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第50話
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「そう。……たぶんね、あの子を庇うことで、自分はまともな人間だって。他人から愛される資格のある優しい人間だって、自分自身に証明したかったんだと思うわ。だから本質的には、カールの事じゃなくて、自分のことを考えてたの。我ながら利己的で、恥ずかしくなるわ」
言ってしまった。これを口にすることで、シエルに酷く軽蔑されるのではないかと不安だったが、シエルは『よくわからない』という感じの表情を浮かべている。
「ご自分に証明なんかしなくても、ソフィア様はちゃんとした倫理観を持った、お優しい方だと僕は思いますよ」
「そうかしら。平然と山賊の手足を切り落としたり、嬉々としてヘザーと殺し合いをしていた姿を見て、『こいついかれてる』って思わなかった?」
「悪と戦ううえで、ある程度非情になることは当然です。ま、まあ、ヘザーさんとの戦いは、正直どうかしていると思いましたが、それでも、無意味な戦いではありませんでしたし……」
「じゃあ、無意味な戦いや殺戮を楽しんでたら、やっぱり軽蔑する?」
「それは……」
「私、前に言ったでしょ。12歳の頃から山賊狩りをしてたって。あれ、冗談だと思ってるかもしれないけど、本当なのよ。15歳になるまでの三年間、私は山賊を殺して殺して殺しまくったわ。最後の方は、もうほとんど虐殺だったと思う」
「…………」
「降伏を申し出た山賊も問答無用で殺したし、怯えて逃げ出した山賊も殺したし、ねぐらでぬくぬくと暮らしていた山賊の家族も殺したわ。私は異常者で、殺人鬼よ」
口が止まらない。ここにきて、なんでこんな話を始めたのかやっとわかった。私はたぶん、懺悔がしたかったのだろう。罪人が、優しい司祭に罪の告白をするように、私にとって最も安心できる存在であるシエルに、自らの異常性を告白し、そして許されたいと願っているのかもしれない。
「でもそれは、お父様に命じられてのことだったんでしょう?」
「最初はそうだった。でも、途中から私は、明らかに殺戮を楽しんでた。『相手は悪党だから殺していもいい』っていう最高の免罪符を心に貼って、思う存分破壊と暴力に酔いしれてたの。常人を遥かに超えた剣術で敵を蹂躙するのが、楽しくて仕方なかった」
「自分のおこないと残虐性に、疑問を抱くことはなかったのですか?」
一瞬、責められたのかと思ってビクリとなるが、シエルの瞳に非難の色はない。ただ純粋に、質問として聞いているだけのようだった。
「少しは疑問に思うこともあったわ。特に山賊の家族――非戦闘員を殺すときには。でも、彼らも結局は山賊の恩恵を受けて暮らしている異常者だし、そこまで悩まなかった。だから『ある時』が来るまで、自分は正しいことをしているって信じてた……」
「ある時とは?」
「私が猫好きだって話、したわよね」
「ええ。ヘザーさんにも言っていましたね」
言ってしまった。これを口にすることで、シエルに酷く軽蔑されるのではないかと不安だったが、シエルは『よくわからない』という感じの表情を浮かべている。
「ご自分に証明なんかしなくても、ソフィア様はちゃんとした倫理観を持った、お優しい方だと僕は思いますよ」
「そうかしら。平然と山賊の手足を切り落としたり、嬉々としてヘザーと殺し合いをしていた姿を見て、『こいついかれてる』って思わなかった?」
「悪と戦ううえで、ある程度非情になることは当然です。ま、まあ、ヘザーさんとの戦いは、正直どうかしていると思いましたが、それでも、無意味な戦いではありませんでしたし……」
「じゃあ、無意味な戦いや殺戮を楽しんでたら、やっぱり軽蔑する?」
「それは……」
「私、前に言ったでしょ。12歳の頃から山賊狩りをしてたって。あれ、冗談だと思ってるかもしれないけど、本当なのよ。15歳になるまでの三年間、私は山賊を殺して殺して殺しまくったわ。最後の方は、もうほとんど虐殺だったと思う」
「…………」
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口が止まらない。ここにきて、なんでこんな話を始めたのかやっとわかった。私はたぶん、懺悔がしたかったのだろう。罪人が、優しい司祭に罪の告白をするように、私にとって最も安心できる存在であるシエルに、自らの異常性を告白し、そして許されたいと願っているのかもしれない。
「でもそれは、お父様に命じられてのことだったんでしょう?」
「最初はそうだった。でも、途中から私は、明らかに殺戮を楽しんでた。『相手は悪党だから殺していもいい』っていう最高の免罪符を心に貼って、思う存分破壊と暴力に酔いしれてたの。常人を遥かに超えた剣術で敵を蹂躙するのが、楽しくて仕方なかった」
「自分のおこないと残虐性に、疑問を抱くことはなかったのですか?」
一瞬、責められたのかと思ってビクリとなるが、シエルの瞳に非難の色はない。ただ純粋に、質問として聞いているだけのようだった。
「少しは疑問に思うこともあったわ。特に山賊の家族――非戦闘員を殺すときには。でも、彼らも結局は山賊の恩恵を受けて暮らしている異常者だし、そこまで悩まなかった。だから『ある時』が来るまで、自分は正しいことをしているって信じてた……」
「ある時とは?」
「私が猫好きだって話、したわよね」
「ええ。ヘザーさんにも言っていましたね」
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