二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

文字の大きさ
304 / 389
第二部 獣人武闘祭

第304話(実況席)

しおりを挟む
「あかーん、おかしいわ、この試合。うちの理解を超えとる。なんでガードせーへんの、なんで順番こに叩き合っとるの。意味わからんわ」

「でも、お客さん、すっごく沸いてますよ。それになんかカッコいいじゃないですか。『男の喧嘩!』って感じで」

「二人とも女やけどな。まあ、確かに小細工がなくて、おもろいっちゃおもろいかもな」

「あっ、フォルス選手、大きく吹っ飛ばされた!」

「そりゃそうやろ。体重が20kg違うんやで。フォルスの方が圧倒的に不利や」

「でも、それを言うなら、フォルスさんは最初から不利じゃないですか」

「えっ?」

「だって、殺し屋なのに、爪や牙――殺しの技、使っちゃいけないんですから」

「せやな。ほんまに、なんでこんな大会、出たんやろな」



※※※※※【アニー視点】※※※※※



 それは、一瞬の油断だった。

 殴りっこにも飽きてきたので、次の趣向を考えていると、フォルスが軽やかなフットワークで俺のバックについたのだ。信じられないくらい、鮮やかな動きだった。さすがは殺し屋。人の後ろを取るのはお手のものらしい。

 いったい、何をする気だ?

 そう思ったときには、奴の腕が俺の首に絡みつこうとしていた。

 ふ~ん、なるほどね。
 後ろから、チョークスリーパーをかけようってか。

 させるかよ。
 俺は首を引き、そのまま全体重をかけ、背中からリングに倒れ込む。

 衝撃。

 背後で、フォルスの呻く声が聞こえた。
 当然だ。俺の体重とリングで、サンドイッチになったんだからな。

 しかし、フォルスは意識を失っていなかった。
 しつこく俺の首を狙い、腕を絡ませてくる。

 だから、させねえっつってんだよ。

 俺は、きっちりと首を引いた。
 こうすれば、どうやったって、俺の首に腕はまわせない。

 へへ、残念だったな、フォルスさんよ。チョークスリーパーなんて、マジでやりあってたら、そうそうかかるもんじゃねえのよ。素人相手ならともかく、俺は組み技のプロなんだぜ?

 俺は、笑った。
 後ろで、フォルスも笑った。

 なんだ?
 どうして、あんたまで笑う?
 何がおかしい?

 フォルスは、俺のマスクに、手をかけた。
 そして、客に宣誓するように、叫んだ

「今からこのゴリラ野郎のマスクを剥いで、不細工な素顔を晒してやる! あんたらも見たいだろ? こいつの顔をさ!」
しおりを挟む
感想 288

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

処理中です...