転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

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  Ⅱ 愛しき人

 焦土

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「G、何を遊んでるのよ。
魔神召喚でもなんでもして、そんなやつ一気に片付けちゃいなさいっ!」
「……それが、出来れば、てっとり早いのですけど、ねっ。
G、ショック!」

ドラゴンの猛攻をかわしながらGが答えた。
まだ神と人の世が別たれていなかった千年前の神代、世界を滅亡寸前にまで追い込んだ魔神の力を借りれば、確かに古代竜の力を凌駕出来るだろう。
しかし、その為には膨大な魔力と召喚陣が必要だった。
仮にも魔界の一柱を呼び出す究極の破壊スキル。
魔力消費の少ない他のスキルと違い、簡易術式のみで使用する事は出来ない。
-このままではジリ貧です。
攻撃をかわしながら策を練るGに生じた僅かな隙、それを見逃す不死竜ではなかった。
炎の息を直前で回避した刹那、尻尾の一撃を受けた無防備な体が地上へと叩き付けられる。

「Gっ!」

瓦礫に埋もれた街のなか、ユリカはGの元へと走った。
Gはあの程度で死んだりしない。
私の他者回復スキルなら、どんな酷い怪我だって治せるんだから-。

「伏せろ、ユリカ嬢!」

その時、ファランの鋭い声が飛んだ。
その声に反応し、頭上を仰いだユリカは愕然とした。
Gの死を確認しようと低空飛行で舞っていた不死竜の爪が、眼前にまで迫っていたのだ。
咄嗟に先程の激突で作られた足下のクレーターに身を沈めるも避けきれず、ユリカの背中を竜の鉤爪が切り裂いた。

「……っ‼」

燃えるような激痛に声にならない叫び声をあげ、Gの隣にどさりと倒れ込むユリカ。
-治すんだから、絶対……に。
少女の執念が少年の指先に微かに触れた。

「皆の者、ドラゴンをあの二人に近付けてはならん。
弓兵隊、射撃用意……放てっ!」

ファランらの必死の抵抗も虚しく矢の雨を翼の一振りで撫で落とすと、不死竜の白い喉に炎の光球が灯った。

「ブレスが来るぞ!
魔導部隊は水膜壁を直ちに展開、味方を死守せよ!」

魔導師達が次々と水の防御膜を味方の周囲に張り巡らせる。

「セツハ、G達を!」

命じられたメイドは懐から銀の長針を取り出すと、Gとユリカの横たわる地面へと突き刺した。
七本の針の先端から放たれた光が北方七宿を形成し、地上の星を光の帯で結ぶ。

ぎゅうじょきょしつへき
針術しんじゅつ結界、玄武」

眼鏡の位置を僅かに直してセツハが呟いた。
と同時に大地から水柱が怒濤の如く立ち昇り、異形の巨亀が二人を護って甲羅を水の盾へと変えた。

-グォォォォォ。

無慈悲に放たれた轟火球が視界を赤一色に染め、鉄をも溶かす高熱で水膜を次々と蒸発させていく。

「……ぐ……堪えろ、マラカーンの戦士達よ。
こんな所で死ぬ事は許さぬ、絶対に許さぬぞ」

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