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グレイプ編
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大尉に据えられた船長は十五名で、そのほとんどがバートレッドの時代から傘下に入った者たちである。アビゲイルを除く全員が男で、その体躯もさることながら肝の据わり方も規格外の人間ばかり。
「……以上が開戦前にしておく準備だ。装甲化についてはほとんど準備は済んでるが、三港に分けての順番になるから時間がかかる。先にサソリとライたちには話をして、あっちの船団は帰国した。装甲の一番手になる。後発は引っ越しが終わったら行け。各整備士は本国の整備に要領を聞いて、一緒に手を動かして早く仕上げろ」
全員が、ラルフから配布された注意事項の紙を手に注意深く話を聞いた。
「最後のは結局なんなんだ?」
「あー……それはまだモノになるのかもわからない手段だな。金払ってもらう代わりに極秘事項にしろと……だから言えん。けどま、一番は俺も見たことがないからよくわからんてこった。実現したとしても、実際ドンパチやってる最中にテストくらいのスケジュールになるはずだ。それくらいでお前たちには内容を連絡する」
「新しい武器か?」
「まぁ、そうだな。そういう類だ」
「どこの船に載せる? 本船か?」
「いや、どこにも載せねぇ。だから戦力に偏りが出る心配もねぇ」
「ふぅ~ん」
「なんだぁ?」
「もったいぶりやがって」
白けた視線たちがネイトに向く。
「話してアテにして失敗しても困んだろーが」
小さな輪になった大きな面々は煙草や葉巻を銜えながら顎を撫でたり何か想像したりしている。
「それより最大の懸念点は大所帯で戦うのが初めてな点だ。好き勝手やってた今までは戦力違いの商船が殆どだが、これからは軍船が相手になる。例えば一隻が気ままに陣形から崩れると、空いた穴から総崩れになる可能性もある。まぁ陸地とは速さも距離も違うから決まった話じゃないけどな」
「その為の装甲化と無線てやつだろ。ウチも積んだぜ」
「けど無線って本当に連絡取れんのか」
「アホが多いし、訓練も必要かねぇ」
もくろみ通り引き寄せた展開にネイトの体温がじわりと上がるが、表面上に変化はない。
海賊上がりが軍隊になるには、一にも二にも訓練が必要なのだが、暴君集団に訓練など押し付けようものなら内側から潰し合いになりかねない。自発的に参加してもらう流れを作るしかなかった。
「訓練……出来るか?」
十五人は渋面を作るが、さすがに装甲化しようとも軍艦相手となれば『何となく』は背中が寒い。
ネイトは全員の顔をぐるりと見渡し、タメを作った。
「各船に対して、準備金を名目にして臨時手当を配ろうと思う」
「金か」
最古参で年嵩のグリッジが唸った。
「もう大臣と交渉はしてる。準備はできると返答があった」
「お抱えになったからな。そうか、給料とは別で出るか」
「給料も面食らったのに、次は手当か。そんなもん貰うの、初めてだな」
改めて猛者たちは複雑な気持ちになる。全員が奪って初めて得られる物で生きてきた。飼いならされる状況に胸糞も収まりも悪い。
「気持ちはわかるが、仕事だ。まずお前らから割り切ってくれ。
金を余計に受け取れば、下の奴らにその分働く意識も出てくる。実践じゃなくても訓練自体が仕事なんだと理解してもらう。それなら尻を叩きやすいだろ?」
「俺は反対ですね」
柔らかい声がして、グリッジに続きネイトがゆっくりと顔を上げる。十五人中、最も遅く傘下に入ったチャールズ。チャールズ船に所属する兵の多さは上から六番目。年の頃は四十半ば、小島の最西部とアトラス海域で力を付けたやり手である。
「チャールズ、何に反対だ」
俺にか? と揶揄う視線を向けると、綺麗にカットした口髭を撫でて微笑してきた。チャールズは高貴な名を名乗るだけあっていつも身綺麗で華やかさがあり、まどろっこしいくらい丁寧に話す鼻につく男だった。
「そんな微々たる小遣いに釣られて面倒な訓練するなんて御免ですよ、誰だって」
「だが、その面倒を嫌って犬死したくないだろ。微々たるプライドこそ捨てろ。ゴロツキから足抜けできん」
ネイトが諭すが、睥睨したチャールズは一笑に付す。
「弱い奴は訓練したって沈みますよ、どうせね。だけど見えるようじゃないですか、提督殿が独裁者になる未来が」
「あ? 独裁者? お前、俺らを小馬鹿にしてんのか。俺はネイトの犬になるつもりはねぇ」
グリッジの空気が不穏になる。
「そういうつもりはありませんよ。
でもね、訓練なんかしたら上下関係が明確になる。提督の命令が無線で飛んで来て、返事ひとつでぶち込んだり逃げたり? 下っ端から見ても大尉ですら駒ですよ。冗談はやめてください。それぞれが強いんだ、頼らずとも勝てる。やり方なんて一つじゃない方が勝てる可能性は広がる。俺はね、戸籍は売っても提督みたいに魂は売りません」
「チャールズ、いい加減にしろてめー!」
古参の一人が苛立って制した。
海賊が全団で身売りをしたことに対するやるせなさや落胆を覚えた者は一人や二人ではない。だが、古参たちは何度も何度もネイトと話し合いを重ねて理解し、賛同して決めたことだった。いい加減に密約ありきの立場の悪さや、貧しさに出口のない小島の家族を何とかしてやりたかった。
「誰も戸籍も魂も売ってねぇよ。訓練ごときでガタガタ言うな!! 頭を馬鹿にすんな。誰でもなかった俺たちが、ようやく日の目を見られたんだ! 頭は好きで魂を売ったんじゃねぇ!!」
「は? それが間違いですよね? 俺たちは俺たちだけで生きて来られたんだ、それな」
「もういい」
ネイトが遮った。
「チャールズ、お前の船は訓練には来るな。後の船は頼む。金は稟議が通り次第、トリーチェの銀行本店に預けておくから、それぞれグループ単位で取りに行ってくれ。訓練は二か月後、小島の白島に集合で頼む。それまでに装甲化は各グループの半数を目標、引っ越しは全員が終えてくれ。では解散!」
皆が立ち上がる。グリッジとアビゲイルがネイトの近くにやって来た。
「訓練内容、考えてるのか。新しい長距離砲を使ってみたいんだが」
「マレーナでするのよね? ウチも操舵手がビビってるとこあって」
「助かる。操舵手の訓練ならスコットを呼ぶか」
「ネイト!!」
突然チャールズの声が響いた。グリッジが睨みながら振り向く。アビゲイルも舌打ちをした。ネイトも一度目を閉じる。またいつものアレだ。時間が惜しいというのに、懲りない奴が。
「……なんだよ」
奥歯を噛みながら一応聞いてやる。内容などわかっているが。
「チャレンジを要求する!」
◆
ウニと屈強な水兵たちに囲まれて連れて行かれた陽気な酒場は既に海軍服の者たちで賑わっていた。
「リリアンヌ様、何を飲まれます?」
「ビール大ジョッキ」
「わぁ。かっこいいですぅ」
リリアンヌはウニの乾杯の音頭も無視してグビグビやり始めた。
「あ、いたいた! やだぁ、マムったらめっちゃ良い飲みっぷりじゃん。一緒に飲みに来たよぉ」
「本当だ~! こっちもテーブルくっ付けちゃう?」
どこからともなく湧いてきた星の女たちが集い、いつの間にかマムのテーブルは数珠繋ぎの大テーブルになって人が溢れかえる。
「ウニちゃん、ポテトこっちにも取ってきてよ」
「あー、私シーザーサラダと、ピザ食べる」
「かしこまりですっ」
「それでマムはどーしてそんなガブガブ飲んでんの?」
「マムじゃないって何回言ったらわかるの、ポポロ」
「やだなに、もう酔っぱらってる~」
「まだ酔ってないわ。そのストライプのパンツ、良いわね」
「わかる? 新商品なんだ。マムにも作ってあげる。あ、そだ! 今日朝に早速ボーナ先生来たよ。お喋りして、今度ノートとか持ってきてくれるって」
「まぁ本当に? みんなどうだった?」
「それがさ、子どもらが絵本読んでもらって、そしたらめっちゃ喜んじゃって」
「ふふ、やっぱり」
きゃはははは……
盛り上がっている店はいつの間にかバートレット海軍の貸し切りになっていた。得意の海賊ソングを合唱したり、下品な一芸を披露したりとあちこちと人々が入り乱れての宴会になる。
「マム、どこ行くの? おかわり?」
「お手洗いに行ってくるわ」
「わかった~」
フラリと立ち上がり、店の奥にあるお手洗いに足を向ける。
最初は逃げるつもりだったが、こうも海賊だらけでは店から出ることも不可能だった。トイレの奥にある窓も小さくて、片方を開けても通れない。都合よくリリアンヌ一人だったが、諦めるしかない。
ところが、用を足して手を洗っていると突然、
どーーーーん
という轟音がして、建物が激しく揺れた。
「!!」
驚いて壁に手をつくと、ドアの向こうで悲鳴と怒声が聞こえてくる。
何があった!?
「……はどこだ!?」
「トイレよ!!」
バタバタと人の足音が近づいて来る。
「女性用だし、私が入るわ! あんたは逃げ道を確保しておいて!」
「えっ、でも」
「早くっ」 「あっ、あっ、か、かしこまりですっ」
リリアンヌは聞こえてくる声に目を丸くする。
ウニの声と……これは……。
ガチャリと扉が開き、飛び込んでくるのは、懐かしい瞳。
「っ!! リリー!!」
「マリアンヌ!?」
「逃げますよ!!」
小さな手が力強く腕を引き、トイレの奥へと引っ張る。
「さぁ、帰りましょう、トリーチェへ!」
「……以上が開戦前にしておく準備だ。装甲化についてはほとんど準備は済んでるが、三港に分けての順番になるから時間がかかる。先にサソリとライたちには話をして、あっちの船団は帰国した。装甲の一番手になる。後発は引っ越しが終わったら行け。各整備士は本国の整備に要領を聞いて、一緒に手を動かして早く仕上げろ」
全員が、ラルフから配布された注意事項の紙を手に注意深く話を聞いた。
「最後のは結局なんなんだ?」
「あー……それはまだモノになるのかもわからない手段だな。金払ってもらう代わりに極秘事項にしろと……だから言えん。けどま、一番は俺も見たことがないからよくわからんてこった。実現したとしても、実際ドンパチやってる最中にテストくらいのスケジュールになるはずだ。それくらいでお前たちには内容を連絡する」
「新しい武器か?」
「まぁ、そうだな。そういう類だ」
「どこの船に載せる? 本船か?」
「いや、どこにも載せねぇ。だから戦力に偏りが出る心配もねぇ」
「ふぅ~ん」
「なんだぁ?」
「もったいぶりやがって」
白けた視線たちがネイトに向く。
「話してアテにして失敗しても困んだろーが」
小さな輪になった大きな面々は煙草や葉巻を銜えながら顎を撫でたり何か想像したりしている。
「それより最大の懸念点は大所帯で戦うのが初めてな点だ。好き勝手やってた今までは戦力違いの商船が殆どだが、これからは軍船が相手になる。例えば一隻が気ままに陣形から崩れると、空いた穴から総崩れになる可能性もある。まぁ陸地とは速さも距離も違うから決まった話じゃないけどな」
「その為の装甲化と無線てやつだろ。ウチも積んだぜ」
「けど無線って本当に連絡取れんのか」
「アホが多いし、訓練も必要かねぇ」
もくろみ通り引き寄せた展開にネイトの体温がじわりと上がるが、表面上に変化はない。
海賊上がりが軍隊になるには、一にも二にも訓練が必要なのだが、暴君集団に訓練など押し付けようものなら内側から潰し合いになりかねない。自発的に参加してもらう流れを作るしかなかった。
「訓練……出来るか?」
十五人は渋面を作るが、さすがに装甲化しようとも軍艦相手となれば『何となく』は背中が寒い。
ネイトは全員の顔をぐるりと見渡し、タメを作った。
「各船に対して、準備金を名目にして臨時手当を配ろうと思う」
「金か」
最古参で年嵩のグリッジが唸った。
「もう大臣と交渉はしてる。準備はできると返答があった」
「お抱えになったからな。そうか、給料とは別で出るか」
「給料も面食らったのに、次は手当か。そんなもん貰うの、初めてだな」
改めて猛者たちは複雑な気持ちになる。全員が奪って初めて得られる物で生きてきた。飼いならされる状況に胸糞も収まりも悪い。
「気持ちはわかるが、仕事だ。まずお前らから割り切ってくれ。
金を余計に受け取れば、下の奴らにその分働く意識も出てくる。実践じゃなくても訓練自体が仕事なんだと理解してもらう。それなら尻を叩きやすいだろ?」
「俺は反対ですね」
柔らかい声がして、グリッジに続きネイトがゆっくりと顔を上げる。十五人中、最も遅く傘下に入ったチャールズ。チャールズ船に所属する兵の多さは上から六番目。年の頃は四十半ば、小島の最西部とアトラス海域で力を付けたやり手である。
「チャールズ、何に反対だ」
俺にか? と揶揄う視線を向けると、綺麗にカットした口髭を撫でて微笑してきた。チャールズは高貴な名を名乗るだけあっていつも身綺麗で華やかさがあり、まどろっこしいくらい丁寧に話す鼻につく男だった。
「そんな微々たる小遣いに釣られて面倒な訓練するなんて御免ですよ、誰だって」
「だが、その面倒を嫌って犬死したくないだろ。微々たるプライドこそ捨てろ。ゴロツキから足抜けできん」
ネイトが諭すが、睥睨したチャールズは一笑に付す。
「弱い奴は訓練したって沈みますよ、どうせね。だけど見えるようじゃないですか、提督殿が独裁者になる未来が」
「あ? 独裁者? お前、俺らを小馬鹿にしてんのか。俺はネイトの犬になるつもりはねぇ」
グリッジの空気が不穏になる。
「そういうつもりはありませんよ。
でもね、訓練なんかしたら上下関係が明確になる。提督の命令が無線で飛んで来て、返事ひとつでぶち込んだり逃げたり? 下っ端から見ても大尉ですら駒ですよ。冗談はやめてください。それぞれが強いんだ、頼らずとも勝てる。やり方なんて一つじゃない方が勝てる可能性は広がる。俺はね、戸籍は売っても提督みたいに魂は売りません」
「チャールズ、いい加減にしろてめー!」
古参の一人が苛立って制した。
海賊が全団で身売りをしたことに対するやるせなさや落胆を覚えた者は一人や二人ではない。だが、古参たちは何度も何度もネイトと話し合いを重ねて理解し、賛同して決めたことだった。いい加減に密約ありきの立場の悪さや、貧しさに出口のない小島の家族を何とかしてやりたかった。
「誰も戸籍も魂も売ってねぇよ。訓練ごときでガタガタ言うな!! 頭を馬鹿にすんな。誰でもなかった俺たちが、ようやく日の目を見られたんだ! 頭は好きで魂を売ったんじゃねぇ!!」
「は? それが間違いですよね? 俺たちは俺たちだけで生きて来られたんだ、それな」
「もういい」
ネイトが遮った。
「チャールズ、お前の船は訓練には来るな。後の船は頼む。金は稟議が通り次第、トリーチェの銀行本店に預けておくから、それぞれグループ単位で取りに行ってくれ。訓練は二か月後、小島の白島に集合で頼む。それまでに装甲化は各グループの半数を目標、引っ越しは全員が終えてくれ。では解散!」
皆が立ち上がる。グリッジとアビゲイルがネイトの近くにやって来た。
「訓練内容、考えてるのか。新しい長距離砲を使ってみたいんだが」
「マレーナでするのよね? ウチも操舵手がビビってるとこあって」
「助かる。操舵手の訓練ならスコットを呼ぶか」
「ネイト!!」
突然チャールズの声が響いた。グリッジが睨みながら振り向く。アビゲイルも舌打ちをした。ネイトも一度目を閉じる。またいつものアレだ。時間が惜しいというのに、懲りない奴が。
「……なんだよ」
奥歯を噛みながら一応聞いてやる。内容などわかっているが。
「チャレンジを要求する!」
◆
ウニと屈強な水兵たちに囲まれて連れて行かれた陽気な酒場は既に海軍服の者たちで賑わっていた。
「リリアンヌ様、何を飲まれます?」
「ビール大ジョッキ」
「わぁ。かっこいいですぅ」
リリアンヌはウニの乾杯の音頭も無視してグビグビやり始めた。
「あ、いたいた! やだぁ、マムったらめっちゃ良い飲みっぷりじゃん。一緒に飲みに来たよぉ」
「本当だ~! こっちもテーブルくっ付けちゃう?」
どこからともなく湧いてきた星の女たちが集い、いつの間にかマムのテーブルは数珠繋ぎの大テーブルになって人が溢れかえる。
「ウニちゃん、ポテトこっちにも取ってきてよ」
「あー、私シーザーサラダと、ピザ食べる」
「かしこまりですっ」
「それでマムはどーしてそんなガブガブ飲んでんの?」
「マムじゃないって何回言ったらわかるの、ポポロ」
「やだなに、もう酔っぱらってる~」
「まだ酔ってないわ。そのストライプのパンツ、良いわね」
「わかる? 新商品なんだ。マムにも作ってあげる。あ、そだ! 今日朝に早速ボーナ先生来たよ。お喋りして、今度ノートとか持ってきてくれるって」
「まぁ本当に? みんなどうだった?」
「それがさ、子どもらが絵本読んでもらって、そしたらめっちゃ喜んじゃって」
「ふふ、やっぱり」
きゃはははは……
盛り上がっている店はいつの間にかバートレット海軍の貸し切りになっていた。得意の海賊ソングを合唱したり、下品な一芸を披露したりとあちこちと人々が入り乱れての宴会になる。
「マム、どこ行くの? おかわり?」
「お手洗いに行ってくるわ」
「わかった~」
フラリと立ち上がり、店の奥にあるお手洗いに足を向ける。
最初は逃げるつもりだったが、こうも海賊だらけでは店から出ることも不可能だった。トイレの奥にある窓も小さくて、片方を開けても通れない。都合よくリリアンヌ一人だったが、諦めるしかない。
ところが、用を足して手を洗っていると突然、
どーーーーん
という轟音がして、建物が激しく揺れた。
「!!」
驚いて壁に手をつくと、ドアの向こうで悲鳴と怒声が聞こえてくる。
何があった!?
「……はどこだ!?」
「トイレよ!!」
バタバタと人の足音が近づいて来る。
「女性用だし、私が入るわ! あんたは逃げ道を確保しておいて!」
「えっ、でも」
「早くっ」 「あっ、あっ、か、かしこまりですっ」
リリアンヌは聞こえてくる声に目を丸くする。
ウニの声と……これは……。
ガチャリと扉が開き、飛び込んでくるのは、懐かしい瞳。
「っ!! リリー!!」
「マリアンヌ!?」
「逃げますよ!!」
小さな手が力強く腕を引き、トイレの奥へと引っ張る。
「さぁ、帰りましょう、トリーチェへ!」
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