秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜

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第一章 人生って何が起こるかわからない

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 お昼を食べて、馬車に戻る。キャスティナは、花畑に降りてみたかった。窓から外を見つつ名残惜しげに、馬車が出発した。帰りも、エヴァンと隣り合って座る。

「まだ、見たかった?」

「いえ、大丈夫です。それより、エヴァン様に言いたい事が‼」

「なんだい?」

 思いきってキャスティナは、口を開く。

「あ、あの。エヴァン様、距離感が近いです。私、男の人に慣れてなくて緊張とドキドキでうまく話せません。もうちょっと離れたいです。隣じゃなくて、向かい合って座りたいです」

「それは、ダメだね」

「えっ?!」

 まさか、拒否されると思わなかったキャスティナは目を丸くして驚く。

「これでも、我慢してる方なんだよ。だからそれは却下。この距離感は、キャスティナが慣れてね。でも、ドキドキしてくれてるならうれしいな」

 定番になった有無を言わせぬ笑顔で、エヴァンがにっこり頬笑む。

「もう!エヴァン様、またその笑顔‼ずるいです」
  
   キャスティナがちょっと離れて距離を取る。

「怒ってるキャスティナも可愛いよ」

「エヴァン様、意地悪です」

 キャスティナは、怒ってプイッと横を向く。

「クスクスクス。キャスティナは、表情がコロコロ変わって飽きないね」

 キャスティナは、エヴァンの言葉は聞かなかった事にして窓の外に目を向ける。馬車の揺れとポカポカした日差しが気持ちよくて、窓にもたれて眠ってしまった。

「怒ってそのまま寝ちゃうなんて、可愛い過ぎる。余りに警戒心がないのも心配になっちゃうな」

 そう言ってエヴァンは、キャスティナの頭に手をやって自分の肩に傾かせる。手はそのままキャスティナの腰に添える。

「この距離感が定位置になるのは、いつかな?」

 エヴァンが、小さな声で呟いた。
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