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第42話
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「子供だからどうした。悪は悪だ。それに、彼は賢い。その賢さを父親を諫める方向に使えば、少なくとも今現在の山賊行為はやめさせることはできたかもしれない。なのにそれをしなかった。理由は、彼が今自分で言った通りだ」
「うっ……。し、しかし……しかし……!」
「そんな目で見るな。悪とはいえ、すべてを正直に話した誠実さと勇気には敬意を払う。痛みを感じる暇もなく、一瞬で殺してやるよ。最後に何かやりたいことがあるのなら、望みを叶えてやってもいい」
その言葉に反応したのは、シエルではなくカールだった。
「あ、あの、それならひとつ、お願いがあります」
ヘザーが、限りなく優しい声で聞き返す。
「なんだい?」
「猫を……」
「猫?」
「最後に、猫を撫でたいんです」
「そんなことでいいのかい?」
「はい。僕は、猫が大好きで……。でも、家では飼えなくて……」
その言葉で、岩壁に取り残された猫を必死に助けようとしていたカールの姿が、ありありと脳裏によみがえる。それで、ここまで静観していた私も、とうとう黙っていられなくなった。
「ヘザー」
「どうした?」
「やっぱり、カールを殺させるわけにはいかないわ」
「何故? まさか、子供に罪はないとか、馬鹿な感情論を振りかざすわけじゃないよな?」
「罪がないとは言わない。実際、毒蛇のカールに対する溺愛ぶりからして、本気でカールが諫めれば、山賊行為をやめさせられた可能性は高いと思う。だから、それをしなかったのは、確かに罪と言えるわ。でも……」
「でも?」
「少なくとも、この場で直ちに殺されなければならないほどの罪ではないと思う」
「甘いな。生かしておけば、彼はかなりの確率で、父親と同じ悪の道に走るぜ」
「カールは良い子よ。あなただって、さっきからの問答でそれはわかったでしょ?」
「そうだな。だが身寄りのいなくなった彼は、今後、厳しい生活を強いられることになる。そして飢えと貧困で追い詰められれば、順法精神やモラルなんて簡単に吹き飛ぶよ」
「…………」
「そこで出てくるのが、その人間の本性だ。カールはさっき、こう言ってたな。『結局のところ、見知らぬ他人が苦しむことより、自分たちの幸福な生活の方が大事だった』って。彼は確かにいい子だ。でも、考え方の根底には利己的なところがある」
「…………」
「カールを責めやしないさ。人間なんてそんなもんだ。だからこそ、ほぼ間違いなく悪の道に走るであろう人間を生かしてはおけないんだよ。それに、この子は父親より遥かに賢い。勇気もある。下手をすれば毒蛇どころか、善人たちを食らう大蛇になるかもしれないぜ」
「うっ……。し、しかし……しかし……!」
「そんな目で見るな。悪とはいえ、すべてを正直に話した誠実さと勇気には敬意を払う。痛みを感じる暇もなく、一瞬で殺してやるよ。最後に何かやりたいことがあるのなら、望みを叶えてやってもいい」
その言葉に反応したのは、シエルではなくカールだった。
「あ、あの、それならひとつ、お願いがあります」
ヘザーが、限りなく優しい声で聞き返す。
「なんだい?」
「猫を……」
「猫?」
「最後に、猫を撫でたいんです」
「そんなことでいいのかい?」
「はい。僕は、猫が大好きで……。でも、家では飼えなくて……」
その言葉で、岩壁に取り残された猫を必死に助けようとしていたカールの姿が、ありありと脳裏によみがえる。それで、ここまで静観していた私も、とうとう黙っていられなくなった。
「ヘザー」
「どうした?」
「やっぱり、カールを殺させるわけにはいかないわ」
「何故? まさか、子供に罪はないとか、馬鹿な感情論を振りかざすわけじゃないよな?」
「罪がないとは言わない。実際、毒蛇のカールに対する溺愛ぶりからして、本気でカールが諫めれば、山賊行為をやめさせられた可能性は高いと思う。だから、それをしなかったのは、確かに罪と言えるわ。でも……」
「でも?」
「少なくとも、この場で直ちに殺されなければならないほどの罪ではないと思う」
「甘いな。生かしておけば、彼はかなりの確率で、父親と同じ悪の道に走るぜ」
「カールは良い子よ。あなただって、さっきからの問答でそれはわかったでしょ?」
「そうだな。だが身寄りのいなくなった彼は、今後、厳しい生活を強いられることになる。そして飢えと貧困で追い詰められれば、順法精神やモラルなんて簡単に吹き飛ぶよ」
「…………」
「そこで出てくるのが、その人間の本性だ。カールはさっき、こう言ってたな。『結局のところ、見知らぬ他人が苦しむことより、自分たちの幸福な生活の方が大事だった』って。彼は確かにいい子だ。でも、考え方の根底には利己的なところがある」
「…………」
「カールを責めやしないさ。人間なんてそんなもんだ。だからこそ、ほぼ間違いなく悪の道に走るであろう人間を生かしてはおけないんだよ。それに、この子は父親より遥かに賢い。勇気もある。下手をすれば毒蛇どころか、善人たちを食らう大蛇になるかもしれないぜ」
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