転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

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Ⅶ 王都の夜

 隠者の果実

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「……父は、元気そうでしたか?」

この世界での父親であるヴァルサーン七世の安否を気遣い、Gが心配そうな声で訊ねた。

「去年お会いした時よりもかなりお痩せになられていたわ。
謁見もすぐに終わったし、重い病だと言う噂は本当かも知れないわね」
「Gは幼い頃から過労で倒れる父を何度も見てきました。
もともと体が丈夫な方ではないのに、無理ばかりする人なので……」
「それなのにどうして反乱を起こすにゃか?
ゴキブリさんは国王の事が嫌いにゃ?」

遊んで貰った記憶はなく、言葉を交わす事すら稀だったが、父王を嫌悪した事は一度もない。

「父は十五で国王に即位し、有力貴族や宰相に頼る事なく一人で王国を守ってきました。
そして貧しかったヴァルサーンを強く、豊かな国に変えようとするあまり、愚かにも侵略戦争を始めてしまったのです。
属国から多額の上納金を得る一方で、同盟国であったルッツベルクやガレムからは常に領土を狙われるようになってしまった。
Gはもう、人々が醜い争いで命を落とすのを見たくないのです」
「戦争を止める為にゃか」
「国がどれだけ潤っても、そこに暮らす民が悲しんでいては豊かとは言えませんからね」
「だから昔、国王の命を狙ったにゃ?」
「……いえ、あれは。
初めて召喚した魔神の力が暴走したのが原因です。
前世の記憶が甦った日に」

整備された街並みを歩きながら、Gは三年前のあの日の事を思い出していた。
それまで朧気だった前世の記憶が、鮮明に甦った日の事を。
ランドリーフの憩いの酒場に戻ると、反乱軍の人数はまた増えているようだった。

「みんな、ただいまぁ~」
「リーダー、おかえりなさい!」

ハルナーフが酒場のカウンターに腰を下ろすと、芳ばしい香りが鼻腔をくすぐった。
奥のキッチンでは数人が鉄鍋を使って夕食を調理している。
やがて三人の前にフラホロ鶏の丸焼きやシャコール海老、虹クラゲのスープなどコンバットの名物料理が次々と運ばれてきた。

「ハル様、皆様、ご無事で何よりです。
大した物はありませんが、作戦会議の前に腹ごしらえして下さいな」

皿いっぱいに盛り付けた料理を盆に乗せ、ジェシカが言った。

「美味しそう~!
ありがとう、ジェシカ。
うちのトマスとは久し振りの再会だったんじゃない?」
「あんな女なんて知りません!」

ふんと鼻を鳴らしてキッチンの奥に消える。
また痴話喧嘩でもしたのだろう。

「あらあら、恋人同士は仲良くしなきゃダメよ~。
そう言えばジーク、ユリカさんとは話せた?」

目の前の料理に口をつけず、心ここにあらずと言った様子のGにハルナーフは話を振った。

「二本足さんは明日の結婚を迷っているようでした。
そして……Gの事を完全に忘れていました」
「せっかく助けに来たのにけしからんにゃ~。
ネムが今からお城まで行って、お説教してくりゅら~、ひっく」

葡萄酒の酔いがまわったネムネムを宥めつつ、二人は会話を続けた。

「そこで、リーダーにお願いがあるのですが」
「……失われた記憶を取り戻す方法。
隠者の果実、かしら?」
「はい。
リーダーのスキルで創っては貰えませんか?」

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