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第二部 獣人武闘祭
第224話(マリエールの追憶)
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それでも、時にはくじけそうになることもありましたが、わたくしを信頼してくれるネコカラテ道場の仲間が助けてくれたこともあり、事務所の経営は少しずつ軌道に乗っていきました。それと共に、じわじわとですが、世間様の評価も変わり始めました。
まじめにやっていれば、それを見てくれる人は、必ずいる――
おじさまの、教えの通りでした。
贖罪のつもりで始めた弁護士稼業でしたが、気がつけば、その道で、それなりに名の知られることとなりました。『カリクラ』という名が、悪い意味ではなく、良い意味で知られるようになったことは、素晴らしいことでした。
死んだ父、母、弟の魂にも、慰めとなることでしょう。これでもう、いつ『罰』が下ったとしても、悔いはない。わたくしはまだ18歳でしたが、すでに余生を過ごす隠者のような気分でした。
その時、おじさまから、『ネコカラテの世界大会に出てみないか』と誘われたのです。事務所の経営をしながらも、ネコカラテの修行は続けていましたが、わたくしごとき小娘に、とても世界大会に出るような資格はないと、辞退を申し出ました。
しかしおじさまは、なおも食い下がります。
「ネコカラテ連盟に加盟する道場から、一人ずつ選手を出さなきゃならねえんだよ。んで、俺の弟子で一番腕が立つのはお前だ。なあ、俺の顔を立てると思って、出ちゃくれねえか? 頼むよ。恩返しと思ってさ」
そう頭を下げられては、とても断ることなどできません。
わたくしは、世界大会に出場しました。
……驚くべきことに、わたくしは女子の部で優勝しました。
皆に祝福されながらも、わたくしは複雑な気分でした。
わたくしは、罪人です。
獣人たちを苦しめたカリクラの一族という、重たい罪を背負っているのです。
そんなわたくしに、こんな素晴らしいことが何度も起こってよいのでしょうか。
おじさまと、ネコカラテとの出会い。素敵な仲間ができて、仕事も世間様に認められて、おまけにネコカラテ世界大会優勝の名誉までいただけるなんて。
こんなこと、許されるはずがありません。
わたくしは、罪人なのですから。
まじめにやっていれば、それを見てくれる人は、必ずいる――
おじさまの、教えの通りでした。
贖罪のつもりで始めた弁護士稼業でしたが、気がつけば、その道で、それなりに名の知られることとなりました。『カリクラ』という名が、悪い意味ではなく、良い意味で知られるようになったことは、素晴らしいことでした。
死んだ父、母、弟の魂にも、慰めとなることでしょう。これでもう、いつ『罰』が下ったとしても、悔いはない。わたくしはまだ18歳でしたが、すでに余生を過ごす隠者のような気分でした。
その時、おじさまから、『ネコカラテの世界大会に出てみないか』と誘われたのです。事務所の経営をしながらも、ネコカラテの修行は続けていましたが、わたくしごとき小娘に、とても世界大会に出るような資格はないと、辞退を申し出ました。
しかしおじさまは、なおも食い下がります。
「ネコカラテ連盟に加盟する道場から、一人ずつ選手を出さなきゃならねえんだよ。んで、俺の弟子で一番腕が立つのはお前だ。なあ、俺の顔を立てると思って、出ちゃくれねえか? 頼むよ。恩返しと思ってさ」
そう頭を下げられては、とても断ることなどできません。
わたくしは、世界大会に出場しました。
……驚くべきことに、わたくしは女子の部で優勝しました。
皆に祝福されながらも、わたくしは複雑な気分でした。
わたくしは、罪人です。
獣人たちを苦しめたカリクラの一族という、重たい罪を背負っているのです。
そんなわたくしに、こんな素晴らしいことが何度も起こってよいのでしょうか。
おじさまと、ネコカラテとの出会い。素敵な仲間ができて、仕事も世間様に認められて、おまけにネコカラテ世界大会優勝の名誉までいただけるなんて。
こんなこと、許されるはずがありません。
わたくしは、罪人なのですから。
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