛下が壇上に現れた。

「今宵は、皆、よく集まってくれた」

陛下の威厳ある声が会場に響く。

「特に、この度の疫病事件で国家に貢献した者たちに、改めて感謝の意を表したい」

陛下の視線が、私とリオンに向けられた。

「エリーゼ・フォン・ヴァルハイム嬢、前に出てきなさい」

私は驚いたが、リオンに背中を押されて壇上に向かった。

「君の知識と勇気により、多くの国民が救われた」

陛下は私の前に立った。

「この感謝の印として、君に『国家功労章』を授与する」

会場がどよめいた。国家功労章は、この国で最も名誉ある勲章の一つだ。

「ありがたく、お受けいたします」

私は深く頭を下げた。

陛下が勲章を私の胸に付けてくださった時、会場から盛大な拍手が起こった。

壇上から降りると、多くの貴族たちが私の元に集まってきた。

「素晴らしいお働きでした」

「さすがヴァルハイム公爵家の令嬢」

「お美しいだけでなく、才色兼備でいらっしゃる」

称賛の言葉が次々と飛び交う。

「お姉さん、大変なことになりましたね」

リオンが苦笑いを浮かべて言った。

「確かに、予想以上の注目度だね」

「でも、これでお姉さんの社会的地位は確固たるものになりました」

「それは良いことなのかい?」

「もちろんです」

リオンは真剣な表情になった。

「これで、僕たちの結婚も、周りから祝福されるものになります」

「少年、まだ私は答えを出していないよ」

「分かっています。でも、希望を持っていてもいいでしょう?」

その時、また新しい人物が近づいてきた。

「エリーゼ様」

振り返ると、美しい女性が立っていた。二十代後半くらいで、気品ある佇まいをしている。

「私はセレナ・ド・モンクレール侯爵令嬢です」

「初めまして、セレナ嬢」

「実は、お話ししたいことがあります」

セレナ嬢は私の耳元で囁いた。

「あなたの身に危険が迫っています」

私は彼女を見つめた。

「詳しく聞かせてもらえますか?」

「ここでは無理です。後ほど、庭園でお会いできませんか?」

私は少し迷ったが、頷いた。

「分かりました」

舞踏会が佳境に入った頃、私はこっそりと庭園に向かった。

月明かりが美しい夜だった。薔薇の香りが風に乗って漂ってくる。

「お待ちしておりました」

セレナ嬢が茂みの陰から現れた。

「それで、どんな危険なのですか?」

「あなたを狙う暗殺者がいます」

私は眉を上げた。

「暗殺者?」

「はい。ヴェルナー侯爵の残党が雇った刺客です」

「なぜ私を?」

「あなたがリオン殿下の最大の支援者だからです」

セレナ嬢は周りを警戒しながら続けた。

「あなたを失えば、殿下の立場は大きく揺らぐでしょう」

「それで、なぜあなたがそのことを知っているのですか?」

「私は…特殊な情報網を持っています」

「スパイ?」

「そのようなものです」

その時、茂みから人影が飛び出してきた。

黒装束の男が、短剣を手に私に向かってくる。

「危ない!」

セレナ嬢が私を庇うように前に出た。

しかし、男の動きは予想以上に速い。

「やれやれ、面倒くさいことになったね」

私は冷静に状況を判断した。

前世で学んだ護身術の知識があれば、何とかなるかもしれない。

男が振り下ろした短剣を、私は紙一重でかわした。

「なに?」

男が驚いた隙に、私は彼の手首を掴んで捻り上げた。

「ぐああ!」

短剣が地面に落ちる。

「セレナ嬢、衛兵を呼んできてもらえるかい?」

「は、はい!」

セレナ嬢が慌てて駆け出していく。

「お前、なぜそんなに強いんだ?」

男が呻きながら聞いてくる。

「企業秘密だよ」

ほどなくして、衛兵たちがやってきて男を連行していった。

「エリーゼ!」

リオンが血相を変えて駆けつけてきた。

「大丈夫ですか?怪我は?」

「心配いらないよ。少し騒がしかっただけだ」

「本当に無事で良かった…」

リオンは私を抱きしめた。

「もし何かあったらと思うと…」

「大げさだよ、少年」

でも、彼の温もりは心地よかった。

「これで、あなたの社交界デビューも派手なものになりましたね」

セレナ嬢が苦笑いを浮かべて言った。

「確かに、予想以上の騒動だったね」

私は空を見上げた。

転生者の人生は、やはり平穏とは縁がないようだ。

でも、それもまた悪くないのかもしれない。

特に、私を心配してくれる人がいるなら。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日7時•19時に更新予定です。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています

月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。 しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。 破滅を回避するために決めたことはただ一つ―― 嫌われないように生きること。 原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、 なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、 気づけば全員から溺愛される状況に……? 世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、 無自覚のまま運命と恋を変えていく、 溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。

ブラック企業に勤めていた私、深夜帰宅途中にトラックにはねられ異世界転生、転生先がホワイト貴族すぎて困惑しております

さら
恋愛
ブラック企業で心身をすり減らしていた私。 深夜残業の帰り道、トラックにはねられて目覚めた先は――まさかの異世界。 しかも転生先は「ホワイト貴族の領地」!? 毎日が定時退社、三食昼寝つき、村人たちは優しく、領主様はとんでもなくイケメンで……。 「働きすぎて倒れる世界」しか知らなかった私には、甘すぎる環境にただただ困惑するばかり。 けれど、領主レオンハルトはまっすぐに告げる。 「あなたを守りたい。隣に立ってほしい」 血筋も財産もない庶民の私が、彼に選ばれるなんてあり得ない――そう思っていたのに。 やがて王都の舞踏会、王や王妃との対面、数々の試練を経て、私たちは互いの覚悟を誓う。 社畜人生から一転、異世界で見つけたのは「愛されて生きる喜び」。 ――これは、ブラックからホワイトへ、過労死寸前OLが掴む異世界恋愛譚。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた

鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。 焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。 このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。 エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。 「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」 「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」 「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」 ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。 ※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。 ※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。

転生したら、乙女ゲームの悪役令嬢だったので現実逃避を始めます

山見月あいまゆ
恋愛
私が前世を思い出したのは前世のことに興味を持った時だった 「えっ!前世って前の人生のことなの。私の前の人生はなんだろう?早く思い出したい」 そう思った時すべてを思い出した。 ここは乙女ゲームの世界 そして私は悪役令嬢セリーナ・グランチェスタ 私の人生の結末はハーッピーエンドなんて喜ばしいものじゃない バットエンド処刑されて終わりなのだ こんなことを思い出すなら前世を思い出したくなかった さっき言ったこととは真逆のことを思うのだった…

処理中です...