二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

文字の大きさ
211 / 389
第二部 獣人武闘祭

第211話(ミャオ視点)

しおりを挟む
 まるで、猫じゃらしニャ。
 右に左に動く、まっちゃんの華麗なステップを見て、僕はそう思った。

 試合開始から、そろそろ一分。
 僕の攻撃は、まだ一発として当たっていなかった。

 僕は、歯がゆさに、唇を噛む。
 今度こそ、と決意を込め、まっちゃんの右足にローキックを放つ。

 しかし、当たらない。
 防御されるのではなく、そもそも当たらないのだ。

 狙ったはずの場所に、足がない。
 まるで、ワープでもしたかのように、人ひとり分離れた場所に、突然移動する。

 どうやったら、こんな動きできるニャ?
 そう思った瞬間、目の前に閃光が走る。

「ギニャッ!」

 しまったニャ。
 また顔面に、いいパンチを貰っちまったニャ。

 垂れ落ちてきた鼻血を、ぺろりと舌で舐める。
 鉄の味がした。

 まっちゃんは『タエ・シノブくん』の首をへし折った僕の攻撃を警戒して、深く飛び込んではこない。しかし、上手にステップを使いながら、僕の攻撃が終わった隙を見計らって、的確に突き蹴りを当ててくる。

 僕の攻撃命中数が0なのに対し、こちらはもう、十発は貰っている。

 悔しい。

 僕は少しムキになって、まっちゃんに突進する。
 組みついて、膝蹴りをぶち込んでやるニャ。
 そうすれば、華麗なステップもクソも、関係ねーニャ。

 しかし、組みつけない。

 それどころか、突然正面からまっちゃんの姿を見失ってしまった。
 僕は慌てて、彼女の姿を探す。

 背筋がゾクリとした。
 野生の本能で、地面を前転する。

 僕は見た。
 先程僕の頭があった場所を、まっちゃんの鋭い蹴りが走り抜けていく光景を。

 いつのまに、僕の後ろに回り込んでたニャ?
 まさか、テレポーテーション能力でもあるニャ?
 視界外から、あんな攻撃貰ったら、一発で勝負がついちまうニャ。

 冷や汗が、止まらない。
 何とか立ち上がった僕を、まっちゃんは、驕りも油断もない瞳で見据える。

「背後からの攻撃を前転でかわすなんて、良い勘をしていますわね」

「どうやって、僕の後ろに回り込んだニャ? 何か魔法でも使ってるとしか思えないニャ」

「あら、嬉しいことを言ってくれますわね」

「ニャッ?」

「おっしゃる通り、これは、魔法のステップですわ」

 まっちゃんは小さく微笑んで、再びステップを踏み出した。
しおりを挟む
感想 288

あなたにおすすめの小説

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

処理中です...