54 / 105
第二章 貴族としての生活
2-26
自己紹介を終えた女性三人は、折角なので少し話をしようと休憩室に移動した。三人で飲み物と軽食を取り、楽しく話をした。お互いのパートナーの話や、社交界の話、騎士団の話などキャスティナは実に色々な話を聞かせてもらった。話がいつまでも尽きなかったが、三人のパートナーが迎えに来たので後日お茶会を開きましょうと約束して三人は別れた。
キャスティナは、初めての経験に興奮冷めやらぬと言った様子だ。エヴァンは、キャスティナが楽しんでいるのを見て連れてきて良かったと改めて思った。
「じゃーキャスティナ、そろそろ踊って来よう」
「はい。エヴァン様」
エヴァンが、キャスティナの手を取り会場に戻ると丁度ゆったりとしたワルツが流れ始めた。二人は踊り始める。
「エヴァン様。今日がすっごく楽しいです。顔が緩んでしまいます」
キャスティナは、いつもにましてニコニコしている。
「夢だった、お友達が出来ました。ドーリス様もエルナ様も、色々な話をしてくれて楽しかったです」
「私も、キャスティナが楽しんでる姿が見られてうれしいよ。でもまた、クリアみたいになってるけど大丈夫?」
エヴァンが、キャスティナをからかう。キャスティナは、ハッとしてきりっと表情を引き締めるがすぐに崩れる。
「エヴァン様。私、興奮しちゃって無理です。こんなに楽しくて、夢見てるみたいです」
「素直なのが、キャスティナの良さだから仕方ないね。周りが気を付けるからキャスティナは、そのままでいいよ。アルヴィン隊長も信用出来る人だから、安心して大丈夫。無理強いする人じゃないから」
「ふふふ。それって、エヴァン様の体験談ですか?」
「こらっ。キャスティナ」
エヴァンもキャスティナも、可笑しくて笑っている。二人が踊っているのを、会場のみんなが微笑ましく見ている。カルロもエヴァンがあんなに優しい表情するなんてなぁーと感心している。二人とも楽しそうでお似合いだ、いい子を見つけて良かったと安心した。
曲が変わり、キャスティナとエヴァンが離れてお辞儀をした。その途端、キャスティナにダンスの申し込が殺到する。キャスティナが、困っていると後ろから一人の男性が現れる。
「キャスティナ、次は僕とだよ。踊って頂けますか?」
アルヴィンがキャスティナの手を取る。キャスティナにダンスを申し込んでいた男性達がびっくりして息を飲む。キャスティナは、他のみんなに約束していたのでごめんなさいと断りを入れアルヴィンに近づく。
「はい。よろしくお願いします」
キャスティナは、笑顔でアルヴィンに答え二人は踊り出す。かかっている曲がアップテンポに変わる。
「あの、アルヴィン隊長。私、ダンスは得意ではなくて。エヴァン様の御家族としか踊った事もなくて。上手に踊れなかったらごめんなさい」
キャスティナは、曲について行くのが精一杯で足下に目線を下げてしまう。
「それは、光栄だね。キャスティナ、上を向いて僕に任せてくれれば大丈夫だから」
キャスティナは、上を向いてアルヴィンに重心を預ける。その途端、体が曲に合わせて綺麗に動き出す。キャスティナは、初めての経験に顔が綻んでニコニコが止まらない。
「全く君は·····。君の笑顔は、人を惹き付けるってわかってる?」
「そうなるように、修行したんですよ。成果が出てますか?師匠がいるんです(接客の)」
キャスティナが、いたずらっぽく笑う。
「本気で口説きたくなる」
アルヴィンが、ふっと真剣な眼差しをキャスティナに向ける。
「ダメですよ。私じゃ、役者不足です。それにさっきから感じる、多数の男性からの敵意のある視線がビシバシ凄いです」
「そうか。私はエヴァンからの、射殺しそうな視線は感じてたが……威嚇はしといた方がいいね」
その瞬間、アルヴィンから会場内に殺気が放たれる。会場にいた、騎士達は一瞬で恐怖に襲われる。キャスティナに敵意を送っていた者は、理解する。アルヴィンからキャスティナに手を出すなと言う威嚇だと。
カルロは、遠くから二人が踊っているのを見ていた。踊り出したのにも驚いたが、アルヴィンが女性と楽しそうに踊っている光景が信じられなかった。長い付き合いの中で、初めて見るアルヴィンの姿だ。しかも、殺気を放って牽制までした。おいおい、キャスティナ嬢は何者なんだよ。あの二人を手玉に取るって……。
「凄いです。一気に刺すような視線がなくなりました」
「それは良かった。でも、僕の誘いに乗ってくれないのは残念だな」
「それはそうですよ。だって、わたしとエヴァン様の二人が手を出したらアルヴィン隊長は、エヴァン様の手を取るでしょ?私は精々、妹分止りですよ」
キャスティナは、ふふふっと笑っている。
「君には勝てないね。じゃあ、僕は妹としてキャスティナを可愛がるね」
アルヴィンもクスクス笑っている。
「はい。よろしくお願いします」
キャスティナが、にっこり笑顔で返した。丁度、曲が終わり離れてお辞儀をした。そのまま、アルヴィンは、キャスティナの手を取り歩き出す。曲が終われば別れると思っていたのに、キャスティナは驚く。アルヴィンが、キャスティナに合わせてゆっくり歩いてくれる。歩いて行く方向にエヴァンが待っていた。
「ほら、エヴァン。ちゃんと、返しにきたよ。キャスティナは、他の奴と踊らせない方がいい。笑顔が可愛い過ぎる」
そう言うと、キャスティナをエヴァンに預けて背を向けて去っていった。
「キャスティナ……。何したんだよ」
エヴァンは、頭を抱える。
「何もしてないですよ。ちょっとお話しただけです。妹認定してくれました」
キャスティナは、嬉しそうに笑っている。
エヴァンは、妹って……なんでそうなった?と疑問で一杯になった。
キャスティナは、初めての経験に興奮冷めやらぬと言った様子だ。エヴァンは、キャスティナが楽しんでいるのを見て連れてきて良かったと改めて思った。
「じゃーキャスティナ、そろそろ踊って来よう」
「はい。エヴァン様」
エヴァンが、キャスティナの手を取り会場に戻ると丁度ゆったりとしたワルツが流れ始めた。二人は踊り始める。
「エヴァン様。今日がすっごく楽しいです。顔が緩んでしまいます」
キャスティナは、いつもにましてニコニコしている。
「夢だった、お友達が出来ました。ドーリス様もエルナ様も、色々な話をしてくれて楽しかったです」
「私も、キャスティナが楽しんでる姿が見られてうれしいよ。でもまた、クリアみたいになってるけど大丈夫?」
エヴァンが、キャスティナをからかう。キャスティナは、ハッとしてきりっと表情を引き締めるがすぐに崩れる。
「エヴァン様。私、興奮しちゃって無理です。こんなに楽しくて、夢見てるみたいです」
「素直なのが、キャスティナの良さだから仕方ないね。周りが気を付けるからキャスティナは、そのままでいいよ。アルヴィン隊長も信用出来る人だから、安心して大丈夫。無理強いする人じゃないから」
「ふふふ。それって、エヴァン様の体験談ですか?」
「こらっ。キャスティナ」
エヴァンもキャスティナも、可笑しくて笑っている。二人が踊っているのを、会場のみんなが微笑ましく見ている。カルロもエヴァンがあんなに優しい表情するなんてなぁーと感心している。二人とも楽しそうでお似合いだ、いい子を見つけて良かったと安心した。
曲が変わり、キャスティナとエヴァンが離れてお辞儀をした。その途端、キャスティナにダンスの申し込が殺到する。キャスティナが、困っていると後ろから一人の男性が現れる。
「キャスティナ、次は僕とだよ。踊って頂けますか?」
アルヴィンがキャスティナの手を取る。キャスティナにダンスを申し込んでいた男性達がびっくりして息を飲む。キャスティナは、他のみんなに約束していたのでごめんなさいと断りを入れアルヴィンに近づく。
「はい。よろしくお願いします」
キャスティナは、笑顔でアルヴィンに答え二人は踊り出す。かかっている曲がアップテンポに変わる。
「あの、アルヴィン隊長。私、ダンスは得意ではなくて。エヴァン様の御家族としか踊った事もなくて。上手に踊れなかったらごめんなさい」
キャスティナは、曲について行くのが精一杯で足下に目線を下げてしまう。
「それは、光栄だね。キャスティナ、上を向いて僕に任せてくれれば大丈夫だから」
キャスティナは、上を向いてアルヴィンに重心を預ける。その途端、体が曲に合わせて綺麗に動き出す。キャスティナは、初めての経験に顔が綻んでニコニコが止まらない。
「全く君は·····。君の笑顔は、人を惹き付けるってわかってる?」
「そうなるように、修行したんですよ。成果が出てますか?師匠がいるんです(接客の)」
キャスティナが、いたずらっぽく笑う。
「本気で口説きたくなる」
アルヴィンが、ふっと真剣な眼差しをキャスティナに向ける。
「ダメですよ。私じゃ、役者不足です。それにさっきから感じる、多数の男性からの敵意のある視線がビシバシ凄いです」
「そうか。私はエヴァンからの、射殺しそうな視線は感じてたが……威嚇はしといた方がいいね」
その瞬間、アルヴィンから会場内に殺気が放たれる。会場にいた、騎士達は一瞬で恐怖に襲われる。キャスティナに敵意を送っていた者は、理解する。アルヴィンからキャスティナに手を出すなと言う威嚇だと。
カルロは、遠くから二人が踊っているのを見ていた。踊り出したのにも驚いたが、アルヴィンが女性と楽しそうに踊っている光景が信じられなかった。長い付き合いの中で、初めて見るアルヴィンの姿だ。しかも、殺気を放って牽制までした。おいおい、キャスティナ嬢は何者なんだよ。あの二人を手玉に取るって……。
「凄いです。一気に刺すような視線がなくなりました」
「それは良かった。でも、僕の誘いに乗ってくれないのは残念だな」
「それはそうですよ。だって、わたしとエヴァン様の二人が手を出したらアルヴィン隊長は、エヴァン様の手を取るでしょ?私は精々、妹分止りですよ」
キャスティナは、ふふふっと笑っている。
「君には勝てないね。じゃあ、僕は妹としてキャスティナを可愛がるね」
アルヴィンもクスクス笑っている。
「はい。よろしくお願いします」
キャスティナが、にっこり笑顔で返した。丁度、曲が終わり離れてお辞儀をした。そのまま、アルヴィンは、キャスティナの手を取り歩き出す。曲が終われば別れると思っていたのに、キャスティナは驚く。アルヴィンが、キャスティナに合わせてゆっくり歩いてくれる。歩いて行く方向にエヴァンが待っていた。
「ほら、エヴァン。ちゃんと、返しにきたよ。キャスティナは、他の奴と踊らせない方がいい。笑顔が可愛い過ぎる」
そう言うと、キャスティナをエヴァンに預けて背を向けて去っていった。
「キャスティナ……。何したんだよ」
エヴァンは、頭を抱える。
「何もしてないですよ。ちょっとお話しただけです。妹認定してくれました」
キャスティナは、嬉しそうに笑っている。
エヴァンは、妹って……なんでそうなった?と疑問で一杯になった。
あなたにおすすめの小説
地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない
asamurasaki
恋愛
一応長編、今や番外編の方が長くなりました作品『愛のない政略結婚のはずがいつからか旦那様がグイグイきてどうしていいのかわからないのですが』から派生した、ジークシルード王国の第二王子、セントバーナルと子爵令嬢、エンヴェリカ・クエスベルトの恋物語です。
スピンオフ的な作品ですが、『愛のない〜』
の本編ではヒーローがチラッと名前が出てくる程度でヒロインはまったく出てきません。
『愛のない〜』を読まなくてもこちらの作品だけでもわかる内容となっておりますが、番外編の『ジョルジュミーナの結婚』ではヒーローとヒロインがちょこっと出てきます。
そして同じく番外編の『セントバーナルの憂鬱』ではこの作品のヒーローが主役のお話です。
『愛のない〜』を読んでいらっしゃらない方はこちらをお読み頂いた後に『ジョルジュとミーナの結婚』『セントバーナルの憂鬱』を読んで頂ければ嬉しいです。
もちろん同時でも大丈夫ですが、最初こちらの短編を書く予定がありませんでしたので、ちょいネタバレ的になってますので、ネタバレは嫌だ!という方はご注意下さませ。
このお話は主にヒロインエンヴェリカ視点で進みますが、ヒーローのセントバーナル視点など他のキャラ視点も入る予定です。
表記のないものはすべてエンヴェリカ視点となります。
こちらの作品ジャンルとしては異世界恋愛となってますが、『愛の〜』ではヒロインヴァネッサや王太子妃ナターシャ、元となった乙女ゲームのヒロインメリッサは転生者でしたが、この物語のメインキャラは転生者は登場しない予定です。
この物語は魔法のある世界ですが、魔法、魔術と記載を分けておりますが、本来の意味と違い私の独自の設定とさせて頂いております。
ご了承下さいますようお願いします。
尚、只今感想欄を閉じております。
今後開けるかもしれませんが。
ですので、誤字や脱字などないよう何度も確認をしておりますが、それでも見つけてしまわれましたら申し訳ありません。
その他、ユルユルで設定ございます。
そのあたりをご理解して読んで頂けましたら大変有り難く思います。
よろしくお願い致します!
初恋の還る路
みん
恋愛
女神によって異世界から2人の男女が召喚された。それによって、魔導師ミューの置き忘れた時間が動き出した。
初めて投稿します。メンタルが木綿豆腐以下なので、暖かい気持ちで読んでもらえるとうれしいです。
毎日更新できるように頑張ります。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる
はなまる
恋愛
らすじ
フレイシアは10歳の頃母と一緒に魔物に遭遇。その時母はかなりの傷を負い亡くなりショックで喋れなくなtったがその時月の精霊の加護を受けて微力ながらも魔法が使えるようになった。
このニルス国では魔力を持っている人間はほとんどいなくて魔物討伐でけがを負った第二王子のジェリク殿下の怪我をほんの少し治せた事からジェリク殿下から聖女として王都に来るように誘われる。
フレイシアは戸惑いながらも淡い恋心を抱きジェリク殿下の申し出を受ける。
そして王都の聖教会で聖女として働くことになりジェリク殿下からも頼られ婚約者にもなってこの6年フレイシアはジェリク殿下の期待に応えようと必死だった。
だが、最近になってジェリクは治癒魔法が使えるカトリーナ公爵令嬢に気持ちを移してしまう。
その前からジェリク殿下の態度に不信感を抱いていたフレイシアは魔力をだんだん失くしていて、ついにジェリクから枯渇聖女と言われ婚約を破棄されおまけに群れ衣を着せられて王都から辺境に追放される事になった。
追放が決まり牢に入れられている間に月の精霊が現れフレイシアの魔力は回復し、翌日、辺境に向かう騎士3名と一緒に荷馬車に乗ってその途中で魔物に遭遇。フレイシアは想像を超える魔力を発揮する。
そんな力を持って辺境に‥
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。少し間が開いてしまいましたがよろしくです。
まったくの空想の異世界のお話。誤字脱字などご不快な点は平にご容赦お願いします。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。他のサイトにも投稿しています。
呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます。~執着王子から助けてくれた旦那様の為に頑張ります!~
屋月 トム伽
恋愛
第2殿下アーサー様に見初められたリーファ・ハリストン伯爵令嬢。
金髪碧眼の見目麗しいアーサー様だが、一方的に愛され執着するアーサー様が私には怖かった。
そんな押しの強いアーサー様との二人っきりのお茶会で、呪われたお茶が仕込まれていることに気付かずに飲んでしまう。
アーサー様を狙ったのか、私を狙ったのかわからないけど、その呪いのせいで夜が眠れなくなり、日中は目が醒めなくなってしまった。
日中に目が醒めないなら、妃になれば必要な公務も出来ないとなり、アーサー様の婚約者候補としてもなれないのに、あろうことかアーサー様は諦めず、私に側室になって欲しいと望む始末。
そして呪いは解けないままで日中は眠ってしまう私に、帰る事の出来る家はない。
そんな私にある公爵様から結婚の申し込みがきた。
アーサー様と家族から逃げ出したい私は結婚の申し出を受け、すぐに結婚相手のお邸に行く。が…まさかのヘルハウス!?
…本当にここに住んでいますか!?お化けと同居なんて嫌すぎます!
序章…呪われた令嬢
第一章…ヘルハウス編
第二章…囚われ編
第三章…帰還編
第4章…後日談(ヘルハウスのエレガントな日常)
★あらすじは時々追加するかもしれません!
★小説家になろう様、カクヨム様でも投稿中
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。