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第42話
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「別に町を出なくても、お師匠様ほどの強さがあれば、あの用心棒のお二人程度なら、たとえいきなり襲って来られたとしても、簡単に八つ裂きにできるのでは?」
はぁ~、まったくこの子は。
どうしてこう、言うことがいちいち狂暴なのかしら。
ここは師として、ちゃんとした武人としての振る舞いを教えないといけないわね。私は歩みを止めると、小さくため息を漏らし、エリスに向き直った。
「エリスちゃん、ちょっとここに座りなさい」
「でもここ、路上ですが……」
「いいから座りなさい」
「はい」
エリスは素直に、路上で正座した。
私は頷くと、お説教を開始する。
「いい、エリス。あなたの実力は素晴らしいと思うけど、その狂暴すぎる考え方は、ちょっと問題だわ。なんでもかんでも、暴力で解決しようとするんじゃないの。だいたいね、あの用心棒との諍いは、あなたにもかなり問題があるのよ。武人っていうのは、堅忍不抜を旨とし、やたらと喧嘩したりするもんじゃないの。あなたほどの実力者なら、なおさらね」
「はい……以後気をつけます……」
「ん、素直でよろしい」
実際、エリスは私が当初思っていたよりもずっと素直だ。これなら、ちゃんと道理を教えていけば、昨日のような無茶な振る舞いはしなくなるだろう。私はエリスの手をよっこらせと引っ張って、正座したままだったエリスを立たせてあげた。
それから、私たちは再び歩き始める。
しばらくの沈黙の後、エリスが何かに気づいたように、尋ねてきた。
「あの、お師匠様、質問があります」
「なに?」
「武人はみだりに私闘をおこなってはいけないとのことでしたが、相手から一方的に喧嘩を吹っ掛けられ、話し合いも不可能な状況になった場合は、どうすればいいのでしょうか?」
「まるで、昨日の私とあなたみたいな状況ね。そういう場合は、昨日、私がやったみたいにすればいいのよ」
「つまり……」
「そう、わからず屋は、拳でぶちのめしてやればいいのよ。武人は堅忍不抜、むやみやたらと喧嘩をするもんじゃない。でもね、向こうから喧嘩を吹っ掛けられたなら、大人しくしてる必要はないわ。『武』っていうのは、そもそもが降りかかる火の粉を払うためにあるんだからね」
「なるほど~、粗暴な振る舞いは駄目だけど、襲われたなら我慢する必要はないってことですね。シンプルで、分かりやすいです~」
「でも、基本的には相手のレベルに応じて力を加減し、殺さないようにしなきゃ駄目よ。あなた、お父さんの仇を探して、『これまで数えきれないほどの強敵を血の海に沈めてきた』って言ってたけど、もう、相当殺しちゃってるんじゃない?」
そこでエリスは、ぶんぶんと両こぶしを上下に振って、いかにも心外だと言うように、上ずった声をあげた。
「と、とんでもない誤解です! 私、これまでに一度だって、人を殺したことなんてありません!」
はぁ~、まったくこの子は。
どうしてこう、言うことがいちいち狂暴なのかしら。
ここは師として、ちゃんとした武人としての振る舞いを教えないといけないわね。私は歩みを止めると、小さくため息を漏らし、エリスに向き直った。
「エリスちゃん、ちょっとここに座りなさい」
「でもここ、路上ですが……」
「いいから座りなさい」
「はい」
エリスは素直に、路上で正座した。
私は頷くと、お説教を開始する。
「いい、エリス。あなたの実力は素晴らしいと思うけど、その狂暴すぎる考え方は、ちょっと問題だわ。なんでもかんでも、暴力で解決しようとするんじゃないの。だいたいね、あの用心棒との諍いは、あなたにもかなり問題があるのよ。武人っていうのは、堅忍不抜を旨とし、やたらと喧嘩したりするもんじゃないの。あなたほどの実力者なら、なおさらね」
「はい……以後気をつけます……」
「ん、素直でよろしい」
実際、エリスは私が当初思っていたよりもずっと素直だ。これなら、ちゃんと道理を教えていけば、昨日のような無茶な振る舞いはしなくなるだろう。私はエリスの手をよっこらせと引っ張って、正座したままだったエリスを立たせてあげた。
それから、私たちは再び歩き始める。
しばらくの沈黙の後、エリスが何かに気づいたように、尋ねてきた。
「あの、お師匠様、質問があります」
「なに?」
「武人はみだりに私闘をおこなってはいけないとのことでしたが、相手から一方的に喧嘩を吹っ掛けられ、話し合いも不可能な状況になった場合は、どうすればいいのでしょうか?」
「まるで、昨日の私とあなたみたいな状況ね。そういう場合は、昨日、私がやったみたいにすればいいのよ」
「つまり……」
「そう、わからず屋は、拳でぶちのめしてやればいいのよ。武人は堅忍不抜、むやみやたらと喧嘩をするもんじゃない。でもね、向こうから喧嘩を吹っ掛けられたなら、大人しくしてる必要はないわ。『武』っていうのは、そもそもが降りかかる火の粉を払うためにあるんだからね」
「なるほど~、粗暴な振る舞いは駄目だけど、襲われたなら我慢する必要はないってことですね。シンプルで、分かりやすいです~」
「でも、基本的には相手のレベルに応じて力を加減し、殺さないようにしなきゃ駄目よ。あなた、お父さんの仇を探して、『これまで数えきれないほどの強敵を血の海に沈めてきた』って言ってたけど、もう、相当殺しちゃってるんじゃない?」
そこでエリスは、ぶんぶんと両こぶしを上下に振って、いかにも心外だと言うように、上ずった声をあげた。
「と、とんでもない誤解です! 私、これまでに一度だって、人を殺したことなんてありません!」
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