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セレナサイド 攻略対象の婚約者達。
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セレナサイド
セレナは入学前から精力的に周りに働きかけていた。
邪神が考えた設定を崩す為、ゲームの攻略対象の令息達の婚約者達にさり気なく、だが確実な方法で彼らの仲を格段に上げて行った。
宰相令息のマキシム・カナート伯爵令息の婚約者リリアン・レビス伯爵令嬢の哀しげな顔をお茶会で見た時、さりげなく甘い物が好きな彼に自分で作ったクッキーを手渡してみてわ?とアドバイスをした。
マキシムとなんとなく距離があるのを気にしていたリリアンはすぐにやった事がない手作りクッキーを持ってマキシムの元に向かったが、初めて作ったクッキーは焦げているし、砂糖と塩を間違えしょっぱい。
「なんか、しょっぱい」
「えっ?ど、どうしましょう。お砂糖とお塩を間違えてしまったのかしら?も、もう召し上がらないでくださいませ」
アワアワとクッキーを取り返そうとするリリアンの慌てぶりにマキシムはリリアンは完璧で冷たい、と勝手に思い込んでいた自分の視野の狭さに笑い、リリアンが止めるのにしょっぱいクッキーを平らげた。
「マキシム様ぁ」
泣きそうなリリアンの耳元に口を寄せ
「ちゃんと甘かったよ。リリーの愛情たっぷりだから、ね」
と、婚約して初めて甘い言葉を囁いた。
セレナのアドバイスのお陰でその後距離を縮めたリリアンとマキシムは砂糖を吐きそうなほど甘い関係になり、リリアンはセレナと親しくなった。
もう1人の攻略対象の騎士団長令息のパーシモン・タウラスの婚約者イザベル・アット子爵令嬢にはお茶会で、騎士の妻になるなら令嬢であっても剣を握ってみてわ?とアドバイスした。
「えー、でも私、やった事ないですしやる必要なんて無いですわ」
「そう?でしたら騎士の妻になる方が夫の仕事を知らないのは妻になりたくない、と思われても仕方ないですね」
甘ったれで他力本願だったイザベルは渋々アドバイスに従って自分の家の護衛騎士に頼み剣を持つと、当然だが剣を持ち上げる事もできなかった。
だが、その騎士達から自分達が剣を持つ意味を聞かされ、その志に感銘を受けた彼女は騎士の仕事を勉強する様になり、彼らに対して気配りができる様になった。
「皆様、訓練お疲れ様です。冷たい飲み物をご用意させていただきましたので、宜しければ」
「うおー、ありがとうございます」
「俺より先に食うな。ベルを見るなぁ」
訓練後、可愛らしい令嬢が冷たい飲み物や小腹を満たす差し入れをしてくれる事に騎士候補生達は喜んだが、自分の仕事を理解して細かな配慮をしてくれる可愛い婚約者に、独占欲を爆発させたパーシモンが慌て、訓練場は笑いに包まれる様になった。
セレナは入学前から精力的に周りに働きかけていた。
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「なんか、しょっぱい」
「えっ?ど、どうしましょう。お砂糖とお塩を間違えてしまったのかしら?も、もう召し上がらないでくださいませ」
アワアワとクッキーを取り返そうとするリリアンの慌てぶりにマキシムはリリアンは完璧で冷たい、と勝手に思い込んでいた自分の視野の狭さに笑い、リリアンが止めるのにしょっぱいクッキーを平らげた。
「マキシム様ぁ」
泣きそうなリリアンの耳元に口を寄せ
「ちゃんと甘かったよ。リリーの愛情たっぷりだから、ね」
と、婚約して初めて甘い言葉を囁いた。
セレナのアドバイスのお陰でその後距離を縮めたリリアンとマキシムは砂糖を吐きそうなほど甘い関係になり、リリアンはセレナと親しくなった。
もう1人の攻略対象の騎士団長令息のパーシモン・タウラスの婚約者イザベル・アット子爵令嬢にはお茶会で、騎士の妻になるなら令嬢であっても剣を握ってみてわ?とアドバイスした。
「えー、でも私、やった事ないですしやる必要なんて無いですわ」
「そう?でしたら騎士の妻になる方が夫の仕事を知らないのは妻になりたくない、と思われても仕方ないですね」
甘ったれで他力本願だったイザベルは渋々アドバイスに従って自分の家の護衛騎士に頼み剣を持つと、当然だが剣を持ち上げる事もできなかった。
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「うおー、ありがとうございます」
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