異世界転移された傾国顔が、アラ還宰相の幼妻になって溺愛されるまでの話

ふき

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おまけ、初夜

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薄暗い部屋に照らされた紫の瞳が俺を射貫く。
少しかさついた手のひらが俺の頬を触れた。

「カナト」

指が顎を掬う。上を向かされると、唇が落ちた。

「んっ」

薄く口を開けると液体が入り込む。媚薬が入っているとかいう甘過ぎない酒をごくりと飲み込んだ。
ぎゅっとヴァルターが着ている薄手のシャツを掴んだ。

「もっと…」
「このくらいにしておきなさい」

嗜めるような言葉は甘さが滲む。その声に、喜びが胸を満たしていった。

「じゃあ、もう一回」

んっと唇を差し出すと、もう一度唇が触れる。ぬるりと舌が侵入する。酒の仄かな甘さが残った舌をつつくと、絡め取られてしまう。

「…んぐっ、……ふぁ……」

腰に腕が回り、そっと押し倒される。食べられるようなキスに呼吸なタイミングを見失った。
ドンッと胸を叩くと、唇がゆっくりと離れる。俺が望んだのに、離れると名残惜しさが残った。

「…っ、くるしい」
「鼻で呼吸を…」
「したけど…、ヴァルターがずっとするから」
「それはすまなかった」

軽くからかうように言われても、ちっとも響かない。服に視線が落ちる。

「しかしまた何故この夜着を」
「…透け透けからはじまったし、透け透けのほうがいいかなって」

初夜からはじまって、成り行きも含めてヴァルターと会うときは透け透けの服だ。
着たいわけでもないが、数度着ると慣れてしまった。ここでの生活もだけど、案外適応力があったんだなとしみじみ思う。

「似合わない?」
「いや、寒くないか心配になる」
「似合うって言われてもだけど、その返答はその返答で…」

おしゃれで足出して、寒そうと言われる女の子の気持ちが分かったような気になる。

「似合う上でだ」

指がひらりとしたレースの上から肌を撫でる。細かい糸のざらついた感覚がこそばゆく感じた。

「んんっ…」
「誰にも見せたくない」
「…あ、……ん、っふ…こんなの、見せない…っ」
「そうしてくれ」

指がレースを割り、下へと伸びる。後ろの方にそっと触れられると身体が震える。

「ひぁ…」
「ここを誰か触れたことは?」
「な、ない…んぁ、…」

そうかと、言葉よりもずっと柔らかな響きの声が耳の奥に残る。
指がそこに沈められる。見えなくて分からない。だというのに、そこにある指の感覚が伝わってくる。

「カナト、もう少し緩めてくれ」
「…わ、わかんない……」

力を抜こうと意識すると、逆に指を鮮明に捉えてしまう。び、媚薬ってなんだ。もっといっぱい飲む方がラクだったんじゃないかと、泣き言を言いたくなる。

「カナト」
「ふ、……ぁっ、…ん」

低く名前を呼ばれると、唇を取られる。酒の味はすっかり消えていた。

「…んっ、……ぐっ、ぁ…ひんっ」
「カナトっ」

指が深く入り込む。
気付けば、探るような指がそこからぐちゅぐちゅと水音を立てている。

「…あ、っあ、…だっん、だめっ…」
「駄目ではないだろう」
「そっ、そこ…、…ふぁ…ん、ぁ、ゔぁっ、ヴァルター…」

ヴァルターの節くれだった指が、なかを触れる。
その度に、腰から甘い痺れが駆け抜けて力が抜けた。
どこに触れていいのか分からなくて指先が迷う。
ぎゅっとシーツを握っていると、違うと言わんばかりに外された。
ヴァルターの首に腕を案内され、しがみつく。

「…も、もぅ…、やぁっ、…いれ、いれてぇ…!」
「まただ」
「…うぅ~~やだぁ…っあ、あ、ぅん、あ」

宥めるように頭を撫でて、あらゆるところに唇を落とされるのに、欲しいものが得られない。
なかのいろんな所を触れられる。そうすると、自分でもわけがかわらないほど身体が跳ねた。
イケそうでイケなくて、腹の奥に熱が渦巻く。
優しく前を触れられたときとは全く違う。こんなになるなら媚薬なんて飲むんじゃなかった。

「つらっ、ん、っや、あ…つい、んぐ、っあ、…つらいぃ」

首に回った腕がだらりと落ちる。なにも掴む力がなくてシーツの上に投げ出された。

「たす、っあ、たすけて…、ヴァルター」
「……っ」

息の詰まる音。埋められていたそこにぽっかりと穴が空いたと思うと、すぐになにかが当てられる。
熱い。指なんかよりもずっと熱くて太い。それが少し埋められる。

「…っん、…あ」
「君は、本当に…っ」

ぐっと深く埋められる。
熱いそれが俺のなかを充たしていった。
紫の瞳が揺れて、欲に濡れている。俺を見て、感じて、そうなったのだと思うとじんわりとしたものが込み上げてきた。

「…ヴァルターは、しあわせ?」
「………君は?」
「俺は…、」

指を伸ばして、もう一度首へと回す。

「しあわせだって思うよ」
「私も同じだ」

鼻が当たるほど顔が近づく。白髪に混じるオリーブ色の髪も紫の瞳もヴァルターを造るものだと思うと可愛く見えた。




ちゅんちゅんと鳥の鳴く声に目が覚める。
どこにいても鳥の鳴き声は変わらないのだと思ったことを思い出した。

あの時は起きたら独りだったな。でも今は、ヴァルターの胸の中にいた。そっと顔を覗くと、眉間に刻まれた皺も少し和らいでみえる。

わけ合う温もりが心地よかった。
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