101 / 389
第101話
しおりを挟む
エリスは力強く頷き、言う。
「はい! お師匠様に鍛えていただいたおかげて、私、たったの三ヶ月間で、見違えるほどに強くなりました! これなら、確実にお義父さんの仇を……」
そんなエリスの言葉を、ユーゲンスは短くも厳しい声で遮った。
「もういいんじゃないかのう」
「えっ?」
「もう、復讐の旅など、よさんかと言うておるのじゃ。お前は、エルフの『血の掟』にこだわっているのかもしれんが、お前の義父であるノッドルは、復讐など望んでおらぬよ……ワシの息子じゃ……あやつの考えていることは、誰よりもワシが一番よく分かっておる……」
「でも、お爺ちゃん……」
「ノッドルが誰と戦ったのかは知らぬが、不意打ちならともかく、真正面から戦い、敗れ、そして死んだのなら、それは正当なる果し合いの結果じゃ……たとえ義理の娘でも、部外者が口を出すことではない……ましてや、相手を恨んで仇討ちなど、武術家として恥ずべきことじゃ……エリスよ、お前が里を飛び出す前にも、ワシはそう言って諭したな……」
「…………」
「しかし、激昂しやすいお前は、ワシの言うことを聞かずに、仇討の旅に出た。……噂は聞いておるぞ。世界各地で、かなり荒っぽいことをしたそうじゃないか。ノッドルはそんなことをさせるために、捨て子だったお前を拾って、『エルフ式魔術ボクシング』を教えたわけではないぞ」
「でも……お爺ちゃん……でも……」
「そしてお前は、無謀にも聖女ディーナ様に戦いを挑み、返り討ちとなった。ディーナ様がお優しい方であったから良かったが、普通なら、滅茶苦茶な因縁をつけて襲い掛かって来たお前など、殺されているところだぞ。お前、自分が何をやったのか、本当にわかっているのか?」
ユーゲンスの言葉は、重く、厳しかった。
その表情に、先程の好々爺の面影は、まったくない。
祖父として、言うべきことは言わなければならないと思っているのだろう。
エリスは黙り、俯いて、唇を噛んでいた。
その姿が、なんだかとても哀れで、私はつい、助け舟を出してしまう。
「ユーゲンスさん、エリスも反省していますし、どうかもうその辺で……」
「はい! お師匠様に鍛えていただいたおかげて、私、たったの三ヶ月間で、見違えるほどに強くなりました! これなら、確実にお義父さんの仇を……」
そんなエリスの言葉を、ユーゲンスは短くも厳しい声で遮った。
「もういいんじゃないかのう」
「えっ?」
「もう、復讐の旅など、よさんかと言うておるのじゃ。お前は、エルフの『血の掟』にこだわっているのかもしれんが、お前の義父であるノッドルは、復讐など望んでおらぬよ……ワシの息子じゃ……あやつの考えていることは、誰よりもワシが一番よく分かっておる……」
「でも、お爺ちゃん……」
「ノッドルが誰と戦ったのかは知らぬが、不意打ちならともかく、真正面から戦い、敗れ、そして死んだのなら、それは正当なる果し合いの結果じゃ……たとえ義理の娘でも、部外者が口を出すことではない……ましてや、相手を恨んで仇討ちなど、武術家として恥ずべきことじゃ……エリスよ、お前が里を飛び出す前にも、ワシはそう言って諭したな……」
「…………」
「しかし、激昂しやすいお前は、ワシの言うことを聞かずに、仇討の旅に出た。……噂は聞いておるぞ。世界各地で、かなり荒っぽいことをしたそうじゃないか。ノッドルはそんなことをさせるために、捨て子だったお前を拾って、『エルフ式魔術ボクシング』を教えたわけではないぞ」
「でも……お爺ちゃん……でも……」
「そしてお前は、無謀にも聖女ディーナ様に戦いを挑み、返り討ちとなった。ディーナ様がお優しい方であったから良かったが、普通なら、滅茶苦茶な因縁をつけて襲い掛かって来たお前など、殺されているところだぞ。お前、自分が何をやったのか、本当にわかっているのか?」
ユーゲンスの言葉は、重く、厳しかった。
その表情に、先程の好々爺の面影は、まったくない。
祖父として、言うべきことは言わなければならないと思っているのだろう。
エリスは黙り、俯いて、唇を噛んでいた。
その姿が、なんだかとても哀れで、私はつい、助け舟を出してしまう。
「ユーゲンスさん、エリスも反省していますし、どうかもうその辺で……」
45
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします
ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに
11年後、もう一人 聖女認定された。
王子は同じ聖女なら美人がいいと
元の聖女を偽物として追放した。
後に二人に天罰が降る。
これが この体に入る前の世界で読んだ
Web小説の本編。
だけど、読者からの激しいクレームに遭い
救済続編が書かれた。
その激しいクレームを入れた
読者の一人が私だった。
異世界の追放予定の聖女の中に
入り込んだ私は小説の知識を
活用して対策をした。
大人しく追放なんてさせない!
* 作り話です。
* 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。
* 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。
* 掲載は3日に一度。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる