二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第二部 獣人武闘祭

第344話(実況席)

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「あれっ!? ミャオ選手が、アームロックから逃れましたよ!?」

「即座に距離を取って、再び立ち技での攻防……これは……」

「いったい、何が起こってるんでしょうか、シルヴァさん!?」

「この試合、まだわからんようになったで。猫ちゃんにも勝機ができた」

「と、言いますと?」

「あのゴリラのねーさん、『おぼこ』や」

「おぼこ?」

「生娘や処女と同じような意味や。うちは、真剣勝負で相手の手や足を折ったことのないもんを、そう呼んどる」

「は、はぁ……」

「ゴリラのねーさん、あと少しってとこで、激痛に苦しむ猫ちゃんを見て、つい手を緩めてしもたんやな。そこを、猫ちゃんは全力で逃げ出したんや」

「まあ、ミス・マウンテンゴリラ選手、名前の割に素顔は優しそうですしね」

「ふん、甘いわ。あないなことやっとったら、潮目が変わってまうで」

「あっ、キック! ローキックです! ミャオ選手、ミス・マウンテンゴリラ選手の前足に、ローキックの連打です! 凄い炸裂音が、スタジアムに響き渡っています!」

「ほれ、言わんこっちゃない。ゴリラのねーさん、今まで攻めとったリズムが崩れて、何発もまともに食らっとるわ。しかし良い音させるローやな。まるで絨毯爆撃や」



※※※※※【アニー視点】※※※※※



 ぐっ。
 いったぁ~。

 なんなの、この子のローキック。
 小柄なのに、ぶっとい丸太で叩かれてるみたい。
 さすがは本職の『打撃屋さん』だね。

 はぁ、解説の人が好き勝手言ってくれたけど、しょうがないじゃない。
 いくら試合だからって、何の恨みもない人の腕、折れるわけないじゃん。

 戦士やってた時だって、こっちを殺そうと襲いかかってくる魔物以外は、斬らなかったんだから。あっ、村を襲撃してきたような、たちの悪い魔物も、斬ったかな。

 うぐっ。
 また、いいところにローが入った。

 やばい。膝の古傷が、じんじん痛む。戦士を引退する時に負った、あの傷だ。今でも冬とかに痛くなることはあったけど、だいたい夏は好調だったんだけどなあ。

 さあ、どうする。
 腕を極めても、足を極めても、この子はギブアップしないだろう。
 そして、私は、彼女の腕や足を折れない。折りたくない。

 さあさあ、まいった。
 圧倒的有利だったのが、かなりまずい状況になった。
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