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雪村の湯と絡み合う心と体
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雪原を抜けた俺たち三人は、煙の上がる小さな村に辿り着いた。
木造の家々が雪に埋もれ、住民たちが毛皮を纏って行き交う。
村長らしき老人に事情を話すと、快く宿を提供してくれた。
しかもその宿には、天然の温泉が併設されているらしい。
異世界にも温泉あるんか。
「温泉!? マジか、最高じゃん!」
俺がテンションを上げると、リリアとサフィーラも目を輝かせる。
「温かいお湯……想像しただけで体が喜んでるよ、悠斗」
リリアが頬をふっふーと緩ませる。
「ふふ、私も踊り子の頃はよく温泉で体をほぐしてたからね。楽しみだよ」
サフィーラがウインクしてくる。
二人とも可愛すぎて、俺の期待が膨らむ。
膨らんでるのはナニだろうって?うるせぇ。
宿に着き、まずは温泉へ。
板の仕切りで男女別に分かれているが、俺が入った男湯は貸し切り状態だ。
熱い湯に浸かると、疲れが溶けていく感覚がたまらない。
目を閉じてリラックスしていると、隣の女湯から声が聞こえてきた。
「ねえ、リリアちゃん、悠斗のことどう思ってるの?」
サフィーラの声だ。俺は思わず耳を澄ませる。
「どうって……大好きだよ。悠斗がいなかったら、私、今頃……」
リリアの声が少し震える。
「ふーん、素直だね。でもさ、私だって悠斗に惚れてるから、負けないよ?」
「サフィーラさんには負けたくないもん! 私、悠斗ともっと……もっと仲良くなりたいんだから」
その言葉に、俺の胸が熱くなる。リリア、お前……。
誰かに心を寄せられる嬉しさって、こんなにも温かいものだったんだ。
温泉の温みだけではない、ぽかぽかとした熱が自分の中に生まれた気がした。
その夜、宿の部屋で三人で過ごすことにした。
暖炉がパチパチと音を立て、毛布にくるまって並んで座る。
リリアが俺の隣に寄り添い、そっと手を握ってきた。
「悠斗、私、貴族だった頃のこと、もっと話してもいいかな?」
「もちろん。聞かせてくれよ」
リリアが深呼吸して話し始めた。
「私の家はエルドリアの辺境で、昔は栄えてたの。でも私が10歳の時、父が魔獣討伐に失敗して……領地は荒れ、家は没落した。母は病で死に、私は親戚に預けられたけど、そこでも冷たくされて。貴族の娘って肩書きだけが残って、心はいつも寒かったよ」
哀しげな彼女の声が小さくなる。俺はせめて彼女の手を強く握り返した。
「辛かったんだな。でも、もう一人じゃないよ。俺がいる」
「……うん。悠斗が鎖を解いてくれた時、私、初めて温かさを感じたの。それからずっと、悠斗のそばにいたいって思ってる」
リリアが顔を上げ、紫の瞳が俺を見つめる。
炎のあたたかい光に照らされた彼女の顔が、いつもより大人っぽく見えた。
俺は我慢できず、彼女の頬に手を添えて唇を重ねた。
「んっ……悠斗……」
リリアの唇は柔らかくて、少し冷たい。
でもすぐに熱を帯び、彼女がぎこちなく舌を絡めてくる。
甘い吐息が漏れ、俺の首に腕が回される。
毛布の中で彼女の体が密着し、薄いドレス越しに柔らかい胸の感触が伝わってきた。
「もっと……近くなりたいよ、悠斗……」
リリアが耳元で囁き、俺の耳を軽く噛む。ゾクッとする感覚に、下半身が反応してしまう。
「ちょっと待ってよ! 私もいるんだから!」
サフィーラが割り込み、俺を強引に引き寄せた。
彼女が毛布を剥ぎ、俺の胸に手を這わせてくる。
「悠斗、私だって負けないよ。熟練の踊り子の技、味わってみない?」
サフィーラが俺に跨り、腰をゆっくり動かす。
布越しに感じる彼女の熱と、揺れる胸の弾力がたまらない。
俺の手を掴み、自分の腰に導く彼女の瞳は妖艶で、誘うように笑う。
「ほら、触っていいよ。私、悠斗になら全部見られてもいい」
その言葉に、俺は思わず彼女の腰を掴み、布を少しずらした。
褐色の肌が露わになり、汗で濡れた曲線が火光に映える。
リリアが慌てて俺の腕にしがみつく。
「悠斗、私だって……!」
彼女が対抗するようにドレスの肩をずらし、白い肌を見せてくる。
鎖の痕が残る手首を俺に差し出し、甘えるように体を寄せる。
「ここ、触ってよ……悠斗の手、温かくて好きだから……」
俺はリリアの手首を優しく撫で、そのまま彼女を抱き寄せた。
柔らかな胸が押し付けられ、彼女の吐息が首筋をくすぐる。
負けじとサフィーラが俺の背中に手を回し、耳を甘噛みしてくる。
「ふふ、二人がかりでもいいよね、悠斗?」
二人の熱い体に挟まれ、俺はもう頭がクラクラだ。
その時、俺の過去が頭を掠めた。
俺だって、普通の会社員だった頃は寂しかった。
残業続きで友達とも疎遠になり、ちっぽけなアパートで一人コンビニ弁当を食べる日々。
あの光の渦に吸い込まれた時、正直、死んでもいいと思ったくらいだ。
別に生きている意味なんて感じなかったからな。
サブスクのアニメを見て、スマホゲームで時間を潰して...ただ死んでいるように生きているだけだった。
でも今は違う。リリアとサフィーラがいて、俺を必要としてくれる。
「俺さ、日本にいた頃、孤独だったよ。毎日同じ繰り返しで、誰かに必要とされるなんて想像もできなかった。でもお前たちと出会って、初めて生きてるって実感がしたんだ」
俺が呟くと、リリアが涙ぐんで抱きついてくる。
「悠斗……私も同じだよ。悠斗がいなかったら、私、生きてなかったかもしれない」
サフィーラが俺の肩に顎を乗せ、優しく笑う。
「私もだよ、悠斗。あのオアシスで一人だった時、もう終わりだと思ってた。でも今は、こうやって三人でいられる。私、幸せだよ」
三人の手が重なり、互いの温もりを感じる。
俺は決めた。この二人を、絶対に離さない。
夜が更け、暖炉の火が弱まる頃、俺たちは毛布の中で抱きしめあった。
リリアの柔らかい唇、サフィーラの熱い肌。
二人の吐息と甘い声が部屋に響き、俺の心と体は完全に彼女たちに支配されていた。
ブレスレットが光る瞬間まで、いや、何度光ろうとも、この幸せが続くことを願った。
――続く
木造の家々が雪に埋もれ、住民たちが毛皮を纏って行き交う。
村長らしき老人に事情を話すと、快く宿を提供してくれた。
しかもその宿には、天然の温泉が併設されているらしい。
異世界にも温泉あるんか。
「温泉!? マジか、最高じゃん!」
俺がテンションを上げると、リリアとサフィーラも目を輝かせる。
「温かいお湯……想像しただけで体が喜んでるよ、悠斗」
リリアが頬をふっふーと緩ませる。
「ふふ、私も踊り子の頃はよく温泉で体をほぐしてたからね。楽しみだよ」
サフィーラがウインクしてくる。
二人とも可愛すぎて、俺の期待が膨らむ。
膨らんでるのはナニだろうって?うるせぇ。
宿に着き、まずは温泉へ。
板の仕切りで男女別に分かれているが、俺が入った男湯は貸し切り状態だ。
熱い湯に浸かると、疲れが溶けていく感覚がたまらない。
目を閉じてリラックスしていると、隣の女湯から声が聞こえてきた。
「ねえ、リリアちゃん、悠斗のことどう思ってるの?」
サフィーラの声だ。俺は思わず耳を澄ませる。
「どうって……大好きだよ。悠斗がいなかったら、私、今頃……」
リリアの声が少し震える。
「ふーん、素直だね。でもさ、私だって悠斗に惚れてるから、負けないよ?」
「サフィーラさんには負けたくないもん! 私、悠斗ともっと……もっと仲良くなりたいんだから」
その言葉に、俺の胸が熱くなる。リリア、お前……。
誰かに心を寄せられる嬉しさって、こんなにも温かいものだったんだ。
温泉の温みだけではない、ぽかぽかとした熱が自分の中に生まれた気がした。
その夜、宿の部屋で三人で過ごすことにした。
暖炉がパチパチと音を立て、毛布にくるまって並んで座る。
リリアが俺の隣に寄り添い、そっと手を握ってきた。
「悠斗、私、貴族だった頃のこと、もっと話してもいいかな?」
「もちろん。聞かせてくれよ」
リリアが深呼吸して話し始めた。
「私の家はエルドリアの辺境で、昔は栄えてたの。でも私が10歳の時、父が魔獣討伐に失敗して……領地は荒れ、家は没落した。母は病で死に、私は親戚に預けられたけど、そこでも冷たくされて。貴族の娘って肩書きだけが残って、心はいつも寒かったよ」
哀しげな彼女の声が小さくなる。俺はせめて彼女の手を強く握り返した。
「辛かったんだな。でも、もう一人じゃないよ。俺がいる」
「……うん。悠斗が鎖を解いてくれた時、私、初めて温かさを感じたの。それからずっと、悠斗のそばにいたいって思ってる」
リリアが顔を上げ、紫の瞳が俺を見つめる。
炎のあたたかい光に照らされた彼女の顔が、いつもより大人っぽく見えた。
俺は我慢できず、彼女の頬に手を添えて唇を重ねた。
「んっ……悠斗……」
リリアの唇は柔らかくて、少し冷たい。
でもすぐに熱を帯び、彼女がぎこちなく舌を絡めてくる。
甘い吐息が漏れ、俺の首に腕が回される。
毛布の中で彼女の体が密着し、薄いドレス越しに柔らかい胸の感触が伝わってきた。
「もっと……近くなりたいよ、悠斗……」
リリアが耳元で囁き、俺の耳を軽く噛む。ゾクッとする感覚に、下半身が反応してしまう。
「ちょっと待ってよ! 私もいるんだから!」
サフィーラが割り込み、俺を強引に引き寄せた。
彼女が毛布を剥ぎ、俺の胸に手を這わせてくる。
「悠斗、私だって負けないよ。熟練の踊り子の技、味わってみない?」
サフィーラが俺に跨り、腰をゆっくり動かす。
布越しに感じる彼女の熱と、揺れる胸の弾力がたまらない。
俺の手を掴み、自分の腰に導く彼女の瞳は妖艶で、誘うように笑う。
「ほら、触っていいよ。私、悠斗になら全部見られてもいい」
その言葉に、俺は思わず彼女の腰を掴み、布を少しずらした。
褐色の肌が露わになり、汗で濡れた曲線が火光に映える。
リリアが慌てて俺の腕にしがみつく。
「悠斗、私だって……!」
彼女が対抗するようにドレスの肩をずらし、白い肌を見せてくる。
鎖の痕が残る手首を俺に差し出し、甘えるように体を寄せる。
「ここ、触ってよ……悠斗の手、温かくて好きだから……」
俺はリリアの手首を優しく撫で、そのまま彼女を抱き寄せた。
柔らかな胸が押し付けられ、彼女の吐息が首筋をくすぐる。
負けじとサフィーラが俺の背中に手を回し、耳を甘噛みしてくる。
「ふふ、二人がかりでもいいよね、悠斗?」
二人の熱い体に挟まれ、俺はもう頭がクラクラだ。
その時、俺の過去が頭を掠めた。
俺だって、普通の会社員だった頃は寂しかった。
残業続きで友達とも疎遠になり、ちっぽけなアパートで一人コンビニ弁当を食べる日々。
あの光の渦に吸い込まれた時、正直、死んでもいいと思ったくらいだ。
別に生きている意味なんて感じなかったからな。
サブスクのアニメを見て、スマホゲームで時間を潰して...ただ死んでいるように生きているだけだった。
でも今は違う。リリアとサフィーラがいて、俺を必要としてくれる。
「俺さ、日本にいた頃、孤独だったよ。毎日同じ繰り返しで、誰かに必要とされるなんて想像もできなかった。でもお前たちと出会って、初めて生きてるって実感がしたんだ」
俺が呟くと、リリアが涙ぐんで抱きついてくる。
「悠斗……私も同じだよ。悠斗がいなかったら、私、生きてなかったかもしれない」
サフィーラが俺の肩に顎を乗せ、優しく笑う。
「私もだよ、悠斗。あのオアシスで一人だった時、もう終わりだと思ってた。でも今は、こうやって三人でいられる。私、幸せだよ」
三人の手が重なり、互いの温もりを感じる。
俺は決めた。この二人を、絶対に離さない。
夜が更け、暖炉の火が弱まる頃、俺たちは毛布の中で抱きしめあった。
リリアの柔らかい唇、サフィーラの熱い肌。
二人の吐息と甘い声が部屋に響き、俺の心と体は完全に彼女たちに支配されていた。
ブレスレットが光る瞬間まで、いや、何度光ろうとも、この幸せが続くことを願った。
――続く
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