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第1話 嫁探しの旅がはじまる

離婚成立、契約解除。❌が3つになったゲーム会社,社長の俺に残されたのは2人の子供達だけ。それでも俺は子供達の為に新妻を求める‼️

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「―――――ーーー斗真ちゃんも亜末ちゃんもぐっすり寝ましたよ」


 そう言って、妻は静かにダイニング・リビングへと入ってきた。


 俺はいつものように仕事を家に持ち帰り、ダイニングテーブルにノートパソコンを
 広げ、黙々とゲーム開発に没頭している。妻が入ってきたことは知っていたが
 それほど気にも止めていなかった。
 一応、俺の会社での役職はゲーム会社社長兼取締役だ。

 返答がなくても妻は『いつものことだろう』と俺は高をくく自惚うぬぼれていた。


「宗一郎さん、少しお時間よろしいでしょうか」

 俺の顔色を伺うように妻はさりげなく腰を掛けた。
 妻の容姿が正面からその目に入り込んできた。 
 俺はキーボードを打つ指を止め、妻に視線を向ける。

 『話なら手短にさっさと済ませてくれ』
 その態度がむき出しになって表面に現れていたのだろう。


「私と離婚してください」
 
 淡々とした口調で妻は【離婚届】をダイニングテーブルに置いた。
 妻の名前はすでに書かれていた。

 この時、妻の決心は迷いもなく決まっていたのだ。

「契約解除ということか」

「はい」

「なぜだ?」

 俺はゲーム会社の社長だぞ。年収10億円だぞ。

 何不自由ない暮らしをさせてきたはずだ。


「何が不服だ。このマンションも君の為に買ったんじゃないか。
この結婚は君にもメリットだったはずだろ」

「ええ,そうですよ。この結婚はビジネスだったから、3年経ったら離婚しようと
最初から決めていました」

「始まりは契約結婚だったかもしれん。だが、俺は君を正式に妻と認め
籍も入れた」

「ふっ(笑)。もうやめませんか社長。見苦しいですよ」

「え…」

「社長が必要だったのは私ではなく、あの子達の母親ですよね。
子供達の母親になってくれる人なら誰でもよかったんです」

「子供達のことを一番に考えるのは当然だろ」

「……私、実は結婚するんです。お腹に彼の子供がいます。離婚してくださいね」


 俺はしたたかな妻の事をみくびっていた。

「それから慰謝料ですが1億円でいいですよ。私の口座に振り込んで下さいね」





 それは時計の針がちょうど10時を過ぎた時だった――。

 タワーマンションの下まで男が迎えに来ていたのか、妻が家を出て行った
 10分後に車が立ち去る走行音が聞こえた。

 夜10時を過ぎると殆ど人気もなくなり、車の走行音も聞かない静かな街に
 一台の車の走行音はかなり響いて聞こえるものだ。

 
 
 妻が家を出た後、車の走行音が聞こえたら、それくらいの予測はつく。




 この日、3度目の離婚が成立した――――ーーー。



 ――――と言っても、3番目の妻は契約結婚だったから、契約解除と共に

 俺、三宅宗一郎みたけそういちろうは妻に1億円の慰謝料を請求され支払うこととなった。
 



 ×  ×  × 


 バツが3つ。この俺が…またもや離婚…。

 契約結婚だとはいえ、子供達の為と思い籍を入れたのにこのザマだ。

 たかが紙切れじゃない。3回の離婚は俺にとっては屈辱でしかない。


 俺のプライドと地位に傷がついた。

 
 そんなことを言っている場合か、、、俺はこれからどうすれはいいんだ。



 

 こうして俺に残されたのは最初の妻との間にできた
                   2人の子供達だけになった、、、、。



 今まで父親らしいことを何一つして来なかった俺に子育てなんかできるわけないだろう……




  
 だけど、現実は待ってはくれないーーーー





 必ず誰にでも同じように朝が来る……



 俺は子供達が目覚めた時、なんて言えばいいのだろうか……

 



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