【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん

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第14話「政治的陰謀を魔法で解決」

舞踏会の翌日、セリアは王からの緊急召集を受けた。謁見の間に着くと、王の表情は深刻そのものだった。

「セリア、急な話ですまぬな」

「何かお困りのことが?」

「実は、昨夜の舞踏会で重大な情報を得た。隣国のベルモント王国が、我が国への侵攻を計画している可能性がある」

セリアは驚いた。舞踏会という華やかな場で、そんな深刻な情報が得られるとは。

「どのような情報でしょうか?」

「エリザベス王女の随行員の一人が、酒に酔って口を滑らせたのだ。『もうすぐアルカディアの豊かな土地は我々のものになる』と」

性格の良さそうな王女の顔が思い浮かんだ。やはり、人は外見では図れぬものらしい。

「それは……確実な情報なのでしょうか?」

「まだ確証はない。しかし、最近の国境付近での不審な動きと符合する」

王は地図を広げて説明した。

「ここ数週間、国境の村々で魔物の襲撃が増加している。しかし、その魔物たちの行動パターンが不自然なのだ」

「不自然?」

「通常、魔物は無差別に襲撃する。しかし、最近の襲撃は特定の施設を狙っている。兵器庫、食糧倉庫、通信塔……軍事的に重要な施設ばかりだ」

セリアの前世の知識を思い返すまでもない。これは明らかに、軍事侵攻の前準備だった。

「魔物を使った陽動作戦ですね」

「その通りだ。そして、その背後にベルモント王国がいる可能性が高い」

「証拠を掴む必要がありますね」

「そこで、君に頼みがある」

王は真剣な表情でセリアを見つめた。

「国境付近を調査し、真実を突き止めてほしい。もし本当に侵攻計画があるなら、事前に阻止しなければならない」

「分かりました。すぐに向かいます」

その時、謁見の間に騎士が駆け込んできた。

「陛下、緊急事態です! 国境の要塞が魔物の大群に襲撃されています!」

王の顔が青ざめた。

「要塞が? 被害状況は?」

「連絡が途絶えており、詳細は不明です。しかし、かなり大規模な襲撃のようです」

セリアは立ち上がった。

「陛下、今すぐ現地に向かいます」

「待て、危険すぎる。まずは偵察隊を……」

「時間がありません。要塞が落ちれば、国境の防衛線が崩壊します」

セリアの判断は的確だった。前世でも、危機管理においては初動の速さが全てだった。
ましてや国境の危機においては、対応を誤ればそのまま国家の崩壊に繋がりかねない。

「分かった。しかし、一人では行かせられない。ルークも同行させよう」

「ありがとうございます」

一時間後、セリアとルークは魔法で国境に向かっていた。セリアの飛行魔法で、通常なら数日かかる距離を数時間で移動できた。

「セリア、あれを見ろ」

ルークが指差す方向を見ると、要塞から黒い煙が上がっていた。しかし、よく見ると魔物の姿はない。

「おかしいわね。魔物の襲撃なら、まだ戦闘が続いているはず」

二人は要塞に降り立った。すると、驚くべき光景が広がっていた。

要塞の兵士たちは生きていたが、全員が意識を失って倒れていた。建物は破壊されているが、魔物による攻撃の痕跡ではない。明らかに人為的な破壊だった。

「これは……」

セリアは周囲を調べ回った。そして、地面に落ちている矢じりを発見した。

「ルーク、これを見て」

「この矢じりは……ベルモント王国の軍が使用しているものだ」

「やはりね。魔物の襲撃は偽装工作だったのよ」

セリアは透視魔法で周囲を調査した。すると、森の奥に隠れている一団を発見した。

「いたわ。ベルモント軍の兵士たちが森に潜んでいる」

「どうする?」

「まずは情報を収集しましょう。相手の計画を把握しなければ」

セリアは隠密魔法を使って、敵の陣営に近づいた。そこで聞こえてきたのは、驚愕の内容だった。

「作戦は順調だな。要塞を無力化できた」

「ああ、明日の夜にはアルカディア王都への侵攻を開始する」

「魔物の襲撃と見せかけた作戦は完璧だった。まさか我々の仕業だとは思うまい」

セリアは重要な情報を得た。明日の夜には王都への侵攻が始まる。しかも、魔物の襲撃に偽装しているため、アルカディア王国は適切な対応ができない。

「立案者は誰だ?」

「ヴィクトリア・ランカスター嬢だ。見事な作戦立案だった」

セリアは衝撃を受けた。昨夜の舞踏会に参加していたヴィクトリアが、敵国のスパイだったのだ。

「彼女は王子殿下に近づいて、王宮の機密情報を得ていたのか……」

セリアは急いでルークの元に戻った。

「大変よ。明日の夜、王都が襲撃される。しかも、昨夜の舞踏会に参加していたヴィクトリアが敵のスパイだった」

「何だって?」

「今すぐ王都に戻って、王に報告しなければ」

「しかし、これだけの軍勢を放置しておくわけにはいかない」

ルークの指摘は正しかった。しかし、セリアには策があった。

「私に任せて」

セリアは空に向かって両手を上げた。そして、強力な魔法を発動した。

「大地よ、我が意志に従え──マス・アースクエイク!」

大規模な地震が森を襲った。敵軍の陣営は混乱に陥り、多くの兵士が身動きできなくなった。

「眠りの風よ、敵を包め──スリーピング・ウィンド!」

強力な睡眠魔法が敵軍全体を包んだ。数百人の兵士が一斉に深い眠りに落ちていく。

「これで二十四時間は目覚めないわ」

「すごい……一瞬で軍隊を無力化するなんて」

ルークは改めてセリアの実力に驚嘆した。

「急いで王都に戻りましょう。ヴィクトリアを捕らえなければ」

二人は急いで王都に戻った。王宮に着くと、すぐに王に報告する。

「何と……ヴィクトリアが敵のスパイだったとは」

「彼女は今どこに?」

「客室にいるはずだが……」

セリアは透視魔法で王宮内を調べた。しかし、ヴィクトリアの姿はどこにもなかった。

「もう逃げたようです」

「くそ、油断していた」

その時、アレクサンダー王子が現れた。

「父上、何事ですか?」

王は事情を説明した。王子の表情は怒りと悲しみが入り交じっていた。

「私は……彼女を信じていたのに」

「殿下、これは殿下の責任ではありません」

セリアが慰めた。

「むしろ、今回の件で分かったのは、殿下には人を見る目があるということです」

「え?」

「殿下は最初から、ヴィクトリアに良い印象を持たれていませんでした。直感的に何かを感じ取っていたのです」

王子の表情が少し明るくなった。

「ありがとう、セリア。君の言葉で救われる」

「それより、今は防衛の準備をしなければ」

「しかし、敵軍は眠らせたのではないか?」

「あれは前線部隊です。本隊はまだ国境の向こうにいるはずです」

セリアの予想は的中していた。翌日、ベルモント王国の本格的な軍隊が国境を越えてきた。しかし、アルカディア王国は既に準備万端だった。

セリアの魔法による一斉攻撃で、敵軍は大混乱に陥った。結果、ベルモント王国は撤退を余儀なくされた。

「セリア、君のおかげで国が救われた」

王は深く感謝した。

「私一人の力ではありません。ルークの協力と、陛下の迅速な判断があったからです」

「謙遜するな。君は真の英雄だ」

しかし、セリアの心には複雑な思いがあった。ヴィクトリアは逃げ延びた。きっと、また新たな陰謀を企てるだろう。

「まだ戦いは終わっていないわね」

セリアは決意を新たにした。どんな陰謀にも負けない。この国の平和を、必ず守り抜いてみせる。
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