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宇宙を貫いて2
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アマガがポインターを操作してスクリーンにマーカーを設置した。
マザーシップ上部の一角が赤く輝く。
「ここです! ここが通信機にいちばん近いハッチです!」
進常が指示を飛ばす。
「左に回避! 右下から敵機!」
メリコは攻撃をかわした。
ミッションシップはマザーシップの上を通り過ぎてしまったので方向転換をする。
メリコが息を荒げながら言った。
「はぁはぁ、向こうからハッチ開けてくれるわけないよねー!」
アマガが答える。
「シャッターを破壊してサブシャッターが降りる前に突入しなければならないでしょう」
「なんとかしてよ、シンジョー!」
「ま、待ってろ……」
進常はメモを書き続けた。ぴたっと止まって言う。
「右に回避、右下から敵機。そのうち三機を倒したら、一秒だけ攻撃が止む! その瞬間がチャンスだ!」
「おう!」
メリコは威勢よく返事した。
進常の予知どおり右に回避し、右下に現れた敵機を撃墜する。
その直後、一瞬の空隙が生まれた。
「とぉおおおおーっ!」
メリコはマザーシップのハッチに向けてトリガーを引いた。
奔る光条。
爆散する扉。
ハッチの中の空気が吹きだして白く輝く。
「えいやぁああーっ!」
メリコは減速せずにハッチへ突っ込んでいった。
敵の攻撃が幾筋もミッションシップをかすめるが、直撃はしない。
ミッションシップは第一シャッターを通過、内部への侵入を果たす。
勢いが余って天井をこすり、ついで床をこすり、
バウンドして長く滑走したあとやっと止まった。
もう船体はボロボロだった。
ミッションシップの背後でサブシャッターが降りて、空気の流出が止まる。
操縦席内ではスクリーンがひび割れて機能を停止していた。
重力があるため、鈴木たちは絡まりあって団子状になっていた。
「ぬぅうううーんっ!」
団子からメリコが抜けだし、手動で出入り口を開けた。
転がるように外へ出る。
ついでアマガも文字通り転がり出て、モルゲニーも羽ばたいて脱出できた。
しかし、でっぷり太った進常が出入り口に詰まる。
「うぅぅうーん! わたしはもうダメかもしれんね!」
「弱音を吐かないでください進常さん! あともう少しのことですから!」
中から鈴木が押し、外からメリコたちがひっぱることで、
進常の身体はなんとかすぽんと抜けた。
外へ出られた鈴木はひと息ついて周囲を見回す。
発着ドックにはこれといったものもなく、ガランとしていた。
白く細長い、空虚な空間だった。
おかげで鈴木たちのミッションシップは潰されなくて済んだのだったといえよう。
鈴木は言った。
「発着ドックのわりにずいぶん何もないとこなんだね」
アマガが答える。
「ここは上級社員のみが使えるプライベートなドックなので、使われることも少なく、普段はなにもないんです」
メリコが一同を急かした。
「早く移動しないと! ここは空気を抜くのが簡単だからすぐ真空にされちゃう!」
「そりゃ大変だ。急ごう!」
鈴木が言い、一同は奥へ向かって走った。
ここでも進常は巨体のためうまく走れない。
ドタドタ、ぜぇぜぇ言いながら鈴木に押して貰う。
なんとかドックの出入り口に着いた。
「う……!」
進常の右手が動く。
「えーん、もう太りたくないよー!」
嘆きながらも進常は予知のメモをとった。
それを読みあげる。
「三十秒後、ロボット! 来る!」
メリコが言った。
「警備ドローンね! とにかくここを出ないと不利!」
ドックを出ると、少し離れたところに全面ガラス張りの管制室があった。
中に入ってもほとんど丸見えだが、
コンソールの類が多いので屈めば隠れられる。
一同は急いでそこに隠れた。
直後、マッチ棒できたような人型を数体載せたカートが走り過ぎる。
イレイザーを引き抜いたメリコがつぶやく。
「やり過ごすことができるかな」
「う……!」
鈴木の額に第三の眼が開いた。
力が集まっていくのを感じる。
これが出たということは戦いの可能性が高いということだろう。
身を屈めて様子を見ていると、通り過ぎたカートがバックして戻ってくるところだった。
「やっぱりこっちの位置はバレてるか!」
メリコが飛びだしてイレイザーの引き金を絞る。
アマガも身体を起こして応戦した。
「わたくし、射撃はちょっと得意なんですよ!」
鈴木も立ちあがった。
「とにかくやっつけるこうせぇぇぇーんっ!」
数条のビームが飛び交った。
鈴木たちの先攻が効いて、警備ドローンたちは簡単に全滅した。
メリコが軽くガッツポーズをとる。
「やったっ! これでカートが手に入った! これに乗れば一気に進めるよ!」
「よ、よおし、もう走るのは無理だかんな、わたし」
よたよた歩く進常をサポートして、一同は警備ドローンが乗ってきたカートを奪った。
とうとう敵の本拠地に入りこんだ。
そしてその中心部へ向かおうとしている。
第三の眼も開いた。
もうすでに自分の出番はきている。
鈴木は武者震いを感じて言った。
「ここからはぼくの出番だ。もう気にしてられない!」
鈴木は被っていた日除け付き帽子を脱ぎ捨てた。
ひとつかみの髪の毛が抜け落ちる。
それで気が変わりかけた。
「あ、やっぱ被っとく……」
「気にしない!」
メリコがカートのアクセルを踏んだため、鈴木は帽子を拾えなかった。
アマガが言う。
「このままメインエレベーターへ向かってください。エレベーターで最上部から一階下に出ます。そこに超光速通信設備があります」
「おっけー」
メリコはアクセルをさらに強く踏んだ。
一同を乗せたカートが疾走する。
この乗り物で出せる最高速度に達していた。
カートは進む。
通路は幅が広いが何本も枝分かれしていた。
アマガがナビをして、適切な方向へ誘導する。
ときおり脇道から警備ドローンたちが現れたが、進常が予知した。
鈴木とアマガが迎撃して倒す。
ビームをたくさん撃ったため、鈴木の髪の毛も抜け、髪型はモヒカンになっていた。
ぱんぱんに膨らんだ顔で進常が言う。
「ワイルドな髪型になったな鈴木くん。それも悪くないんじゃないか」
「言わないでください! ぼくは虫を愛でるおとなしい少年のままでありたい!」
「虫を愛でる少年が宇宙のチリになるか、地球を救う英雄になるか、だな」
メリコが口を開いた。
「アタシの人生だってかかってるんだからね! 会社を敵にまわしちゃったし! やれるかぎるのことはやるよ! アタシが二人を英雄にしてみせる!」
モルゲニーが鈴木の肩の上で言った。
「テホルル・ペットフーズを倒せば、スズキはアンザレクトにとっても英雄じゃ! いまのところ出番はないが、わらわも決死の思いでバックアップするぞ!」
アマガは、
「ぐ、……いや寝てませんよ!」
こんなスキにも眠りかけていた。
マザーシップ上部の一角が赤く輝く。
「ここです! ここが通信機にいちばん近いハッチです!」
進常が指示を飛ばす。
「左に回避! 右下から敵機!」
メリコは攻撃をかわした。
ミッションシップはマザーシップの上を通り過ぎてしまったので方向転換をする。
メリコが息を荒げながら言った。
「はぁはぁ、向こうからハッチ開けてくれるわけないよねー!」
アマガが答える。
「シャッターを破壊してサブシャッターが降りる前に突入しなければならないでしょう」
「なんとかしてよ、シンジョー!」
「ま、待ってろ……」
進常はメモを書き続けた。ぴたっと止まって言う。
「右に回避、右下から敵機。そのうち三機を倒したら、一秒だけ攻撃が止む! その瞬間がチャンスだ!」
「おう!」
メリコは威勢よく返事した。
進常の予知どおり右に回避し、右下に現れた敵機を撃墜する。
その直後、一瞬の空隙が生まれた。
「とぉおおおおーっ!」
メリコはマザーシップのハッチに向けてトリガーを引いた。
奔る光条。
爆散する扉。
ハッチの中の空気が吹きだして白く輝く。
「えいやぁああーっ!」
メリコは減速せずにハッチへ突っ込んでいった。
敵の攻撃が幾筋もミッションシップをかすめるが、直撃はしない。
ミッションシップは第一シャッターを通過、内部への侵入を果たす。
勢いが余って天井をこすり、ついで床をこすり、
バウンドして長く滑走したあとやっと止まった。
もう船体はボロボロだった。
ミッションシップの背後でサブシャッターが降りて、空気の流出が止まる。
操縦席内ではスクリーンがひび割れて機能を停止していた。
重力があるため、鈴木たちは絡まりあって団子状になっていた。
「ぬぅうううーんっ!」
団子からメリコが抜けだし、手動で出入り口を開けた。
転がるように外へ出る。
ついでアマガも文字通り転がり出て、モルゲニーも羽ばたいて脱出できた。
しかし、でっぷり太った進常が出入り口に詰まる。
「うぅぅうーん! わたしはもうダメかもしれんね!」
「弱音を吐かないでください進常さん! あともう少しのことですから!」
中から鈴木が押し、外からメリコたちがひっぱることで、
進常の身体はなんとかすぽんと抜けた。
外へ出られた鈴木はひと息ついて周囲を見回す。
発着ドックにはこれといったものもなく、ガランとしていた。
白く細長い、空虚な空間だった。
おかげで鈴木たちのミッションシップは潰されなくて済んだのだったといえよう。
鈴木は言った。
「発着ドックのわりにずいぶん何もないとこなんだね」
アマガが答える。
「ここは上級社員のみが使えるプライベートなドックなので、使われることも少なく、普段はなにもないんです」
メリコが一同を急かした。
「早く移動しないと! ここは空気を抜くのが簡単だからすぐ真空にされちゃう!」
「そりゃ大変だ。急ごう!」
鈴木が言い、一同は奥へ向かって走った。
ここでも進常は巨体のためうまく走れない。
ドタドタ、ぜぇぜぇ言いながら鈴木に押して貰う。
なんとかドックの出入り口に着いた。
「う……!」
進常の右手が動く。
「えーん、もう太りたくないよー!」
嘆きながらも進常は予知のメモをとった。
それを読みあげる。
「三十秒後、ロボット! 来る!」
メリコが言った。
「警備ドローンね! とにかくここを出ないと不利!」
ドックを出ると、少し離れたところに全面ガラス張りの管制室があった。
中に入ってもほとんど丸見えだが、
コンソールの類が多いので屈めば隠れられる。
一同は急いでそこに隠れた。
直後、マッチ棒できたような人型を数体載せたカートが走り過ぎる。
イレイザーを引き抜いたメリコがつぶやく。
「やり過ごすことができるかな」
「う……!」
鈴木の額に第三の眼が開いた。
力が集まっていくのを感じる。
これが出たということは戦いの可能性が高いということだろう。
身を屈めて様子を見ていると、通り過ぎたカートがバックして戻ってくるところだった。
「やっぱりこっちの位置はバレてるか!」
メリコが飛びだしてイレイザーの引き金を絞る。
アマガも身体を起こして応戦した。
「わたくし、射撃はちょっと得意なんですよ!」
鈴木も立ちあがった。
「とにかくやっつけるこうせぇぇぇーんっ!」
数条のビームが飛び交った。
鈴木たちの先攻が効いて、警備ドローンたちは簡単に全滅した。
メリコが軽くガッツポーズをとる。
「やったっ! これでカートが手に入った! これに乗れば一気に進めるよ!」
「よ、よおし、もう走るのは無理だかんな、わたし」
よたよた歩く進常をサポートして、一同は警備ドローンが乗ってきたカートを奪った。
とうとう敵の本拠地に入りこんだ。
そしてその中心部へ向かおうとしている。
第三の眼も開いた。
もうすでに自分の出番はきている。
鈴木は武者震いを感じて言った。
「ここからはぼくの出番だ。もう気にしてられない!」
鈴木は被っていた日除け付き帽子を脱ぎ捨てた。
ひとつかみの髪の毛が抜け落ちる。
それで気が変わりかけた。
「あ、やっぱ被っとく……」
「気にしない!」
メリコがカートのアクセルを踏んだため、鈴木は帽子を拾えなかった。
アマガが言う。
「このままメインエレベーターへ向かってください。エレベーターで最上部から一階下に出ます。そこに超光速通信設備があります」
「おっけー」
メリコはアクセルをさらに強く踏んだ。
一同を乗せたカートが疾走する。
この乗り物で出せる最高速度に達していた。
カートは進む。
通路は幅が広いが何本も枝分かれしていた。
アマガがナビをして、適切な方向へ誘導する。
ときおり脇道から警備ドローンたちが現れたが、進常が予知した。
鈴木とアマガが迎撃して倒す。
ビームをたくさん撃ったため、鈴木の髪の毛も抜け、髪型はモヒカンになっていた。
ぱんぱんに膨らんだ顔で進常が言う。
「ワイルドな髪型になったな鈴木くん。それも悪くないんじゃないか」
「言わないでください! ぼくは虫を愛でるおとなしい少年のままでありたい!」
「虫を愛でる少年が宇宙のチリになるか、地球を救う英雄になるか、だな」
メリコが口を開いた。
「アタシの人生だってかかってるんだからね! 会社を敵にまわしちゃったし! やれるかぎるのことはやるよ! アタシが二人を英雄にしてみせる!」
モルゲニーが鈴木の肩の上で言った。
「テホルル・ペットフーズを倒せば、スズキはアンザレクトにとっても英雄じゃ! いまのところ出番はないが、わらわも決死の思いでバックアップするぞ!」
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