私だってあなたを愛するつもりはありません、宰相殿

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56. バル×ビビ⑤

 チャイナドレスを着ていたはずなのに、ひらひらのネグリジェで目が覚めたビビアンは、完全に見覚えのある天井に『うぇぇ』となる。
 頭が痛い、動きたくない。だけど漏れそう。
 溜息をついてのそのそと本物のお姫様ベッドから這い出るとバスルームに向かい、用を足してベッドサイドに置いてある水を飲んだ。
 ゲロでも吐きまくってやろうかしら……。

 カーテンから漏れる陽射しが既に日が高いことを教えてくれる。
 時計を見ると十一時。

 蟀谷を揉みつつ寝室を出て、隣のリビングルームに向かうとヴァルマが待っていた。
「お帰りなさいませ、ビビアン様」
「帰ってきたくて帰ってきたんじゃないわよ」
「承知でございます。ご気分は?」
「最も悪い……おぇ」
「そうでしょうね。まぁ酒臭くて。ヴァルマは今朝ビビ様の寝室に入っただけで吐きそうになりました。全然起きて下さらないし」
「かわいそぉ。入らなかったら良かったのに」
 あっけらかんと言ってから再びソファに横たわった元王女を呆れるように見て、かつての専属侍女は相変わらずの様子に笑う。あんなに子どもだった王女はもう二十五だ。酷い二日酔いをするような、すっかり大人(?)の女になった。ヴァルマは五十を過ぎた壮年の女性で、ビビアンが十二で引き取られた時からの専属である。王族を離籍した後も、たびたびこの元王女が戻った折には必ず世話をする信の篤い人間であった。
「よくあんなになるまで飲まれるんですか? 意識がなかったとファスから伺いましたが」
「楽し過ぎて強いショットをガンガンいったら悪酔いしちゃって。へへへ。あ~、あのお酒なんだったのかしら。すごく美味しかったんだけど、名前がわからなかった。今度マヌエラ夫人に聞いといてもらお」
「陛下がご立腹でしたよ」
「へ~」
 全くどうでも良い話だと、目を瞑ったまま適当に返事をする。
「リンド広しといっても、王の怒りをこれほど恐れない人間はビビアン様だけでしょうね」
「あはは」
「夜はお食事を、とのことです」
「はぁ」
 がっくりした様子で、ビビアンは目をきつく瞑る。


 ****

「姉様!!」
「姉様!!!」
「姉様ぁ~!!!!」
 揃って金髪の『ザ・王子様』たちがわらわらと寄ってくる。有り得ないセンスのドレスを着せられて不機嫌マックスのビビアンはシッシッと手で追い払った。
 その代わり、王妃に向かって膝を折り、最上級に礼儀を込めて挨拶をする。
「ご無沙汰しております」
「久しぶりですね、ビビ。また綺麗になって……と言いたいですが。ふふふ、まだ少し顔がむくんでいるわね? 二日酔いはどうですか?」
「むくんでいます? やだやだ。頭痛は夕方頃にはようやく治りました。この度は王妃様にもご迷惑をおかけしました」
「あら。何も迷惑なんてないわ。陛下も喜んでいらしたし。暫く軟禁するつもりだろうから、あなたには災難でしょうけどね」
「最悪という以外に言葉が見つかりません。あ~あ。でもアニラの三日公演までには帰らないと。親友と約束しているんです」
「まぁ…ビビ、あなた親友が?」
 王妃が目を開き、続けて嬉しそうな顔をした。ビビアンもはにかんで頷く。
「はい、親友ができました!」
 二人はにっこりして思わずハグをした。王妃がゆっくりビビアンの背を撫でた。

「姉様、僕らを無視しないで下さい」
「そうですよ、母上ばかり! 兄上とは会ったみたいですが私もフレッドも本当に久しぶりですよ!?」
「あ~……じゃあ、元気だった?」
 勿論です勿論です姉様は変わらずにお元気そうで綺麗ですね!!今回は何週間くらい滞在してくださるのですかもしよければ明後日の夜会に姉様もでてみませんか。
 喧しい弟たちが騒ぐのを遠目に見て、ビビアンは一番端っこに座ろうとする。
「あらビビ、ダメよ、そこは。ほらいらっしゃい。こちらに」
 王妃の向かい。つまりその内公務を終えて来る父の目の前を促されるが拒否しかない。
「ほほほ、わたくしは最早末端でもありませんゆえ」
「そのように意地悪言うのではありません。ほらほら、たまには可愛がらせて差し上げねば」
 それが嫌なのだが。
「機嫌が悪くなると面倒なのです。知っているでしょう? さぁ、頑張って」
 頑なに動かないビビアンを引きずり、王妃が向かいへと座らせた。

 満面の笑みで現れたウィリアムがダイニングホールに入って来ると、王妃と弟たちが立ち上がる。ビビアンは白けた顔で座ったまま動かない。
「ビビ!! ビビアン!!」
 真っすぐにやってきて両腕を広げてくる。
「ようやく帰って来てくれたね!」
「全然。帰るなんて一言もいってないのに、目が覚めたらココだった。やばくない? これって拉致って言うのよ。私、今カーターさん家に住んでるの。もう帰って良い?」
「良い訳ないだろう。お前はしばらく謹慎だ。ほら、早くキスを!!」
「おえ」
 普通に考えて、二十五になる女子が父親の頬に毎度ねだられてキスをする習慣はおかしい。王妃も軽蔑した顔でウィリアムを見ているのだが、全く意に介さず永遠に腕を広げてうっとおしく立っている。こいつはとにかく鬱陶しい奴なのだ。
「ビビ、ほら」
 よろよろと立ち上がり、振りのような光速キスをして座りなおす。
「ねぇ、チャイナドレスが無いんだけど」
「ああ、捨てたよ」
「す!?」
「アレはいけない。酷いドレスだ。どうして今日みたいな可愛いドレスを着ないんだ」
「着ている自分がキモいからよ!!」
 王妃が小さく頷いている。
 だが父は大げさに顔を覆い、『あんな裸みたいな服!』と叫び、弟たちも苦渋に満ちた顔をした。
「ビビ、これから夜会に出る時はフレッドと出なさい。フレッドはまだ婚約者が決まっていないから丁度いい」
「絶対いやよ。なんで私が七つも離れた弟のエスコートを受けなきゃなんないの。バルカスのエスコートしか受けるつもりはありません」
 バルカスの名を聞いて、ウィリアムの口元が引きつる。
「あいつは変態だ。ロリコン男となんか絶対に一緒になんかさせんぞ」
「何度も言ってるけど、ロリコンじゃない。私は今もう二十五よ。バルカスが十五の時からくれていた指輪の理由は説明しているでしょう!?」

 キャンティーズでキスした後、バルカスは可愛い店で指輪を買ってくれた。見え見えの嘘だらけで幼かった自分を口説いてくれた。
 十五の自分が彼に落ちるなんてあっという間だったし、バルカスには簡単だったろう。
 ビビアンがバルカスに恋をすることは、ビビアンが死なないことと同義だった。
 始めはさすがに玩具みたいな指輪だったけれど、いつしか歳が積み重なるにつれ、誕生日に届けられる指輪はどんどん本気さを増していった。

 ビビアンの宝石箱にはもう十一個になった指輪たちが並んでいる。毎年増えるたびに宝石箱の前で泣いた。
「意地悪を言うのもいい加減になさったら」
 王妃が注意するが、ウィリアムは頑なだった。
「意地悪ではない。娘を任せられる程の男じゃない。大体、胡散臭いくらいに顔が良過ぎる! 苦労するぞ、あんな男」
「卑怯よ、顔のことを持ち出すなんて! バルカスが世界で一番かっこいいのは生まれつきなんだから仕方ないじゃない!」
 弟たちがムッとして空気が変わった。
「確かにウェーバーの人気はすごいな」
「令嬢たちが色めき立つ。いちいち黄色い声がうるさい」
「うるさくてかなわん。鼻の下が伸びてるぞ」
「伸びてない! かっこいいイコール浮気者じゃないわ。十年以上ずーーーっと見守ってくれている。もう死にたいなんて思わなくなったって言っても、ずっと」
 ずっと、自分が彼を縛り付けている。
「過去の虚言癖なんて若気の至りだよ、ビビ。誰にでもある。せめて侯爵家以上の家に嫁いでくれ。マルーンはどうだ? パッとはせんが、歳もちょうど良い。それか、何度も言っているが他国の王子か」
 娘にとっての父は城中で全く話を聞かないナンバーワン。
 父には頼みもしないのに『知らなかったとはいえ娘を放置してしまった責任』があり『娘がより最高の幸せと今後の裕福を保証できる環境与える責任』が付与されている。
「いい加減にしてよ。何度言ったらわかるの? もう離籍したの。王女じゃない。私が王子に嫁いで、逆に国の体面が悪いって何でわからないの!? バルカスが宰相になれば良いんでしょう!? だからバルカスだって毎日頑張ってくれているんじゃない!! いい加減分かれよバカ親父!!」
「ビビアン!! お前なんて口を!!」
 王妃があんぐりと口を開けて親子喧嘩を聴いている。
「でも姉様、バルカスが宰相になれたとして、随分後の話ですよ。カーターは強い」
 冷静にエリックが諫める。
「わかってるわよ。だから……だからムカついてるんじゃない!」
「そうよねぇ。せっかくお嫁さんになれてもバルカス様が五十や六十だったなんてタイミングじゃ、子どもも望めないわね。可哀想なビビ」
「キャス」
 王妃がウィリアムに優しく笑いかける。
「でも仕方ないわね? 可愛いビビの子…孫を見れなかったとしても。あなた、ご自分の責任なんだから」
「孫……」
「ねぇ、何か他に条件を増やしましょうよ? 以前から思っていたの。冷静に考えて宰相になれだなんてジェフ様にも失礼だわ。これから選挙の仕組みだって変わると言うのに」
 まるで遊びを提案するかのように軽やかに王妃が言う。
「宰相になる条件だけじゃあまりにバルカス様の分が悪い。若い二人が悲観して駆け落ちでもしたらどうなさるの? 戦時になればどさくさでいくらでも攫えるわ。私なら融通の利かないいつまでも子離れ出来ない父親なんて絶縁して逃げます」
 ウィリアムが顔を青くして可愛い筈の妻を凝視する。
「例えばビビの命が狙われたのを助けたなら嫁ぐことを許すみたいな、そういう条件を増やしてあげましょうよ」
「はっ。なんだそれは……命を救ったならそりゃ許そう。感謝状を授けて騎士の称号を与えたって良い。だが自殺を止めたなんて茶番はだめだ」
「後はどうかしら。事故に遭いそうな所を助けて下さったり、ビビが誰かに誘拐されて、バルカス様が身体を張って乗り込んでくださったりとかはどう?」
「そんなラジオドラマみたいなシチュエーション生まれる訳ないでしょう。馬鹿馬鹿しい」
 ビビアン本人ですら脱力して呆れる。
「そんなことはないぞ、事実は小説より奇なり。意外にあるもんだ、ビビ。ははは。そうだな、じゃあ私からの誕生日プレゼントだ。まだ今年のプレゼントはねだられた靴下しかあげていないからな。今みたいな条件を五十項ばかり列記して、念書を作ってやろう。他国からのテロリストからお前を救うなんてのも良いな。ただし三年以内にどれも履行されなかったら、一度他国の王子と見合いをさせる。それでどうだ」
「…どうでも良いわ……勝手にすればいい」

 そうして本当に、父はバルカス・ウェーバーに関する文書を作成した。
 それは御璽まで押した本物の文書になった。


 ****

 王城の円卓に腰かけた面々は、リンド宰相が口を開くのを見守った。円卓には中央に国王陛下夫妻と三王子、元王女、バルカス・ウェーバー、顔色の悪いウェーバー子爵、オズワルド、マルーンの前公爵に現当主、立会人としてザレス公爵が並ぶ。
「では、念書の履行を確認する会を始めさせていただきます」
 ウィリアムが顔を覆う。

「え~…この念書の写しをお手元にお配りしております。まずはご一読下さい」
 ウィリアム以外の全員が、写しを読む。

「読まれましたね? よろしいですか、父上」
「私はもう君の父ではない」
「これは失礼しました、ブランドン様。では兄上はよろしいですか?」
「ジェフ……僕も兄では」
「これは続けて失礼を。では皆様お読みいただいたようなので早速。まず第一条と第二条をご覧ください。よろしければ文書作成時に立ち会われたというキャスリーン王妃に当時の状況説明と共に音読いただければと思いますが」
「もちろんですよ、宰相殿」

 第一条:バルカス・ウェーバーが公の場で他者からの脅威に晒されたビビアン・リンド・アレンの危険を救った場合、婚姻を許可するものとする

「これは、ビビアンの命を救った場合や大きな過失による事故から身を挺して庇った場合などを指しています。わたくしが一番最初に提案した内容ですね。はっきりと陛下が『感謝状を授けて騎士の称号を与えたって良い』と仰っていたのも記憶しております」
「なんと騎士の称号を? それは素晴らしいな、バルカス。子爵位を継承する前に君は個人に授けられる最高の栄誉を手に入れるという訳か!」
「身に余る光栄です」
「うぁ~」
「続いて第二条をお願いします」

 第二条:バルカス・ウェーバーがビビアン・リンド・アレン拉致、誘拐、監禁等を受けた際、その身を賭して救助に向かい、これを救った場合、婚姻を許可するものとする

「これもわたくしが口にした例を陛下がご自身で記載されたものですね。このようなシチュエーションは『意外にある』など口にされていました。さすがウィリアム、先見の明がおありなのだわ」
「素晴らしいですね」
「………」
 ジェフが爽やかな笑みで何度も頷く一同を見渡す。
「では、履行の目撃証言を頂き、出席者全員からサインの上、バルカス本人から嘆願、陛下からお言葉を頂戴する流れで進行させていただきましょう。まずマルーン公爵バティーク様よりの証言です」

 垂れ目の男が立ち上がる。
「ご紹介に預かりました、バティーク・マルーンです。私は旧ダフネ大使館で確かに監禁されていたビビアン・リンド・アレン元王女殿下を知っています。私の大事な可愛い妹も一緒に監禁されており、妹の救出を目的に乗り込んだ結果目撃した形です。妹もそうですが、ビビアン様も監禁後に銃を突きつけられ、その命の危機をバルカス・ウェーバー君が鮮やかな銃さばきで救った。そう記憶しております」
「ありがとうございます。素晴らしい証言でした。ちなみに、大事な妹君の命を救ったのはどなただったか証言を頂いても?」
「この場とは深い関わりのない証言なので、却下する」
 いかつい体躯のザレス公爵が老人とは思えぬ声量で却下する。宰相は両手を広げて肩を竦めた。

「今のマルーン公爵の証言ですが、これは第二条の後で第一条が更に履行されたと見做すことができます。では次に第二の証言者としてオズワルド君」
 眼鏡が立ち上がった。
「はい、確かにそこのバルカス・ウェーバー氏が撃った弾が大使館の警備兵の眉間を貫き、直後に私が元王女を装甲車の衝撃から身を挺して守りました。改めて念書から読み取れば、私も婚姻する資格があるのではな」
「ありがとうございました、オズワルド君。着弾の証言ということになります。よろしいでしょうか、ザレス公爵」
「了解した。三角関係か?」
 ウィリアムは一瞬顔を輝かせたが、眼鏡以外が全員首を振ったのでザレスも再び了解した。
 そうしてその後、ジェフ本人も証言をし、さらにブランドン前公爵の全く同じ証言が続く。ウィリアムは円卓に突っ伏して最後は動かなくなった。

 証言の後にザレスが見届けのサインをすると、王妃を筆頭に次々に出席者が並んでペンを走らせた。最後に署名したブランドンがペンを置くと、皆がバルカスを見た。

 長かった栗色の髪をバッサリと切った男が立ち上がる。中央に座る男の前に進み出た。
 ウィリアムは腕組みをして、念書を睨みつけている。
「陛下」
「わかっている。別にお前が憎いんじゃない……全部悪いのは私だ」
 一国の王が、切ない瞳で娘を見遣る。
「若気の至りだと一蹴されるビビアンの気持ちを考えると、自分を呪い殺したくなる。私はどうやってもスタートから最悪な父親でしかない」
 赤毛が俯く。
「だが、私には必要な時間だった。あの自由な時間があったからこそ、今の私とビビがいる。今のリンドがある。リンドが好きか? バルカス」
「はい」
「私には国民皆に生まれて来て良かったと、そう思ってもらえる国にしなければいけない責任がある。……だが自分の娘に真逆の思いを背負わせてざまぁない。ビビは私の人生の重石だ。絶対にどかすことの出来ない、大事な」
 ビビアンが泣いている。
「陛下」
「なんだ」
「ビビアンが十五の歳に、私は王女を殺しました」
 ウィリアムが念書から顔を上げてバルカスを見る。
「私を殺して、と言うので」
「………そうか…」
「それから王女は生まれ変わって、私のビビアンになりました。最初は……お互いに嘘ばかりでしたが」
 バルカスが振り返り、ビビアンと見つめ合う。
「十年かけて、嘘はもう一つもありません」

 適当に選んだ指輪に願掛けをした嘘の恋は、離宮の散歩やお茶の時間、花を植えたり勉強したりと日常的な時間を渡り、王家の離籍や街中での一人暮らし、ビビアンが一人で立って歩いていくまでの長い時間をかけて深い愛になった。
 ビビアンの側にはいつもバルカスがいて、バルカスの人生の真ん中にもビビアンがいる。
「陛下の重石を、私に持たせてもらえませんか。雲の上のお姫様なので、重たい位が丁度いい」
「………」
「一生をかけて、この命にかえて守る覚悟はとっくの前から出来ています。絶対に彼女を幸せにします。陛下、ビビアン様を私に下さい」

 皆がしんとして、バルカスの一世一代の嘆願を聞いた。王妃が穏やかな顔でウィリアムを見守っている。
「ビビ」
 ウィリアムが小さな声で娘を呼んだ。
「最後にキスをしてくれるか? バルカスのものになる前に」
「パパ」
 立ち上がった父が近づいた娘を抱き寄せ、ビビアンは我儘な父の願いを最後に叶えてやる。
「バルカス」
「はい」
「結婚を許す。今日まで至らぬ私に代わり、娘を守ってくれたことに感謝する。ほとんどお前に八つ当たりしていた。後ろめたさのない真っすぐさで、大手を振ってビビを大事にするお前が羨ましかった。器の小さい父親を許してくれ。命を救ってくれたことも、もちろん最大限の感謝を……お前に騎士の称号を授ける」


 ………お
「おめでとう!!」
「おめでとうふたりとも!!!」

 わ~~~~~~~~~!!!!

 固唾をのんで行方を見守っていた全員が一斉に拍手で祝福をする。
 ビビアンは泣きながらバルカスに抱きついた。
「バル……バルゥ……!!」
「はぁ……長かった……」
 強く強く抱き合って、二人はお互いのぬくもりをやっと実感する。バルカスは可愛い娘の耳元で二人だけに聞こえる声でプロポーズする。
「ビビアン、結婚してくれる?」
「する、絶対、する!!」

 ひとりぼっちだった元王女は素敵な騎士を手に入れた。
 十年に渡る二人の旅はようやく終わりを迎える。
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