婚約者に愛されたいので、彼の幼馴染と体を交換しました【完結】

小平ニコ

文字の大きさ
4 / 6

第4話

しおりを挟む
 ……軍人たちは、これから私のことを、徹底的に尋問するに違いない。

 じょ、冗談じゃないわ。

 私、革命になんて、なんの興味もないし、国王の暴政も、どうだっていいわ。困っているのは下等な平民どもであり、選ばれた上級貴族である私には、関係のないことだもの。

 早く、『私は本当のウィネットじゃない』って伝えて、誤解を解かないと。
 私は、懸命に声を発しようとした。

「うー! ううー!!」

 しかし、いくら呻いても、口に猿ぐつわが食い込んでいくだけである。

 二人の兵士が、どこか呆れたような目で、こちらを見ている。
 兵士の一人――長身の男が、肩をすくめ、言う。

「まさか、革命団幹部様が、こんなにも簡単に捕まるとはな」

 その言葉に、もう一人の兵士――筋骨隆々の男が、答える。

「まったくだ。尻尾を掴むのに散々苦労したが、これで少しは、革命団の情報を聞き出すことができるだろう。まあ、そう簡単に口を割るとは思えないから、多少は拷問をしなきゃならないだろうがね」

 待って。
 待ってよ。

 知らないわよ。
 革命団の情報なんて。

 だって、私、本当に、何も知らないんだもの。

 やめてよ、拷問なんて。

 違うのよ。
 私は、別人なの。

 体はウィネットだけど、心は別なのよ。

 私はそう主張するために、必死にもがき、これまで以上に呻いた。

「うー!! うぅぅー!!! ううううううううううううう!!!!」

 ただならぬ様子を察知した長身の男が、筋骨隆々の男に声をかける。

「おい、なんかこいつ、滅茶苦茶に唸ってるぞ? 一旦、猿ぐつわをはずしてみるか?」

「そうだな。噛みつかれないように注意しろよ」

「わかってるって」

 そこでやっと、私に沈黙を押し付けていた猿ぐつわがはずされた。

 猿ぐつわをつけたまま、呻き声を上げ続けるというのは、思った以上に疲れるものだった。私は乱れた呼吸をなんとか整え、それから、ついさっき頭の中で思った通りのことを、滔々と語った。

 だが……

「あのなあ、そんな言い訳、通用すると思ってるのか? どこの世界に、わざわざ禁呪である『入れ替わり』の呪文を使ってまで、革命団幹部と体を入れ替えるアホがいるんだよ。自殺行為じゃないか」

 長身の兵士は、体を揺すって、せせら笑った。

 まずい。
 このままでは、私は本当に、ウィネットとして拷問を受けることになってしまう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます

碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」 そんな夫と 「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」 そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。 嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう

月読みの巫女~追放されたので、女神様と女子会しながら隣国で冒険者ライフを楽しむことにします~

しえろ あい
ファンタジー
 リュンヌ王国の「月読みの巫女」アリアは、建国以来続くしきたりに縛られ、神殿と王家から冷遇される日々を送っていた。治癒や浄化といった「聖女らしい加護」を持たない彼女は、王太子ギルバートからも「無能」と蔑まれ、ついには身勝手な理由で婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。  しかし、それこそがアリアの狙いだった。彼女が女神から授かった真の加護は、姿を変え、身体を強化し、無限の荷物を運べる「最強の冒険者セット」だったのである。 「やっと自由になれるわ!」 アリアは意気揚々と隣国へ向かい、正体を隠してBランク冒険者「リア」として第二の人生をスタートさせるのだった。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

それは立派な『不正行為』だ!

恋愛
宮廷治癒師を目指すオリビア・ガーディナー。宮廷騎士団を目指す幼馴染ノエル・スコフィールドと試験前に少々ナーバスな気分になっていたところに、男たちに囲まれたエミリー・ハイドがやってくる。多人数をあっという間に治す治癒能力を持っている彼女を男たちは褒めたたえるが、オリビアは複雑な気分で……。 ※小説家になろう、pixiv、カクヨムにも同じものを投稿しています。

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている

歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が 一人分減るな、と思っただけ。 ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。 しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、 イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。 3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。 「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」 「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?

もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。 政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。 王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。 王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。 オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。

処理中です...