Lukinoa~愛しき贄~

大福黒団子

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 嵐だ、とルゥキノアは外を見て確信する。ごうごうと吹き荒れる雨風に、たまに鳴り響く雷。孤児院時代は恐ろしかったが、安全な家の中ではさして怖くも無い。
 伯爵に拉致され、強姦され一週間ほどたった今――ルゥキノアはすっかり慣れて生活に適応していた。もとより、冒険者として神経が図太いせいもあったのだろう。
 たまに旅をしたいとは思うが泣き言やら、出されたご飯に文句は言わずにおいしく召し上がる。そのうえ、家事も手伝い、伯爵から武器の手入れを教えて貰ったりなどと比較的自由気ままな生活を送っている。
 その様子を見て伯爵は一言。

「適応力高すぎるだろ」

 そして、ルゥキノアは淡々と答える。

「いや、だって。泣いて喚いてどうにかなる問題ではないので」

 とても、冷静だった。傍から見れば逃げるのをあきらめたようだが、その実は違う。お互いの決着。何をどうしてそれをつけるかは、未だ浮かばないようだ。しかし、ルゥキノアはその決着が着くまで自ら離れることはしないと心に決めたのだ。
 無論、そのことは伯爵も理解した。彼は、人から見た以上にルゥキノアを観察し、その思考を読み解いている。故に、下手にお互いがピリピリするということは無く、もはや同居人として二人の仲はそこそこ良くなっていた。
 ――とある問題を除いて。

「トト、ジェンガしながら聞いてほしいのです」

 トト、それはルゥキノアが付けた伯爵の愛称だ。ずっと伯爵と呼んでいたら、突然伯爵がむすくれ、やれ自分は名前と愛称で呼んでるのになぜ称号で呼ばれ続けるんだ? 不平等だー! などと文句を言い始めたのが始まり。
 それでモンストロから適当にとってトト……という、妙な略し方の愛称になったのだ。
 ともあれ、伯爵はなぜか一人ジェンガをしながら呑気そうに「なんだぁ」と答える。

「トトって何者なのです?」
「邪神」

 ルゥキノアの言葉に彼はさらりと答える。邪神、その言葉にるぅきのは一つの神話を思い出した。

「勇者クックロビン・バルドルと邪神の物語」
「そう。その邪神が俺様なのだ。すごいだろ?」

 本当か? という言葉をそのまま表情にした顔をルゥキノアは浮かべ、じっくりと伯爵をにらみつける。一方の伯爵は笑顔で照れながらにこやかに答えた。

「お前の信じたいことを信じればいいさ」
「それでトトはいいのですか?」
「さてね、内緒だ」

 にやにやと余裕そうに笑う伯爵の顔を見て、ルゥキノアははぐらかされたと頬を膨らませる。この男はいつもそうだ。自分がいっぱいいっぱいなのに対し、常に余裕で笑顔。何とも腹立たしい。

「しっかし、嵐だと暇だな。洗濯物は魔法で乾燥させてるとはいえ……やる気が無い。というわけでルゥちゃんや、お兄さんのをしゃぶってくれ」
「……一体何を言ってるのです?」

 昨晩も散々自分を抱いただろうに――と、ルゥキノアが言いかけた瞬間。何かが自分の手足を掴み、椅子に座った彼の元へと自分を動かした。それは、八本の触手。生えてる先は伯爵の背後。
 まさか、とルゥキノアは息をのむ。人間では無さそうだと、この一週間なんとなくは思っていたのだ。
 ルゥキノアが彼の元へ着くと、丁度、伯爵の腰がルゥキノアの顔先に向く様に、触手は彼を四つん這いにさせる。
 抵抗はしなかった。否、しようとしたがそれ以上に触手の力が強く、動くことができなかったのだ。

「あの、ルゥはその……トトのそれ、しゃぶったことないのですが」

 無論、それはあくまでルゥキノアの意識があるときの話。伯爵はすでに、ルゥキノアが眠ったり気絶している間にその口に何度も咥えさせている。だからこそ、なのかもしれない。

「うむ、そうだな。だからしゃぶれ」
「…………一回だけ、なのですよ」

 ルゥキノアは内心嫌であったが、こんな状況になって伯爵が諦めることが無いことを学習していた。ならば、さっさとしてしまえばいい。とはいえ、フェラも手コキもしたことが無いのでまずどうすればいいか分からない。
 それを察したのだろう。伯爵は衣類の隙間から己の一物を出し、ルゥキノアの顔の前へと突きつける。

「なんか、いつもより小さい気がするのです。おおきいけど」

 ルゥキノアは伯爵の巨大なそれを見つめる。とはいえ、今はまだ硬さを持っていない。その状態を初めて見たのだろうか、より興味深く見つめていた。

「まだ硬くなってないからな。よし、じゃあ早速俺様が初心者ルゥちゃんの為にレクチャーしてやろう。まずは両手で優しく根元を擦るんだ。んで、先端にキスをする」
 
 伯爵の指示通り、ルゥキノアが両手を彼の根元へ近づけると、両手を拘束していた触手は少しづつ離れていった。
 そして、そのまま優しく根元を擦りつつ、恐る恐る先端にキスをする。妙な感覚だ、とルゥキノアは思いながらも、なんとなく先端を舌で舐めあげた。

「よしよし。大変初心でよろしい。そのまま口に入れて舐めたり、咥えたまま前後したり裏筋や先端をぺろぺろとなめてみろ」
「えぇ……そんなアバウトな」
「いいから、いいから」

 困ったルゥキノアとは対照的に、伯爵は愉快そうに答える。ルゥキノアも仕方がないので、言われた通り口に肉棒を咥え、前後に招き始める。

(これで、あってる……? というか恥ずかしいのです。それに大きいせいで口がつらいし、変な味だし……匂いで変な気分になるのです)

 心の中は困惑と羞恥でいっぱいで、行為も初めてでおぼつかない。それでも、ルゥキノアは一生懸命口で招き、時折くちから外して裏筋を大胆に舐めあげた。
 すると、その光景に伯爵が興奮したのだろう。肉棒は徐々に硬さを増し、いつもの巨大でややグロテスクな姿へと変化する。

「あー、やばい。えろい、予想以上にルゥちゃんがスケベすぎる」
「んちゅ……しょんなこと、言われても……ん、ぷ……」
「そこ、そこいい。そこもっとなめてくれルゥちゃん」

 伯爵はルゥキノアの顔を掴み、彼が口内から肉棒を出さないように固定する。突然の出来事にルゥキノアは驚くが、彼の指示通り裏筋と先端を舌で丁寧に愛撫した。
 ちゃぷちゃぷと響く唾液と愛撫の音。おまけに、自分の意中の相手が頬を染め上げて恥ずかしそうに、けれど丁寧に自らのを咥えて愛撫している。
 伯爵はゴクリと息を飲み、意地の悪い笑みを浮かべながらルゥキノアの頭を優しく撫でた。それは、良くできたペットへの褒美。しかし、自分だけ心地よくなるのもどうかと思う。
 彼はルゥキノアの腕をつかんでいた触手を操り服の中へとも繰り込ませ、二本をルゥキノアの乳首に。残り二本は陰核へと移動させて弄り始めた。

「――っ! ……!」
「一緒に気持ち良くなろうぜ? ルゥキノア」

 何度も伯爵に抱かれ刺激に弱くなるように開発されたそれら。そして、それを刺激する職種の先はブラシ上になっており、毛先からローション状の媚薬が分泌されていた。触手はごしごしと、まるで丁寧に洗うかのように優しく動き始める。

「ふっ! お、――――っ」

 ルゥキノアは突如襲った快楽に圧し負けつつも、必死に口内の肉棒に奉仕する。
 そんな健気な様子がまた愛おしくて、伯爵は触手越しにルゥキノアの陰核部分を右足で軽く踏み、より強い刺激を与える。すると、ルゥキノアは身を諤々と震わせ、思わず顔を目をつむった。
 そのルゥキノアの表情がたまらなかったのか、それとも奉仕された快楽がついに限界に達したのだろう。
 ルゥキノアは三か所の快楽で達し、同時に伯爵もルゥキノアの口内に射精した。

「――――で、た。ルゥちゃん、口あーんして」

 ルゥキノアは息を荒げつつも、彼の指示通り口を開ける。そのまま伯爵はルゥキノアの小さな口からずるりと己のものを引き出し、ルゥキノアの口内に己の性癖がたっぷり注がれていることを確認した。
 湧いたのは支配欲と達成感。以前の寝込みを襲った時とは比べ物にならないほどに、彼は充実していた。

「はぁ……はぁ、とぉとぉ……。これぇ、どうひゅ……れば……」
「舐める。そして俺の味をしっかり覚えて、飲み込む。できるな?」

 ルゥキノアはこくこくと頷き、指示通りに味わう様に精液を舐め始める。正直、苦くて生臭く、あまり味わいたいものではない。それに、こうしている今でも触手と彼の足での刺激は止まらないのだ。
 自分でもう十分だろうというところまで舐めた後、ルゥキノアは精液を飲み込んだ。すると、乳首と陰核の刺激が二度目の限界を超え、ルゥキノアは潮吹きしながら達した。

「う、あ――――んっ!」
「よーしよし。よくできました」
「はぁ……はぁ……」

 ポンポンと頭を撫でられ、ルゥキノアはため息を零しながら一言告げる。

「今日はこれで……おしまいなのです」
「いやいや、俺様は暇だって言っただろ?」

 伯爵はルゥキノアを抱き上げ、意地悪く耳元でささやいた。

「今日いっぱい付き合ってもらうぞ」
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