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セレナサイド 不発イベントとアリアンナの作

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セレナサイド


ミアとか言う、ヒロインもどきが編入してきて更に一週間が経った。

「先ほどのあれは何でしょう?」

教室でアリアンナが首を傾げているとセレナが読もうとしていた本を閉じ、ゆっくりと顔を向けた。

「イベントを起こそうとして盛大に失敗した、と言う所でしょうね」

ゲームのシナリオを知っているセレナにしたら無駄な努力を、と思う所だがアリアンナにしてみたら非常識な行動にしか見えない。

「イベント?」
「何方かが勝手に考えたシナリオの中で、王子や高位貴族の令息と親しくなる為の手段ですわ」

マーカスが居る目の前で、あたかもセシリアに足を引っ掛けられた、と言いたげに転んだミアの姿にセレナ達は呆れていた。

セレナに足を引っ掛けられた、と言い掛かりを付けようにも、セレナの周りには十重二十重に囲む令嬢達が居て、側に寄ることさえ出来ない状態である。

「無駄ですわね」

アリアンナがバッサリと切り捨てる。

「あの方も必死なのでしょう。全く上手くいかないのですから」

セレナはアリスに送ったメールに、ヒロインもどきは超がつく程の馬鹿だった、と書けば良かったと若干後悔していた。

ゲームと現実は違う、と何度も小説や漫画で書いてあるのにヒロインもどきはまるで学習していない。

この一週間、必死にシナリオ通りにしようと足掻いているが、攻略対象の彼らは婚約者と上手く行ってる上、貴族としての責任感もある。
マーカス以外の彼らが何のメリットも無い男爵令嬢に靡くはずがない。

「ラインからの提案で、卒業式まで保留にしないでさっさと片付ける、だそうよ」
「創造神ライン様を呼び捨てに……」

アリアンナは嘆いていたが

「だってラインが呼び捨てにしなきゃこのまま元の世界に帰れなくするって言うんだもん。こっちだって好きだけどセシリアたんにはシルヴァンさんと結婚して幸せになってもらいたいし……」

アリアンナにセレナは延々と愚痴を吐き出している。
かなりストレスが溜まっているのだろう。アリアンナは諦めて聞き役に回った。

「ライン様の呼び方はライン様の要望を優先することにしましょう。それで?」

セレナの愚痴が終わった頃、アリアンナが話の続きを要求する。

「ラインは今度のサマーパーティーでヒロインもどきに付いている邪神を封印するつもり」
「ライン様は邪神の尻尾を掴んだのですね?」
「隠れて逃げ回っているみたいだけど、自分の作ったシナリオが崩壊する事を防ぐ為出てくる、と見ているの」

サマーパーティーでマーカスを追い詰めればヒロインもどきの後ろに隠れて居られなくて出て来る、と考え作を巡らせることにした様だ。

「では、もう少し作を弄してみましょう」

アリアンナの提案にセレナの顔が引き攣った。
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