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第134話
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その、濁流のような叫びが、フッと静かになる。
静かになった頭の中に、たった一言だけ、言葉が響いた。
『みんな死んじゃえ』
次の瞬間、とんでもないことが起こった。
夜が、夜じゃなくなったのだ。
フェルヴァが、大きな満月を覆い隠すほどの、巨大な魔力の太陽を作り、それが一瞬で夜の闇を照らし、白夜となったのである。
まさしく、超常の魔法。
私は感心すると同時に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
フェルヴァが何をやろうとしているのか、予想がついたからだ。
そして私の予想通りの行動を、フェルヴァは実行した。
人差し指をまっすぐ立て、地上を指さすフェルヴァ。
それと同時に、魔力の太陽が動き出した。
凄まじい大きさの割に、素早い動きだった。
私は、隣で茫然としているリーゼルに言う。
「こりゃ、参ったわね。あの太陽は、さっきのものとは、まるで規模が違う。さすがの私でも、止められない。そして、あれが地上に落ちたら、この町の四分の三が吹っ飛ぶわ。当然、爆心地の人間ごとね」
私の話が聞こえているのかいないのか、リーゼルは太陽よりもフェルヴァを見つめ、涙を流していた。しかし、すぐに正気を取り戻し、コートの袖で涙を拭うと、力強い声で私に言う。
「俺に考えがある。頼む、力を貸してくれ」
私もまた、力強く微笑んで、言葉を返した。
「頼まれなくてもそのつもりよ。何をすればいい?」
「俺にかけられている『変化の魔法』を、解除してほしい」
……ああ、そういえばさっき、言ってたわね。
リーゼルは、フェルヴァの魔法で子供の姿に変えられているって。
私は、数瞬だけ考えて、口を開く。
「できるかしら。あなたにかけられてる『変化の魔法』は、単に姿が変わっただけの、幻みたいな変化じゃなくて、細胞そのものを子供に戻した上で固定化している、超強力な呪いみたいなものよ。完全に解除することは、いくら私でも……」
「わかっている。完全な解除なんて、しなくていいんだ。三分でいい、俺を元の姿に戻してくれ。フェルヴァと同等か、それ以上の力を持つあんたなら、きっとできるはずだ」
「三分かぁ、それなら、なんとかなるかも。まっ、とりあえず、やるだけやってみましょうか」
静かになった頭の中に、たった一言だけ、言葉が響いた。
『みんな死んじゃえ』
次の瞬間、とんでもないことが起こった。
夜が、夜じゃなくなったのだ。
フェルヴァが、大きな満月を覆い隠すほどの、巨大な魔力の太陽を作り、それが一瞬で夜の闇を照らし、白夜となったのである。
まさしく、超常の魔法。
私は感心すると同時に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
フェルヴァが何をやろうとしているのか、予想がついたからだ。
そして私の予想通りの行動を、フェルヴァは実行した。
人差し指をまっすぐ立て、地上を指さすフェルヴァ。
それと同時に、魔力の太陽が動き出した。
凄まじい大きさの割に、素早い動きだった。
私は、隣で茫然としているリーゼルに言う。
「こりゃ、参ったわね。あの太陽は、さっきのものとは、まるで規模が違う。さすがの私でも、止められない。そして、あれが地上に落ちたら、この町の四分の三が吹っ飛ぶわ。当然、爆心地の人間ごとね」
私の話が聞こえているのかいないのか、リーゼルは太陽よりもフェルヴァを見つめ、涙を流していた。しかし、すぐに正気を取り戻し、コートの袖で涙を拭うと、力強い声で私に言う。
「俺に考えがある。頼む、力を貸してくれ」
私もまた、力強く微笑んで、言葉を返した。
「頼まれなくてもそのつもりよ。何をすればいい?」
「俺にかけられている『変化の魔法』を、解除してほしい」
……ああ、そういえばさっき、言ってたわね。
リーゼルは、フェルヴァの魔法で子供の姿に変えられているって。
私は、数瞬だけ考えて、口を開く。
「できるかしら。あなたにかけられてる『変化の魔法』は、単に姿が変わっただけの、幻みたいな変化じゃなくて、細胞そのものを子供に戻した上で固定化している、超強力な呪いみたいなものよ。完全に解除することは、いくら私でも……」
「わかっている。完全な解除なんて、しなくていいんだ。三分でいい、俺を元の姿に戻してくれ。フェルヴァと同等か、それ以上の力を持つあんたなら、きっとできるはずだ」
「三分かぁ、それなら、なんとかなるかも。まっ、とりあえず、やるだけやってみましょうか」
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