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第20話【完結】
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「『良縁』といえば、侯爵様は、お嫁さんを貰わないのですか?」
「その気がないわけではないがな。『豚侯爵』などというあだ名が噂となり、縁談すらこない。……しかし、それはそれでいいのだ。あだ名で人を判断し、詳細を調べる気もない相手など、こちらから願い下げだからな。さあ、もう一勝負するぞ。今日は俺が勝つまでやるからな」
「じゃあ、いつまでも終わりませんね」
「こいつめ」
そして私たちは、無言で駒を打ち合います。
私は盤上を眺めながら、ポツリと言いました。
「……侯爵様。私、侯爵様のことが大好きです」
侯爵様も盤上を眺めながら、ポツリと言います。
「ああ、俺もお前のことは好きだ。気心も知れている」
「結婚できる年齢――20歳になったら、私をお嫁さんにしてくれませんか?」
「おいおい、ちゃんと計算してみろ。お前が20歳になる頃には、俺は31歳だ。31のおやじとの結婚など、願い下げだろう?」
「侯爵様がお相手なら、年齢なんて関係ありません。40歳でも、50歳でも、60歳でも構いません」
「70歳でもか? もしも俺がぼけたら、介護をしてくれるのか?」
「はい、喜んで」
「…………」
「あれ、もしかして侯爵様、照れてます?」
「て、照れてなどいない。生意気な奴め。この勝負に勝って懲らしめてやる」
「あの、それで、お返事は……?」
「うるさい、勝負に集中しろ」
「でも、お返事を聞かないと、集中できません」
「ならこうしよう。お前が勝ったら、嫁にしてやる、それでどうだ」
「わかりました。じゃあ、絶対に勝たないといけませんね」
そこで私たちは盤上から視線を上げ、お互いの顔を見合わせて微笑むのでした。
終わり
――――――――――――――――――――――――――――――――
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
「その気がないわけではないがな。『豚侯爵』などというあだ名が噂となり、縁談すらこない。……しかし、それはそれでいいのだ。あだ名で人を判断し、詳細を調べる気もない相手など、こちらから願い下げだからな。さあ、もう一勝負するぞ。今日は俺が勝つまでやるからな」
「じゃあ、いつまでも終わりませんね」
「こいつめ」
そして私たちは、無言で駒を打ち合います。
私は盤上を眺めながら、ポツリと言いました。
「……侯爵様。私、侯爵様のことが大好きです」
侯爵様も盤上を眺めながら、ポツリと言います。
「ああ、俺もお前のことは好きだ。気心も知れている」
「結婚できる年齢――20歳になったら、私をお嫁さんにしてくれませんか?」
「おいおい、ちゃんと計算してみろ。お前が20歳になる頃には、俺は31歳だ。31のおやじとの結婚など、願い下げだろう?」
「侯爵様がお相手なら、年齢なんて関係ありません。40歳でも、50歳でも、60歳でも構いません」
「70歳でもか? もしも俺がぼけたら、介護をしてくれるのか?」
「はい、喜んで」
「…………」
「あれ、もしかして侯爵様、照れてます?」
「て、照れてなどいない。生意気な奴め。この勝負に勝って懲らしめてやる」
「あの、それで、お返事は……?」
「うるさい、勝負に集中しろ」
「でも、お返事を聞かないと、集中できません」
「ならこうしよう。お前が勝ったら、嫁にしてやる、それでどうだ」
「わかりました。じゃあ、絶対に勝たないといけませんね」
そこで私たちは盤上から視線を上げ、お互いの顔を見合わせて微笑むのでした。
終わり
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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