【完結】パラレルハーレム・トラベラー

レイラの過去と高位の使徒

谷の入り口に散らばる血と焦げ跡が、静寂の中で冷たく残っていた。白い使徒との戦いを終え、俺たちはレイラを連れて谷の近くでキャンプを張っていた。生き残った影の集団員たちはレイラの指示で森の奥へ去り、俺たちとレイラだけが火を囲んでいた。夜の森に火の光が揺らめ、ブレスレットの赤い宝石が微かに脈動する。レイラが火を見つめ、紫の瞳を俺に向ける。

「お前たちが白い使徒を倒したのは認める。だが、私がここにいるのは、お前たちの本心を見極めるためだ。創造神は鍵でお前たちを利用し、世界を終わらせるつもりだ。私たちはそれを阻止する」

俺がブレスレットを見つめながら言う。

「世界を終わらせる？ レイラ、お前たちはその確信をどこから持ってるんだ？」

レイラが紫の瞳を火に落とし、低い声で話し始める。

「私はカルディスの遺跡で育った。古の聖域で、創造神の信者が築いたとされてた。だが、ある日、遺跡の奥で封印された石碑を見つけた。『異邦人が鍵を集め、世界が終わり、新たな再生が始まった。次の贄に告ぐ、サイクルを断て』と刻まれてた。村の長老は、それが前回の世界再生で贄となった者たちが残した警告だと言った。私はその意味を理解する前に、白い使徒に村が焼かれ、かろうじて生き残った。それ以来、影の集団で創造神の計画を止めてきた。奴らは何度も世界を終わらせているんだ」

リリアが目を丸くし、俺の手を握る。

「悠斗、レイラちゃん、そんな過去が……私、怖いけど、レイラちゃんが頑張ってるなら、私も頑張るよ！」

セリーナが書物を手に近づき、言う。

「レイラ、カルディスの遺跡って、古文書に載ってる聖地だよ。『聖なる使者』の記述と一致する。サイクルって何だろ？ 私、もっと調べるよ」  

ミレアが剣を手に火を見つめて言う。

「悠斗、レイラの言う通りなら、創造神は私たちを利用してる。私、この世界を守るよ。レイラ、お前はどうしたい？」

レイラがミレアに目を向け、静かに言う。

「私はこの世界を終わらせない。創造神が繰り返すサイクルを止める。それがお前たちと一致するなら、協力する。だが、お前たちが創造神の手先なら、容赦しない」

サフィーラが笑いながら言う。

「レイラちゃん、真剣だね。私、こういう子好きだよ。サイクルって結局なんなの？」

レイラがサフィーラに答えた。

「石碑の警告から分かるのは、創造神が世界を一度終わらせ、新たな世界を再生するたび、鍵がバラバラにされ、異邦人に集め直されてるってことだ。お前たちが欲望を増大させることが再生の糧になるらしい。それが何度目かのサイクルかは知らない」

「レイラ、創造神がそんなサイクルを繰り返してるなら、俺たちはその贄ってことか？ 協力するなら、もっと詳しく教えてくれ」

レイラが小さく頷き、言う。

「分かった。お前たちを信じて話す。だが、白い使徒は序の口だ。創造神の計画を邪魔するなら、もっと強いのが来るだろう」  

数日後、俺たちは森を抜け、次の試練の気配を追っていた。ブレスレットが激しく脈動し、赤い宝石が強く光り始める。レイラが森の奥を見据えた。

「この気配、四つ目の欠片だ。別の世界へ転移するぞ。だが、白い使徒が動いた今、創造神は黙ってないだろう」

その瞬間、ブレスレットが眩い光を放ち、俺たちを包み込む。光が収まると、目の前に広がるのは青い砂が果てしなく続く砂漠だった。空は紫色に染まり、遠くに巨大な水晶の門が浮かんでいる。冷たい声が響く。

「選ばれし者よ、四つ目の試練を受けよ。意志を試せ」

ミレアが剣を構え、言う。

「悠斗、私が先に行くよ。この試練、乗り越える！」

だが、門が開く前に、砂漠が震え、強烈な魔力の波動が押し寄せる。白い使徒とは異なる存在が現れた。長い銀髪が風に揺れ、白いローブに金色の刺繍が輝く美しい女性だ。彼女の瞳は氷のように冷たく、人間を見下す傲慢な笑みを浮かべる。

「私はアルテミシア、創造神の高位の使である。お前たち、下位の虫けらが創造神の意図に逆らうなど笑止千万だ」

レイラが黒い炎を手に叫ぶ。

「高位の使徒だと！？ お前が来たなら、創造神は本気だな！」

アルテミシアが優雅に手を振ると、光の鞭が砂を切り裂く。彼女が冷たく笑う。

「お前たちの様子を偵察しに来たが、予想以上に厄介なようだな。お前たちは欲望の傀儡として贄に捧げられるべきだった。ハーレムで欲望のエネルギーを増大させ、世界再生の糧とする。それが鍵を集める旅の目的だ。私がその意志を正し、再び傀儡に戻してやる」

俺は叫び返す。

「贄？ 傀儡？ 俺たちはお前たちの道具じゃない！ レイラ、一緒に戦え！」

レイラが黒い炎を放ち、頷く。

「分かった。お前たちの意志、見極めるよ！」  

戦闘が始まる。ミレアが剣を振り、アルテミシアの光の鞭と激突し、火花が散る。サフィーラが背後に回り、動きを乱すが、アルテミシアが一瞥で光の波を放ち、サフィーラが砂に叩きつけられる。俺の氷の刃が彼女に届くが、光の障壁で防がれる。セリーナが水魔法で援護したがら叫ぶ。

「悠斗、この女、使徒より強いよ！ 意思を持って動いてる！」

アルテミシアが冷たく笑い、言う。

「下位の虫けらに理解できるはずもない。創造神はお前たちに鍵を集めさせ、欲望を増大させることで新たな世界の糧とする。私はその完成を確実にするため、お前たちを再び傀儡に仕立てる。だが……」

彼女が一瞬、俺に目を細める。

「お前、その意志、少し面白いな。何だ、この感覚……？ いや、まさか、私がこんな下位の虫けらに……？」

リリアが俺の腕を握り、叫ぶ。

「悠斗、私、怖いよ！ でも、こんな奴に負けたくないよ！」

レイラが黒い炎を連射し、アルテミシアに迫るが、彼女が光の鞭でレイラを弾き飛ばす。俺が氷の刃を連発し、ミレアと連携して隙を作る。サフィーラが立ち上がり、アルテミシアの足元を狙う。激戦の中、俺の氷の刃が彼女の肩をかすめ、アルテミシアが一瞬表情を揺らす。彼女が冷たく笑い、光と共に消える。

「次はお前たちの終わりだ。下等な虫けらよ。だが、今は……くっ、私としたことが、何だ、この胸のざわめきは？ くそっ、お前なんかに興味はない！」

アルテミシアの声に微かな混乱が混じるが、彼女は強がるように言い放ち、姿を消す。
戦闘後、水晶の門が開き、青い欠片がブレスレットに吸い込まれる。声が響く。

「四つ目の試練を乗り越えた。鍵はあと一つ。選ばれし者よ、意志を試せ」

レイラが息を整えて言った。

「アルテミシアが引いたのは、お前の意志に何かを感じたからだ。創造神の計画を狂わせてるのは確かだな」

セリーナが書物を手に呟く。

「悠斗、アルテミシアの反応、変だったよ。『欲望のエネルギー』って何だろ？ 古文書の『試練と享楽』の章と関係あるのかも。私、もっと調べるね」  

その夜、青い砂漠のキャンプで火を囲む。リリアがレイラに近づき、彼女の隣に座ってニヤリと笑う。

「レイラちゃん、今日も頑張ったね。私、こうやって褒めてあげるよ」

リリアがレイラのローブの隙間に手を滑らせ、彼女の胸元に指を這わせる。レイラが「何！？ リリア、やめ……！」と声を上げるが、リリアがレイラの乳首を指先で摘み、執拗に弄り始める。

「レイラちゃん、ここ、感じるよね？ 私、こうやってコリコリするの好きだよ。ほら、もっと気持ちよくなっちゃえ」

レイラが「や、やめろって……んっ！」と体を震わせ、顔を真っ赤にする。リリアが乳首を指で転がし、軽くつまんで引っ張ると、レイラの息が荒くなり、「リリア、だめっ……あっ！」と喘ぎ声が漏れる。リリアがさらに乳首を執拗に責め続けると、レイラが体を硬直させ、「あ、あぁっ……！」と声を上げ、乳首だけで達してしまう。レイラが息を切らし、恥ずかしそうに顔を背ける。

「何！？ お前、何をしたんだ……恥ずかしい……！」

サフィーラが笑いながら言う。

「レイラちゃん、感じやすいんだね。私も混ざりたいな」

レイラが「ふざけるな！」と叫ぶが、リリアが彼女の肩に寄りかかり、笑う。

「レイラちゃん、可愛いよ。私、もっと褒めてあげたいな」

セリーナが書物を手に苦笑し、言う。

「悠斗、リリアちゃん、レイラちゃんに絡みすぎだよ。私、創造神の計画、調べるからね」

ミレアが剣を手に笑った。

「悠斗、こいつら、試練の後でもこの調子だよ。私、この世界を守るためなら、こんな仲間でも頼りにするよ」

俺は火を見つめながら決意を新たにする。

「レイラ、俺たちは鍵を集める。でも、創造神の傀儡にはならない。お前がここにいるなら、一緒に戦おうぜ」

レイラが紫の瞳を俺に向けてじっと見つめてから頷く。

「分かった。お前たちの意志、見極めるよ。アルテミシアが次に来るなら、私も戦う。だが、この馬鹿げた騒ぎは我慢の限界だぞ」  

ブレスレットの脈動が次の試練を予感させる中、四つ目の欠片と高位の使徒の襲撃が新たな局面を開いた。物語は緊迫した展開へ進むようだ。
――続く