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Ⅱ 愛しき人
不死竜の真実
しおりを挟む「傷口から強い呪の力を感じます。
不死竜を完全に滅ぼさなければ、ユリカ様はこのまま」
淡々と説明しながら、セツハはユリカの背中の傷に添って細い針を刺した。
清らかな浄化の光が患部へと照射される。
「針術結界、光癒。
僅かですが呪いの進行を遅らせる事が出来ます。
それでも命の保証が出来るのは日没までです」
「同じ事を言わせるな。
居もしないものをどうやって倒す。
奴はCショックで粉砕してあの森に-」
しかし、森に不死竜の骸は無かった。
一欠片の骨も残さず完全に消失していたのだ。
「……これはどういう事だ。
我らが戦っていた不死竜は、幻であったとでも言うのか?」
「ふ、ファラン様ぁーーっ‼」
破壊を免れた領主の館から、マリエッタが大慌てで駆けてきた。
「こ、これを、これを御覧になって下さい!」
青ざめた彼女が差し出したのは遠見の水晶球だ。
そこには山の頂きで眠る不死竜の姿が映し出されていた。
「やはり、やつは生きていたのか」
「それが違うんです!」
マリエッタの指先が水晶を軽く撫でると、今度は暗い洞窟の奥で冒険者の男を手にかける不死竜の姿が映った。
続く森の中でも骨の竜が暴れ、周囲を火の海へと変えている。
「……不死竜が、三体だと」
「場所はどれもラウォール山周辺です。
そしてこれが先程の……」
マリエッタがもう一度、水晶球を撫でる。
新たな映像が見せたのは、黒い半身で空を飛ぶ不死竜の姿だった。
「Cショックの腐蝕効果を押し返し、徐々に再生しているようだ。
蜥蜴の仲間にしてはやるじゃないか」
クレードが愉快そうに手を叩いた。
「お気付きですか?
四体の不死竜の胸の核が共鳴するように一定の律動を刻んでいる事を。
あれは四体で一つの竜だったと言う事です」
「……死なずの竜とはよく言ったものだ。
つまり一体だけを倒しても残りの不死竜が魔力を供給し、何度でも復活してしまうという訳か。
マリエッタ、あれを滅する手立ては?」
「……時を置かず、四体すべてを倒す事が出来れば」
唇を噛み締め、マリエッタが項垂れた。
一体で街を壊滅させる力を持つ化け物を、四体同時に葬る。
それがどれだけ難しい事か、その場にいる全員が身をもって思い知っていた。
「Gがやります」
皆が一斉にGの顔を見た。
「で、出来る訳がなかろう!
並みのモンスターとは強さの桁が違うのだぞ?!」
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