異世界でも介護するんだってさ〜王宮の魔法と絆〜

ロキ

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異世界でも介護するんだってさ 

第八話「星降りの遺跡の試練」

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悠斗たちは、新たな仲間となったセリアと共に、「光の結晶」が眠る星降りの遺跡を目指して旅を続けていた。北方の厳しい寒さと荒野を越え、ついに彼らは目的地である星降りの遺跡が見える場所までたどり着いた。しかし、そこにはただ結晶を手に入れるだけでは済まない、過酷な試練が待ち受けていた。

星降りの遺跡との邂逅
「見て……あれが星降りの遺跡よ」
セリアが指差した先には、雪原の中にそびえ立つ巨大な建造物があった。それはまるで天へと伸びる塔のようで、表面には無数の星を模した紋様が刻まれていた。塔全体が淡い青白い光を放ち、その神秘的な姿に悠斗たちは思わず息を呑んだ。
「すごい……本当にこんな場所が存在するなんて」悠斗は感嘆の声を漏らした。
しかし、セリアは険しい表情で言葉を続ける。「この遺跡には古代族が張った強力な結界がある。光の結晶を守るために作られたものだけど、それは侵入者だけでなく、私たちにも試練を与える」
「試練……?」リリスが不安そうに尋ねる。
「そう。遺跡に入る者は、その心と力を試される。もしそれに耐えられなければ……命を落とす危険もあるわ」
その言葉に一同は緊張感を覚えた。しかし、ここまで来て引き返すわけにはいかない。悠斗は深呼吸し、仲間たちを見渡した。
「大丈夫だよ。僕たちならきっと乗り越えられる。これまでだってそうだったから」
その言葉にリリスやダリウスも頷き、一行は遺跡へと足を踏み入れる決意を固めた。

遺跡内部の異変
遺跡の入り口は巨大な石扉で封じられていた。セリアが古代語で呪文を唱えると、扉はゆっくりと音を立てながら開いていく。その先には広大な空間が広がっており、壁や天井には無数の星々が輝いているようだった。
「まるで夜空みたい……」リリスが呟く。
しかし、その美しさに見惚れる間もなく、一行は異変に気づいた。足元から黒い霧が立ち上り始め、それが次第に形を成していく。そして現れたのは、人型の影――遺跡そのものが生み出した守護者だった。
「来るぞ!」ダリウスが剣を抜き、一行は戦闘態勢に入った。

第一の試練:影との戦闘
影の守護者たちは無数に現れ、一行を囲むように迫ってきた。それぞれが闇属性の攻撃魔法や高速移動能力を持ち、一筋縄ではいかない相手だった。
ダリウスは剣技で前衛として敵を引きつけ、リリスは光属性魔法で援護する。一方で悠斗は負傷した仲間や自分自身を癒しながら戦場を駆け回った。
「浄化の光!」悠斗が新しいスキルを発動すると、その光によって影たちは弱体化し始めた。その隙を突いてダリウスとリリスが連携攻撃を仕掛け、次々と敵を倒していく。
しかし、影たちは倒しても次々と湧き出してくる。その状況に一同は焦り始めた。
「これじゃキリがない……!」リリスが叫ぶ。
その時、セリアが冷静な声で言った。「この試練は戦うだけでは突破できない。影たちは私たちの心の弱さや恐怖から生まれている。だからこそ、それに打ち勝つことが必要なの」
その言葉にハッとした悠斗は、自分自身の心と向き合う決意を固めた。そして仲間たちにも呼びかける。「みんな、自分自身を信じて! 僕たちなら絶対に乗り越えられる!」
その瞬間、一同から放たれる光によって影たちは消滅し、第一の試練は終わりを迎えた。

第二の試練:心への問いかけ
影との戦闘後、一行はさらに奥へ進んだ。しかし次の部屋では、不思議な現象が待ち受けていた。それぞれ別々の空間へ引き離され、自分自身への問いかけと向き合うことになったのだ。
悠斗は薄暗い空間で目覚めると、自分そっくりなもう一人の自分と対峙していた。その存在は冷たい目で悠斗を見下ろしながら言葉を発した。
「お前なんか、この世界では何もできないただのお荷物だ」
その言葉に悠斗は動揺した。確かに、自分には戦闘能力もなく、仲間たちほど強くもない。それでも自分なりに努力してきたつもりだった。しかし、その努力すら否定されるような気持ちになった。
「それでも……僕には支える力がある!」悠斗は震える声で叫んだ。「僕一人じゃ何もできないかもしれない。でも仲間と一緒ならどんな困難だって乗り越えられる!」
その瞬間、もう一人の自分は消え去り、薄暗かった空間にも光が差し込んだ。そして気づけば再び仲間たちと合流していた。

結晶への到達
全員がそれぞれ試練を乗り越え、一行はついに遺跡最深部へ到達した。そこには純白の輝きを放つ「光の結晶」が浮かんでいた。その美しさと神聖さに、一同は思わず息を呑む。
しかし、その瞬間――
「よくここまで来ましたね」
低く冷たい声と共に現れたのは影の教団幹部と思われる男だった。その背後には瘴気によって強化された魔物たちが控えている。
「結晶はこちらでいただく。それがお前たちには相応しい運命だ」
一行は再び武器や魔法陣を構え、最後の戦いへ挑む準備を整えた――。
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