婚約者だった王太子に裏切られたのでその座を剥奪いたします

完菜

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021 目標を掲げる①

 ジンジャー修道院でキャロルは、一時の平穏を手に入れた。存外、修道院での生活が自分に合っていた。
 修道院にいる女性は大抵訳ありだ。自分のことを話したくない人ばかりなので、他人のことも聞いてこない。だからキャロルが、巷で有名な侯爵令嬢で悪女だと気づく者は誰もいなかった。

 そもそもジンジャー修道院に来た時は、髪はボサボサで短く切ったままだったし、片頬にはザックリした大きな傷があってみすぼらしい服装だった。
 しかも、女性で顔に傷があると言うのはやはりショッキングで、初めて目にする人には憐憫の情を向けられた。かわいそうな女性として、皆から優しくされた。

 修道院で暮らすキャロルは、これからどうするのかゆっくりと考えることができた。このまま、訳あり女性として王都の片隅で無難に生きていくことができる。
 でも考えれば考える程、自分にはその生き方に耐えられそうにない。カロリーナとしての性が、怒りに震えているから。ララに負けたまま、何もしないなんて選択肢は取れそうにない。
 それにディルクのことは、カロリーナと同じようにキャロルも絶対に許せない。自分が悪かったのは身に染みて感じている。だけど、何も殺さなくても良かった。
 ディルクだって、自分が足りないことはわかっていた。その部分を、カロリーナに補わせていた部分もあったのだ。それを思えば、どちらか一方が悪いと言い切れない間柄だった。自分たちは、利用し合っていてお互い様だったのだ。

 弱いディルクは、自分を甘やかしてくれるララに逃げたのだ。

 自分の中のカロリーナが、国を背負って行く王としてそんな王太子を許せない。それにきっとララでは、王妃としての役割は担えない。
 ララは、可愛さと男に取り入ることだけが武器でその他は一般的な子爵令嬢だった。だから、高位貴族に嫁入りするための教養が、身についているとは思えなかった。そんな女性が、国を背負っていくなんて無理なのだ。国を背負うと言うことは、簡単なことではない。他国と渡り合う度胸と、自国のことを知っている知識、政を行う能力、人の上に立つという絶対的なカリスマ性が必要だ。
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