【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん

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第28話「陰湿な嫌がらせと完璧な反撃」

セリアの特別講義が始まって一週間後、魔法学院では異変が起きていた。

「セリア先生、大変です!」

リリアが涙を浮かべて、セリアの研究室に駆け込んできた。彼女の制服は泥だらけで、教科書は破られ、髪には卵の殻がついている。

「リリア、一体何があったの?」

セリアが急いで椅子を勧める。

「ダミアン様たちが...私の実習用の魔法薬を全部台無しにして...『泥血が魔法なんて百年早い』って...」

リリアの声が震えている。

「そんな...ひどすぎる」

エリスが憤慨する。

しかし、セリアは冷静だった。予想していた通りの展開だからだ。
リリアには悪いがある意味期待していた部分もある。

「大丈夫よ、リリア。全部記録してあるから」

「記録?」

セリアが小さな魔法道具を取り出す。それは水晶でできた球体で、表面に複雑な魔法陣が刻まれていた。

「これは『真実の水晶』。学院内で起きたすべての出来事を記録する監視装置よ」

魔法道具に魔力を込めると、空中に映像が浮かび上がった。そこには、ダミアンと取り巻きたちがリリアの実習道具を破壊している様子が鮮明に映し出されている。

「こんなものが...」

「ぜ...昔の知識を応用した防犯システムよ。証拠隠滅は不可能」

セリアの表情に、冷たい笑みが浮かぶ。

「でも、先生...ダミアン様は公爵家の御子息です。こんな証拠があっても、きっと教授たちは...」

リリアが不安そうに言う。

「確かに、普通なら権力で揉み消されるでしょうね」

セリアが立ち上がる。

「でも、私には切り札があるの」

翌日の朝、魔法学院の大講堂には全校生徒と教授陣が集められていた。

「皆さん、緊急集会を開いたのは他でもありません」

アルカナス学院長が厳粛な表情で壇上に立つ。

「本学院において、深刻ないじめ問題が発生しています」

学生たちがざわめく。

「そこで、この問題を解決するため、特別な措置を講じることにしました」

アルカナスがセリアに視線を向ける。

「セリア・アルクライト先生に、調査と対策をお任せします」

「何だと?」

ダミアンが席から立ち上がる。

「商人風情に、我々貴族の問題を裁く権利があるというのですか?」

「ダミアン・ロックハート君」

セリアが冷静に応じる。

「あなたに質問があります。昨日の午後三時頃、第二実習室で何をしていましたか?」

「何を突然...そんなこと覚えているはずが...」

「では、思い出していただきましょう」

セリアが真実の水晶を作動させる。すると、大講堂の空中に巨大な映像が浮かび上がった。

そこには、ダミアンと仲間たちがリリアの実習道具を破壊し、彼女に暴言を吐いている様子が、音声付きで鮮明に映し出されている。

「『泥血が魔法なんて百年早い』...『平民は平民らしく土でも食ってろ』...」

ダミアンの声が大講堂に響く。

「な...なんだこれは!偽造だ!魔法で作った偽の映像だ!」

ダミアンが必死に否定するが、セリアは次の証拠を提示する。

「魔力鑑定をしましょう」

セリアが別の魔法道具を取り出す。

「これは『魔力紋検出器』です。魔法には、使用者固有の魔力パターンが残りますが、それを解析します」

検出器が、破壊された実習道具の魔力を分析する。すると、結果が文字として空中に浮かび上がった。

「魔力パターン一致:ダミアン・ロックハート」

大講堂が静まり返る。

「これでも偽造だと言いますか?」

セリアの問いかけに、ダミアンは言葉を失う。

「しかし」

ダミアンの父親であるロックハート公爵が立ち上がった。彼は学院の理事も務めている権力者だ。

「我が息子が多少行き過ぎたことをしたとしても、それは若さゆえの過ち。大目に見るべきではないでしょうか」

典型的な権力による圧力だった。

「行き過ぎた?」

セリアの声が冷たくなる。

「公爵、あなたは息子さんの行為をどう思われますか?」

「子供同士の些細な諍いでしょう」

「些細な?」

セリアが次の映像を再生する。今度は、ダミアンたちが他の平民学生をいじめている場面だった。

「これも些細なことですか?」

映像には、平民学生が階段から突き落とされ、怪我をしている様子が映っている。

「それに、これは『子供同士の諍い』ではありません。明確な暴力行為です」

セリアが法律書を取り出す。

「王国刑法第百二十三条『身分を利用した恐喝及び暴行』に該当します」

「法律を持ち出すとは...」

ロックハート公爵の顔が青くなる。

「さらに、これらの行為は学院規則第十五条『学生の尊厳を損なう行為の禁止』にも違反しています」

セリアが学院規則書も提示する。

「規則によれば、このような行為を行った学生は即座に退学処分となります」

「退学?」

ダミアンが震え声で言う。

「そんな...僕は将来ロックハート家を継ぐ身だ。退学なんてあり得ない!」

「身分は関係ありません」

セリアが断言する。

「法の下に、すべての人は平等です。貴族だろうと平民だろうと、悪いことをすれば相応の処罰を受けるのが当然です」

「しかし」ロックハート公爵が食い下がる。「学院としても、我がロックハート家を敵に回すのは得策ではないでしょう」

これは明らかな脅迫だった。

「公爵」

セリアが冷笑する。

「あなたは今、全校生徒と教授陣の前で、学院を脅迫されましたね」

「脅迫?そんなつもりは...」

「『敵に回すのは得策ではない』というのは、典型的な脅迫文句です。これも録音されています」

セリアが録音魔法道具を示す。

「この発言は、王国検察庁に証拠として提出されます」

ロックハート公爵の顔が真っ青になる。

「まさか...」

「権力を笠に着た脅迫は、重大な犯罪行為です。爵位剥奪もないとは言えませんよ」

セリアの言葉に、大講堂がどよめく。

「そ、そんな...」

「ただし」

セリアが続ける。

「真摯に反省し、適切な処置を取るのであれば、この件は学院内での処理に留めることも可能です」

ロックハート公爵が安堵の表情を見せるが、セリアの条件は厳しかった。

「ダミアン君には一か月の停学処分、そして被害者への謝罪と損害賠償」

「一か月の停学?」

「さらに、今後同様の行為を行った場合は、即座に退学処分とします」

「そんな...」

「公爵には、学院への寄付金増額と、いじめ防止プログラムへの資金提供をお願いします」

完全に立場が逆転していた。

「ど、どのくらいの...」

「年間一千万ゴールドはいかがでしょうか?」

「一千万!?」

法外な金額だったが、爵位を失って犯罪者扱いされるよりはマシだと思ったのだろう。

「分かりました...条件を飲みます...」

あっさりとロックハート公爵が屈服する。自分の立場を守る計算は早いのかもしれなかった。

「賢明な判断です」

セリアが微笑む。

「では、ダミアン君」

ダミアンが震えながらセリアを見る。

「リリアさんに謝罪してください。全校生徒の前で」

「わ、分かりました...」

ダミアンがリリアの前に歩み寄る。

「リリア・ブラウン...僕が悪かった...心から謝罪します...」

ダミアンが頭を下げる。権力に驕っていた彼にとって、これ以上ない屈辱だった。
しかしたのみの父親が白旗を上げた以上はどうしようもなかった。

「これで、いじめ問題は解決です」

セリアが宣言する。

「今後、このような行為を行った者は、身分に関係なく厳正に処罰します」

大講堂に拍手が響く。特に平民学生たちの拍手は、心からの感謝に満ちていた。

集会が終わった後、リリアがセリアのもとに駆け寄ってきた。

「先生...ありがとうございました...こんなにすっきりした気持ちは初めてです...」

「当然のことをしただけよ」

セリアが優しく微笑む。

「これからは、誰に遠慮することなく、堂々と魔法を学びなさい」

「はい!」

リリアの表情が、初めて本当の笑顔になった。

「でも、セリア」

エリスが心配そうに言う。

「ロックハート家を完全に敵に回したわね。大丈夫?」

「むしろ好都合よ」

セリアが不敵に笑う。

「これで学院内の秩序が完全に確立された。今後は誰も、理不尽な行為はできなくなる」

「さすがね...」

「前世では、こういう理不尽な権力者に屈してしまった。でも今度は違う」

セリアが窓の外を見つめる。

「この世界では、私が正義を守る」

魔法学院に、新しい秩序が生まれた。

しかし、これは始まりに過ぎなかった。学院間競技大会、そしてヴィクトリアとの最終決戦が、セリアを待ち受けているのである。

平和は束の間だった。新たな試練は、すぐそこまで迫っていた。
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