二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第268話

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 タマラは、鼻で笑った。

「そーゆーの、なんていうか知ってる? 親バカっていうんだよ」

「タ、タマちゃん!」

 ノエルが窘めるが、タマラの勢いは止まらない。

「ま、安心しなよ。最初は滅茶苦茶に壊しちゃおうかと思ってたけどさ。こうして美味しいケーキも奢ってもらったことだし、やさし~く可愛がって、怪我させないように倒してあげるから」

 口の端から垂れる甘々コーヒー汁をひと舐めして、タマラは獰猛な笑みを浮かべた。

「タマちゃん! そういうことばっかり言ってると、ディーナさんに、嫌われちゃうよ!」

 ノエルが珍しく、強い調子で言う。
 それで、タマラの表情が一変した。

 不安そうで、寂しそうな、子供の顔だ。
 それを見て、ノエルは『しまった』と言うような表情になった。

「えっ、そうなの? ディーナ、あたしのこと、嫌いになった?」

「い、いや、そんなことは……」

 確かに、傲慢で不遜な態度だったが、それで即嫌いになると言うほどのこともない。私は両手を振って大丈夫とアピールするが、タマラはテーブルをよじ登って、私の胸に飛び込んできた。

「ちょ、ちょっと、タマちゃん……」

「ごめんなさい、ごめんなさい、謝るから、嫌いにならないで。あたしのこと、嫌わないで……」

 タマラは、半泣きだった。
 私は、どうしていいか分からなくて、ノエルを見る。
 ノエルは自らも身を乗り出すようにして、タマラを抱きしめた。

「大丈夫。大丈夫だよ、タマちゃん。ディーナさん、許してくれるって」

「本当? 本当に、許してくれる? ディーナ、もう怒ってない?」

 すがるような瞳でそう問われ、私はタマラを落ち着かせるために、なるべく優しい手つきで彼女の頭を撫でながら、言った。

「え、ええ。そもそも、最初から別に怒ってないわ」

「なーんだ。ビックリしちゃった。ビックリしたら、またお腹すいたから、ケーキのおかわり頼んでもいい?」

「えっ、あっ、うん……いいけど……」

「わーい、やったー♪」

 そう言ってはしゃぐと、タマラは再びケーキを注文する。

 な……なんなの、この子。
 感情の起伏が激しすぎる。

 無邪気にはしゃぎながら新しいケーキを頬張るタマラの横で、ノエルがごめんなさいというように、私に頭を下げた。
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