47 / 75
第47話
しおりを挟む
「どうもしないわ。私は今まで通り、エルフィン・カルドライトを探し続けるだけよ」
ルイーズは淡々としており、あくまでもいつも通りだ。その落ち着き払った態度が、若干俺を苛立たせた。世界が終わるというのに、なぜそんなに平然としていられるのだろう。俺はやや大きな声で、詰め寄るように言う。
「でもさ、世界が終わるのに、そんなことしても意味ないだろう?」
ルイーズにとっての最重要課題である『エルフィン・カルドライト探し』を『そんなこと』呼ばわりするのは凄く失礼なことだと思うが、一度動き出した口は、もう止まらなかった。俺はハッキリと彼女の方に体を向け、言葉を続けていく。
「だいたい、盗賊のねぐらを探すくらいしか手掛かりがないんだから、見つかる可能性なんてほとんどゼロじゃないか。こんな虚しい探索はやめて、故郷に帰ったらどうだ? 世界の終わりが避けられないなら、そこで、大切な家族や友達と最後の時間を過ごした方が……」
そんな俺の言葉を遮るように、ルイーズは短く言う。
「故郷に帰っても、大切な家族や友達なんていないのよ」
「えっ……」
「前に言ったでしょ。私、これでもエリートだったって。私の家は、魔法使いの名門で、だからこそ、里の秘宝であるエルフィン・カルドライトの管理を任されていた。……そのエルフィン・カルドライトが人間の盗賊なんかに盗まれたことで、私の家は里全体から激しく糾弾されたわ」
大きくないが、小さくもない声で、ルイーズは語り続ける。
……そういえば、初めて会ったときも、語りだしたら止まらなかったな。でも、あの頃の、どこか自分に酔うような語り口とは大きく違う。淡々と、感情を乱さぬように、ルイーズは言葉を紡いでいた。
「それで、父さんは精神を病んで自殺。母さんはおかしくなって変な集会にハマっちゃうし、ほんと、最悪よ。でも、一番最悪だったのは、私の周りの友人たちだった。あいつら、昔は私のことを持ち上げてたくせに、家が没落したら、手のひらを返したみたいに態度を変えたのよ」
「何か、されたのか?」
「その逆。何もしないの。本当に、なんにも。あいつら、私を『いないもの』として扱いだしたのよ。完全なる無視。あれなら、嫌味の一つでも言われた方がまだマシだったわ」
「それは……陰湿だな……。そっか、里でまた認めてもらうために、必死にエルフィン・カルドライトを探してるんだな。お前の気持ちも考えずに、さっきは『虚しい探索』だなんて言って、悪かった」
ルイーズは淡々としており、あくまでもいつも通りだ。その落ち着き払った態度が、若干俺を苛立たせた。世界が終わるというのに、なぜそんなに平然としていられるのだろう。俺はやや大きな声で、詰め寄るように言う。
「でもさ、世界が終わるのに、そんなことしても意味ないだろう?」
ルイーズにとっての最重要課題である『エルフィン・カルドライト探し』を『そんなこと』呼ばわりするのは凄く失礼なことだと思うが、一度動き出した口は、もう止まらなかった。俺はハッキリと彼女の方に体を向け、言葉を続けていく。
「だいたい、盗賊のねぐらを探すくらいしか手掛かりがないんだから、見つかる可能性なんてほとんどゼロじゃないか。こんな虚しい探索はやめて、故郷に帰ったらどうだ? 世界の終わりが避けられないなら、そこで、大切な家族や友達と最後の時間を過ごした方が……」
そんな俺の言葉を遮るように、ルイーズは短く言う。
「故郷に帰っても、大切な家族や友達なんていないのよ」
「えっ……」
「前に言ったでしょ。私、これでもエリートだったって。私の家は、魔法使いの名門で、だからこそ、里の秘宝であるエルフィン・カルドライトの管理を任されていた。……そのエルフィン・カルドライトが人間の盗賊なんかに盗まれたことで、私の家は里全体から激しく糾弾されたわ」
大きくないが、小さくもない声で、ルイーズは語り続ける。
……そういえば、初めて会ったときも、語りだしたら止まらなかったな。でも、あの頃の、どこか自分に酔うような語り口とは大きく違う。淡々と、感情を乱さぬように、ルイーズは言葉を紡いでいた。
「それで、父さんは精神を病んで自殺。母さんはおかしくなって変な集会にハマっちゃうし、ほんと、最悪よ。でも、一番最悪だったのは、私の周りの友人たちだった。あいつら、昔は私のことを持ち上げてたくせに、家が没落したら、手のひらを返したみたいに態度を変えたのよ」
「何か、されたのか?」
「その逆。何もしないの。本当に、なんにも。あいつら、私を『いないもの』として扱いだしたのよ。完全なる無視。あれなら、嫌味の一つでも言われた方がまだマシだったわ」
「それは……陰湿だな……。そっか、里でまた認めてもらうために、必死にエルフィン・カルドライトを探してるんだな。お前の気持ちも考えずに、さっきは『虚しい探索』だなんて言って、悪かった」
0
あなたにおすすめの小説
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています
黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。
失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった!
この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。
一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。
「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」
底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる