ゾンビのいない世界で俺に与えられたスキルは『ゾンビ殺し』だった。役立たずとして追放される俺。でもあと少しで世界はゾンビだらけになるんだけどね

小平ニコ

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第18話

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 ルイーズは深々とため息を吐き、言う。

「私、買い物って苦手なのよね」

「なんで?」

「前に言ったでしょ、『できれば知らない人と口なんてききたくない』って。買い物って、赤の他人の店員と、少なからず話さなきゃいけないじゃない。人によっては、世間話したり、妙に絡んでくるのもいるしさ。それに……」

「それに?」

「一部の人間だけどね、私たちエルフを差別する連中もいるのよ。前に立ち寄った町で、嫌な思いしたことがあってさ、だから、できれば人間の宿場町になんて寄りたくなかったのよ……」

「そうだったのか……」

 それなのに、俺のためにテントと虫よけの材料を手に入れるため、ここまで来てくれたのか。……ならば俺も、ここは男気を見せるべきだろう。

「わかった。じゃあやっぱり、俺が一人で行ってくるよ」

「いいの?」

「ああ。このリストに書いてある品物の発音と適正な価格帯だけ教えて。変なもの売りつけられそうになったり、明らかにぼったくられそうになったら走って逃げてくるよ」

「うん、ありがと……」





 買い物は、つつがなく終わった。
 いや、ほんとに、どこのお店もビックリするくらい親切だった。

 ぼったくられるどころか、ルイーズに教えてもらった価格帯の半値で、すべての品物を入手することができた。あまりに安すぎて逆に不安になり、ルイーズに品質を見てもらったが、どれも最上級品とのことである。

 俺は首をひねり、ルイーズに問いかける。

「これ、どゆこと? どの店のおじさんもおばさんも、めちゃくちゃ優しくて、俺のこと『頑張れ頑張れ』って励ましてくれてさ、嬉しくてちょっと泣いちゃったよ」

 ルイーズは買ってきた物を検品しながら、ちらりとこっちを見て言う。

「あんたがシャンパ人だからよ。皆、知ってるからね。この国の王が、世界を救う勇者を探し出すために、異世界から年端もいかない子供たちを召喚してることを。で、勇者と認められずに王宮から放り出されたシャンパ人に対し、申し訳ないって気持ちがあるんでしょうね」

「へえ。あの王様は控えめに言ってクソだと思うけど、異世界人にも良い人っていっぱいいるんだな。俺の知ってる炎の勇者――アキラは、人格はかなりアレだけど、能力は凄かったし、モンスターを討ち果たしてこの世界を救ってくれるといいな、みんなの幸せのために」

 そこで、検品が終わったのか、ルイーズはすべての道具をしまい、感心とも呆れともつかぬ顔で俺を見て、ぽつりとつぶやいた。

「あんた、お人よしね」

「そう?」

「そうよ。完全にこっちの都合で召喚されて、人生を滅茶苦茶にされたのに、ちょっと優しくされたくらいでこの世界の人間の幸せを願えるなんて、普通じゃないわよ」
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