30歳の英雄王は転生勇者を拾い無双に育てます

蒼井青龍

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第3話:驚愕の才能と英雄の技

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ライオがライの家に滞在して、数日が過ぎた。
 豪傑ライオは、かつての戦友の息子(正確には拾い子だが)であるアスヤを大層気に入り、滞在期間中はライに代わってアスヤの剣術指導を買って出た。

「いいか、アスヤ! 剣ってのは腕で振るんじゃねえ、腰と魂で振るんだ!」
 ライオの指導は、ライの論理的なものとは違い、野生の勘と力に頼った豪快なものだった。

三歳のアスヤはその幼い体で、必死に大男の動きを追い、吸収していった。

 そして、ライオが帰る日の朝。
 家の前の広場で、滞在の仕上げとなる「試合」が行われることになった。
「さあ、アスヤ! 最後に一太刀、この俺に浴びせてみろ!」
 ライオは余裕の表情で、木剣を片手で構える。

 アスヤは深く呼吸を整え、小さな木剣を正眼に構えた。

「……いくよ、ライオさん!」
 アスヤが地面を蹴る。三歳児とは思えない鋭い踏み込みから、ライオの懐へと飛び込んだ。
 左右、そして上下。アスヤはここ数日で学んだライオの剛剣の軌道をなぞるように攻撃を繰り出すが、ライオはそれをつまらなそうに、最小限の動きで受け流していく。

「どうした、そんなもんか! 動きはいいが、まだ俺のコピーに過ぎねえぞ!」
 ライオが笑いながら、軽く木剣を払う。その衝撃だけで、アスヤの小さな体は数メートル後方へ弾き飛ばされた。

 土煙の中で、アスヤは不敵に笑った。
(……やっぱり、コピーじゃダメだ。なら、あの日見た『一番すごい技』をやるしかない)
 アスヤは立ち上がり、剣の構えを解いた。代わりに、剣を腰のあたりで水平に保ち、全身の魔力を一点に集中させる。

 その独特な予備動作を見た瞬間、見守っていたライの顔色が変わった。
「アスヤ、まさか……!?」
「最後の一撃……はぁぁぁ!」
 アスヤの姿が、かき消えた。

 直後、数メートルの距離を一瞬で詰め、目にも止まらぬ速さの三連突きがライオを襲った。
 空気を切り裂く鋭い音。それは、数日前にライがライオとの模擬戦で見せた、ライ独自の奥義の一つだった。

「なっ、マジかよ……ッ!?」
 余裕をかましていたライオの目が、驚愕に見開かれる。

 受け流す余裕はない。ライオは反射的に大剣(の木剣)を盾にするように垂直に立て、全力でその一撃を止めた。

 バチンッ! と激しい衝撃音が響き、アスヤの木剣は粉々に砕け散った。
「…………」
 静寂が広場を包む。

 ライオは、自分の胸元で止まったアスヤの拳と、砕けた木剣の破片を交互に見て、冷や汗を流した。
「……おい、ライ。今の、お前が教えたのか?」
「……いや。一度も見せたことはないし、ましてや教えるなんて、まだ何年も先だと思っていたよ」
 ライは信じられないものを見る目で、愛弟子に歩み寄った。

「アスヤ、今の技をどこで覚えたんだ?」
 アスヤは砕けた木剣の柄を放り投げ、少し照れくさそうに笑って、額の汗を拭った。
「えへへ……この前、パパとライオさんが戦ってるのを見てたでしょ? あの時の動き、カッコいいなと思って、頭の中で練習してたんだ」
「見て、覚えた……だと?」

 ライオが呆然と呟く。

「ガッハッハ! こりゃあ、たまげた。ライ、お前とんでもない化け物を拾ったな!」
 ライオは豪快に笑い飛ばしたが、その瞳には明確な敬意が宿っていた。

 ライもまた、驚きを通り越して、アスヤの底知れない才能に武者震いを感じていた。

「……ああ。どうやら俺も、のんびり隠居している場合じゃなくなったみたいだ」
 この日を境に、ライのアスヤに対する指導は、それまでの「遊び」から「真の修行」へと変貌していくことになる。
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